96話 2人の実力
「そういえばパーティの人数がいっぱいの時にテイムしたらどうなるんだ?」
北門への移動中に気になった事を聞いてみた。
「パーティの上限を超える場合はー、自動的にさっきの牧場に送られるみたいですー」
「へー、テイム出来なくなる訳じゃないんだね。しかも自動で送られるんだ」
「私達もまだ聞いただけだから、どう送られるのかは分かんないけどね」
3人で雑談しながら歩き、北門へと到着すると、そこには昨日に引き続き十数人のプレイヤーが居て、そこにはファルコさんとヤヨイさんも居た。
「うむ?ハルト君じゃないか。今日も参加だったかな?」
「おはよう、ハルト君。今日はどうしたの?可愛い子を2人も連れちゃって〜。デートかな?」
「おはようございます、ファルコさん、ヤヨイさん。今日はこっちの2人のテイムの手伝いでデートなんかじゃないですよ!ファルコさん2人は妹と妹の友達です」
「初めまして、ハルトお兄の妹のマーリンと言います」
「初めましてぇ、マーリンちゃんのぉ同級生のぉミーニャと言いますー」
「“極隼攻略組”のクラマスをやっているファルコだ。よろしく頼む」
ファルコさんと2人の自己紹介が終わる。
「お2人は今日もここの攻略なんですか?」
「ええ、まだエラルシアに到着出来てない人が多いからね。平日だから学生が殆どだけど」
「そういえば平日でしたね。ファルコさんは平日でも大丈夫なんですか?」
「俺の仕事は俺がチェックしなくてはいけない書類をチェックしたり、偶に部下の仕事ぶりを眺めたりだから問題無いのだ」
どうやらファルコさんは会社のお偉いさんみたいだな。
「それじゃあ俺達はこれで失礼します。お2人共頑張って下さい」
そう言って俺達は北門を出て行った。途中2人のクランの人達に手を振られたり挨拶されたから返しておいた。
北門を出て今日は1マス目でのテイムの手伝いという事でアッサムを召喚した。
「へー、これがお兄の召魔さんなんだね」
「ああ、俺の最初の召魔のアッサムっいうんだ」
「ふわぁ〜、可愛らしいモグラさんですぅ」
召喚されて見られていると感じたアッサムはマーリンとミーニャの2人にサッと手を上げて挨拶していた。
「おおー!良いねー!こういうのも出来るんだ!オオカミ仲間にしたら次はコボルトをテイムしようかなー」
「むぅ、これはぁ迷うところですねぇ」
「まぁ、明日の交流会で先輩テイマー達に話しを聞いてから決めても良いんじゃないか?β版からやってる人ならオススメの従魔とか教えてくれるかもしれないぞ?」
アッサムを撫でながら悩んでいる2人にそうアドバイスする。
「確かにぃ、今のレベルが6ですからぁ、今日テイムしてしまうとぉレベルが9になるまでぇテイム出来なくなってしまいますからねぇ」
「そうだね。何をテイムするかは明日決めよう!」
「それじゃあ、そろそろオオカミをテイムする為に出発するぞ」
「おー!」
「はーい」
3人でパーティを組み森へと入って行く。
森へ入って数分、早速モンスターの気配がしたので、気配がした方へと歩いて行くと。
「あれは、ワイルドラットだな。小さいけど群れでいる可能性があるから油断せずにな。ここは、2人の実力を見たいから2人で戦ってみてくれ。勿論危なくなったら手を貸すよ」
「オッケー!」
「はい!」
2人は従魔と共にワイルドラットへと近付いて行く。2人共武器は杖を使っている様だった。
マーリンは杖でワイルドラットを上から殴り攻撃しているのに対して、ミーニャは杖でまるでゴルフのスイングをする様に振りワイルドラットを吹き飛ばしていた。
「2人共凄い豪快な戦い方だな……。2人の従魔はどうだ?ネズミに対してネコと鳥なら相性は良さそうだけど」
ハートネコとハヤブサの方を見てみると、ハートネコはツメで引っ掻いたり噛み付き攻撃をしていて、ハヤブサはワイルドラットを掴んで上空へ舞い上がり他のワイルドラットへ投げつけたりクチバシで突っつき攻撃をしていた。
「ハートネコもハヤブサもスピードタイプって感じかな?一撃よりも手数で攻めるタイプか。オオカミも似たようなタイプなんじゃないか?2人はガンガン前に出て戦うタイプならゴーレムみたいに敵の攻撃を引き受けてくれる従魔が欲しいところだな。俺が見つけた中で当てはまりそうなのはブラウンベアぐらいかな?でも、あれは2マス目にいるから2人にはまだ早い気がするし。やっぱり明日聞いてみないと分からないか」
2人にどんな従魔が良いか考えている間に戦闘は終了していた。
「お疲れー、2人共いつもあんな戦い方なのか?」
「いつもじゃないよ?小さい相手の時はあんな風に前に出るだけだよ」
「へー、もう戦い方を使い分けてるのか」
「はいー、相手によってぇ戦い方を変えた方がぁ効率的ですからぁ」
何この子達凄くない?俺なんか直ぐに抜かれそうなんですけど?んー、抜かれ無いように頑張らないと。
「倒したモンスターを解体して先に進もうか。解体は俺も手伝うよ」
「「はーい」」
解体を済ませ再びオオカミを探しに行くのだった。




