92話 砂漠
岩山の洞窟2に飛んできたハルトは直ぐにライトの魔法を使用する。
「ライト」
ライトで明かりを確保したハルトは誰を召喚するかで悩んでいた。
「うーん、新しい未知のマップに行くんだからアッサム、ゴブスケ、カルマは確定で良いとして……。後2人は誰にするか。この時間だともう外は明るいだろうからミュエルは無理だな。出来ればヨナギも明るい所より暗い場所とかの方が良いから残るはプリンとアックと黒風か。黒風はまだレベルも上げて無いから新しいマップは無理だから必然的にプリンとアックになるか」
メンバーが決まり召喚して、砂漠へと続く試しの門を通り先へと進んで行く。
「お、明かりが見えて来たな。前回は夜だったから明かりが見えなかったけど今回は昼だからここからでも明かりが見えるんだな」
そして、通路を抜けて外へと出ると。
「おおー!この前は暗かったからノクトビジョンで見たけど昼に見るとまた印象がちがうなぁ!」
岩山を降りれそうな所を慎重に降りて行き、砂漠へと足を踏み入れた。
「うわっ!あっっっつ!」
足を踏み入れた途端に熱気が襲ってきて、直ぐに岩山の麓へと引き返した。
「うわぁ、この暑さの中を進まないと行けないのか?」
痛覚はある程度カットされるが暑さはカットされない仕様になっているようだった。
「何か暑さ対策になる様なスキルってあったかなー?」
取得可能スキルリストを探してみるが暑さをどうにか出来そうなスキルは見当たらなかった。
「んー、もしかしたら騎乗スキルみたいに暑さに耐えてたら取得出来る様になったりしないかな?」
そう思い何度か砂漠に入っては、暑さに耐えられなくなるまで我慢して岩山に戻るを繰り返していると。
『耐暑スキルの取得が可能になりました』
「やっぱりか!試してみたかいがあったな!早速取得しよう!必要ポイントは3か。軽めで助かるな」
早速ボーナスポイントを3消費して耐暑スキルを取得する。
「良し!これでオッケーだな!これで進んでみよう!」
颯爽と砂漠へと入って行くが、少ししてから岩山の麓へと戻ってきた。
「うん、暑い。ほんのちょっぴり軽減されたかなー?ぐらいにしか感じない。はー、スキルレベルが1だとこんなものなのか……。スキルレベルを上げない事には砂漠を進むのは無理だな。しばらくは直ぐに戻って来れる所で耐暑のレベルが上がるのを待つか。直ぐに戻れる所にモンスターが居れば狩りをしながら上げられるんだけどなぁ。探してみるか」
砂漠と岩山の境目を歩きながらモンスターの気配を探っていく。
「んー、ん?あっちに気配がする様な気がするな。かなり薄いから良く分からないけど、とにかく行ってみるか」
何となく気配がする砂漠の方へと入って行く。
「ふぅ、やっぱり暑いな。しかし、この辺りだと思うんだけど何も無いな。気のせいだったか?」
そう思っていると、目の前の砂が突如盛り上がってきた。
「うわっ!なんだ!」
砂から出て来たのは体の部分だけでも1メートルはありそうな巨大なサソリだった。
ビッグスコーピオン Lv16
状態 アクティブ
サモナー
「砂に潜ってたせいで気配が感じ難かったのか。うわぁ、絶対あの尻尾で刺されたくねぇ……。絶対毒あるだろうし。でも仲間に出来るモンスターか。俺1人で半分も削れるかな?魔法でゴリ押せば何とか行けるか?とりあえず最初は皆で倒すか」
アッサム、ゴブスケ、カルマが近付き攻撃を開始すると、ビッグスコーピオンもそのハサミを振り下ろして攻撃してきた。攻撃されたゴブスケはそれを躱すが、振り下ろされたハサミが砂地に当たると砂が巻き上がり視界が悪くなってしまった。
「くっ!あれ?何処に行った?」
舞い上がった砂埃が落ち着くとそこに居たビッグスコーピオンが居なくなっていた。何処に行ったかとキョロキョロと注意深く周りを見渡していると、ハルトの後ろの砂が盛り上がりそこからビッグスコーピオンが出て来た。
「なっ!そんな所まで移動すんのかよ!」
ハルトの後ろに現れたビッグスコーピオンがそのハサミをハルトに向かって横薙ぎに振るってきた。
「ぐわぁぁぁ!」
何とか腕でガードはしたものの、ハルトの筋力では全く踏ん張る事が出来ずに吹っ飛ばされてしまった。
「うっ、ぐぅぅ。マジかよ、たった一撃でHP半分以上減らされた」
吹っ飛ばされたハルトに追撃をかけようとビッグスコーピオンが近付いてくる。
「や、やばい」
近付いてくるビッグスコーピオンに向かって横からゴブスケがいち早く駆けつけて攻撃し、注意をハルトから逸らしてくれた。
「サンキュー!ゴブスケ!」
ゴブスケが注意を引いている間にハルトは体勢を立て直した。
「また潜られると今度は死に戻りかねないな。アック!皆が注意を引いている内に後ろから近付いてビッグスコーピオンの尻尾を掴んでくれ!」
アッサム、ゴブスケ、カルマが攻撃を加えると攻撃のターゲットを3人に絞ったのか3人にハサミで攻撃してくる。
その間に後ろに回ったアックがビッグスコーピオンの尻尾を掴む。
「今だ!皆攻撃しまくれ!ファイヤーアロー!」
アックが抑えている間に前衛3人が武器で攻撃し、ハルトとプリンは魔法で攻撃を加えてやっと倒す事が出来たのだった。




