88話 ジャイアントフォレストオウル戦
「ふむ、どうやら俺達が1番乗りの様だな」
色々試しながら進んでやっと北の森のフィールドボスの手前までやってきた。
「このまま突入するんですか?それとも他の人達を待ちます?」
俺がそう聞いてみると。
「いや、待つ必要は無い。準備が整い次第ボス戦へ突入しようと思うのだが……どうだ?」
「私達はそれでいいわ?ハルト君はどう?」
「俺も構わないですよ。特にMPも消耗している訳ではないですし」
「うむ、それじゃあこのまま突入しよう。作戦は先程の通りに」
ファルコの言葉に皆が頷きフィールドボスが出る地点へと足を踏み入れて行く。
ボスが出る地点へ足を踏み入れて少しした時に。
「皆伏せろ!」
突然のファルコさんの叫びに咄嗟に皆が身を伏せると、その上を何かが通過して行った。
通過したのを確認した後に顔を上げ周りを確認すると枝の上にフィールドボスである、ジャイアントフォレストオウルがこちらを見下ろしていた。普通のフォレストオウルよりも倍以上の大きさだ。
「あれがフィールドボスのジャイアントフォレストオウルですか?」
「そうよハルト君。見た目以上に素早いから注意してね」
ジャイアントフォレストオウル Lv21
状態 アクティブ
お?鑑定でボスのレベルが見える様になってるな。俺のレベルが上がったのと鑑定のレベルが上がったからか?
ボス戦が始まると十兵衛さんが盾を取り出し構えた。たしかジャイアントフォレストオウルの攻略法は魔法でゴリ押しか盾持ちが体当たりを防いで動きを止めた隙に他の皆で攻撃するっていうのを繰り返すのがセオリーだそうだ。だが今回は……。
「では皆、作戦通りいこう!」
「分かりました!」
「はい!」
「ええ!」
「よっしゃー!」
最初に動いたのはハルトだった。この中で唯一の魔法職なので離れている時はハルトが攻撃する事になっていた。
「フォールウィンド!」
選択した魔法はフォールウィンド、つまり上空から振り下ろす風魔法だ。この魔法は空を飛ぶモンスターには効果抜群らしく格下なら大体落とせるらしい。しかし…。
「やっぱりボスだけあって落とすまではいかないか」
俺の呟きを聞いていたロバートさんが。
「いや、それでもあそこまで地面に近付けりゃ上等だよ。普段ならあそこまで下ろすのも苦労するってもんだからな。その証拠にほら」
ロバートさんが言う通り地面に近付いてきたジャイアントフォレストオウルへ向かってファルコと十兵衛が走り出し攻撃を加えていた。
「あの辺は流石攻略組だよな。おっと、俺もいかないと」
少し遅れてヤヨイとロバートも加わり攻撃をしたのだが直ぐに上空へと逃げてしまった。しかし、それでもHPバーを見ると1割程減っていたので中々良い攻撃だった様だ。
上空へ逃れたジャイアントフォレストオウルはこちらを警戒しながら風魔法を放ってきた。
「俺の後ろへ!」
その言葉と同時に皆が十兵衛さんの後ろへと下がる。そして、十兵衛さんが盾を構えて魔法を受け止める。
「聞いてはいましたけどやっぱり空から魔法を使ってくるのは厄介ですね」
「そうね、1マス目のボスで唯一魔法を使ってくるボスだからね」
魔法攻撃が止むとジャイアントフォレストオウルはこちらへ向かって体当たりをしようと突っ込んできた。
「俺が体当たりを防いで隙を作る!」
その言葉通り十兵衛さんは見事ジャイアントフォレストオウルの体当たりに吹っ飛ばされずに耐え、ジャイアントフォレストオウルに隙を作った。その隙を活かして皆がジャイアントフォレストオウルへ攻撃を与えていく。俺は攻撃に加わらずに十兵衛さんへヒールをかけていた。さっきの体当たりで十兵衛さんのHPが少し減っていたからね。
それに気付いた十兵衛さんは、「ありがとう」とお礼を言ってきてくれた。
体勢を立て直したジャイアントフォレストオウルが再び上空へと逃れようとしたその時、今まで姿を隠していたカルマがジャイアントフォレストオウルの上空から思いっきり剣を振り下ろした。
カルマに気付いていなかったジャイアントフォレストオウルはカルマの強烈な一撃を受けて地面へと激突したのだった。
「今だ!」
ファルコの掛け声に皆が一斉に、持てる最大威力の攻撃を繰り出した。
「「一点突き!」」
「「回転斬り!」」
ファルコさんとロバートさんが槍で一点突きを、十兵衛さんとヤヨイさんが剣で回転斬りを繰り出した。というかヤヨイさん俺より剣のレベル高いんだな。俺まだ回転斬りなんて使えないんですけど……。ま、まぁ、俺は魔法職だから気にしないけどね!
「ファイヤーアロー!」
俺も今使える魔法で1番威力が高いであろうファイヤーアローを使い、カルマは何か分からないけど闇魔法でダメージを与えている。全員の攻撃がかなり効いたのかジャイアントフォレストオウルのHPは5割を切り、更に上空へと逃れる事も出来ずにもがいている。そこを見逃さずに全員でボコボコにした結果、ジャイアントフォレストオウルを1度も上空へ逃す事無くHPを全て削り切り、今までのフィールドボスよりもかなり短時間での討伐に成功したのだった。




