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87話 北の森攻略開始

「よーし!早速出発するぜ!」


「何で貴方が仕切ってるのよ」


 「だって早く行かないと他の組に負けちまうぜ?」


 「別に勝ち負けを競ってる訳じゃ無いのよ?」


 ジャンケンで勝てたロバートが気分良く号令をかけてヤヨイと掛け合いをしながら北門から森へと入って行く。


「ふむ、それが噂の……」


「二つ名持ちか、確かに強そうだな……」


 ファルコさんと十兵衛さんは俺の召喚したカルマを初めて見るからかマジマジと観察してるな。ちゃんとした攻略組の人にもやっぱり凄そうに見えるんだな。


「おっと、既に森の中に入っているんだ。油断は禁物だな。気を引き締めていかんとな。気配察知のスキルを取ってる者は何人居る?」


 「私とロバートは持ってないわ」


 「あ、俺は持ってます」


 「ふむ、なるほど。でも君は普段はソロ活動がメインだったね?」


 「そうですね」


 「ならパーティを組んだ時の動きが分からないだろうから今回は俺が斥候役を務めよう」


 そう言ってファルコさんが前へ行って少し離れた位置に行くと、さりげなく十兵衛さんが俺達の前を歩き全体に気を配っている。正直前にヤヨイさん達と組んだ時はあまり連携とか無かった気がするけど、流石攻略組ってところだな。そういうのが自然と出来るっていうのは、なんかカッコイイよなー。もし、真梨達とパーティを組む事があったら俺もこんな風にさりげなくサポートしようっと。


 そんな事を考えながら歩いていると、先頭のファルコが歩みを止めハルト達に向かって手を伸ばし掌を向け制止するよう合図した。どうやらモンスターを見つけた様だ。モンスターを見つけたファルコはハルト達の方へ近付いて来て。


「前方にモンスターが2匹居る様だ。ボス戦の前に俺達の実力を見せておいた方が良いからここは俺達に任せてくれないか?」


「私は別に構わないわよ。ハルト君は?」


「俺も構わないですよ。お二人の戦い方を見てみたいですし」


「おっと、それじゃあ期待に応えないとね」


 ハルトの言葉にニヤリと笑いながら答える十兵衛。前にいるファルコの元に行き並んで立つと、前方からオオカミが2体現れたのだった。


「俺が右を仕留めますんでクラマスは左をお願いします」


 そう言って十兵衛さんは腰に差していた剣を構えた。十兵衛さんは剣士みたいだな。ファルコさんは槍を構えてるからランサーかな?ファルコさんの武器は何か分からないけど十兵衛さんの剣は鉄製?かな?


「ふん!」


 先に動いたのはファルコさんだった。持っている槍でオオカミを離れた所から突いて攻撃するのかと思いきや近付いてぶっ叩いてる。……マジ?しかもそれで怯んだ隙にオオカミの頭を踏んで脳天から槍を突き刺してるし……。クレイジー過ぎるだろ……。


「はっ!」


 そんでもって十兵衛さんの方は……こっちは正統派って感じの戦い方だな。無理に突っ込まず相手の攻撃を避けつつ斬り裂いていく。お手本の様な動きだな。このうごきは見習いたいもんだ。2人共あっさりとオオカミを倒しちゃったよ。流石だな、これが本当の攻略組の実力か。


「はぁ、凄いですね。ファルコさんの豪快な戦い方も十兵衛さんの安定的な戦い方も」


「凄ぇだろ?ハルトも剣を使うから十兵衛さんの動きは参考にすると良いぞ?実際十兵衛さんの動きを真似てるファイターは多いんだ」


「分かる気がします。俺もあんな動きしてみたいですもん」


 2人はそれぞれ倒したモンスターに解体ナイフを突き立てている。今回モンスターを倒して手に入れた素材は後で山分けにする事になった。俺はいいと言ったんだけど俺のところは俺とカルマで2人分で計算してくれるらしい。更に、迷惑料ということでファルコさんと十兵衛さんの分の素材も貰える事になってしまった。貰いすぎで逆に申し訳なくなってくるな。その分活躍しないとな。あ、2人が戻って来た。


「お見事でした」


「少しは良いところを見せれたかな?」


「凄く参考になりました!」


 「俺のは参考になったかな?」


 「ご、豪快でしたね。俺のステータスではちょっと真似出来ないかと…」


 「ふむ、そうか。それは残念だ」


 「クラマスの戦い方は特殊だから参考にならないっていつも言ってるじゃないですか。セオリー通りの戦い方も出来た方が良いですよ?」


 「……善処する」


 「そういえば十兵衛さんの剣は鉄製の剣ですか?」


 「これか?ああ、普通の鉄製の剣だよ。β版からのプレイヤーじゃないからね。正式版で作った武器だよ。これも君のお陰なんだけどね」


 そう十兵衛は笑いながら話す。


 「俺の?どういう事ですか?」


 「この剣に使われてる鉄鉱石は君が発掘した物なんだよ。君がヤヨイさん達に売却してくれてなければまだ鉄製の装備は手に入らなかっただろうからね」


 「今回のイベントで鉄鉱石は結構出回りそうだからそんなに関係無さそうな気もしますけど……」


 「攻略組っていうのはいち早く新しいマップに行って新しい素材をとってくる。そして、新しい装備を作ってまた先を目指す。だから他のプレイヤーよりも先に鉄製の装備が手に入っているのは非常に価値がある事なんだよ」


 「へー、そういうものなんですね」


 なるほどねー、他のプレイヤーが持ってない時期に持っているって事が大事なのか。なんか納得。


 「それじゃあ次のモンスターが出たら俺とカルマが戦ってみますね」


 「うむ、君達のお手並みも拝見させて貰おう」


 その後、斥候役のファルコがモンスターを発見し、それをハルトとカルマが倒すと、カルマの強さを目の当たりにしたファルコと十兵衛は唸りながら敵として現れた時どうするか話しあっていた。

 ハルトの次はヤヨイとロバートが戦ったが2人も生産職とは思えない見事な戦い振りを見せた。ハルトは2人がジャイアントゴーレム戦の時よりも強く、そして上手くなっていると感じた。

 ヤヨイとロバートが戦った後は全員でボス戦に向けての連携の確認や、対策などを話し合いながら進んで行った。

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