85話 扉のその先へ
『ゴブスケのレベルが上がりました。任意のステータスを1つ上げて下さい』
ふぅ、意外と楽に倒せた気がするな。そして、ゴブスケのレベルが上がったか。いきなりゴブスケって事は俺のスキルレベルは何も上がらなかったって事か、残念。ゴブスケは体力を上げとこう。
『プリンのレベルが上がりました。任意のステータスを1つ上げて下さい』
プリンも上がったか。相手が火魔法を使ってきたから少しプリンにはキツイかと思ったけど上手いこと水魔法をぶつけて相殺してたな。これも器用が高めだからかな?それじゃあこれからも期待してプリンは器用を上げとこう。
『アックのレベルが上がりました。任意のステータスを1つ上げて下さい』
やっぱりアックも上がってくれたか。この長い通路で上がって無かったから後少しだったのかもしれないな。アックには今後も壁役をお願いしたいから体力を上げとこう。
ステータス操作を終えると石像が乗っていた台座が動き、その下からお宝が出てきたのだった。
【特殊アイテム】
黄色い宝玉 品質? レア度?
岩山の洞窟の2階にある試しの扉を抜ける為のお宝の1つ。
「これで3つ揃ったか。何とか今日中に全部集める事が出来たか」
お宝を全部集めたハルトは通って来た通路をモンスターを倒しながら戻り、ワープポイントのあった大広間へと辿り着く。
「やっと戻って来れたか。先には進めないと思うけど試しの扉だけ開けてみるかな?」
そう思い試しの扉へと近付いて行くと。
『3つの宝の存在を確認した。恐れずそのまま進むがよい』
「これで進める様になったみたいだけど何も変わってないよな?扉が開くようになったのかな?」
そう思い扉を開けようと扉を触ろうとすると…。
「うわっ!……びっくりした」
ハルトが扉を開けようと触るとハルトの手が扉をすり抜けたのだった。
「俺の手が扉をすり抜けたのか。恐れずそのまま進めってそういう意味なのか」
恐る恐る手を前に突き出しながら扉に向かって歩き出し、ハルトは扉をすり抜て行った。
「おお!無事に通り抜けられたな!しかし、扉を抜けた先もまだ洞窟みたいだな。時間的にここから先は夕飯を食べてからログイン出来そうなら進んでみようかな」
そう決めてハルトはワープポイントのある大広間へと戻りログアウトしたのだった。
「ふぅ、何とかお宝を全部集められて良かったな。さて、今日のご飯は何かなー」
「お兄〜ご飯だよ〜」
「だからノックをしろって言ってるだろ真梨。それより真梨はもうログアウトしてたんだな。最初だし中々ログアウトしないんじゃないかと思ってたよ」
「本当はもうちょっとゲームしてたかったんだけどねー。今日は美奈ちゃんに用事があったから早めにログアウトしたんだよ」
「へぇー、そうだったのか。俺と別れた後は何をしてたんだ?」
「街の外に出てレベル上げしてたよ。とりあえずレベルは5になればテイマーなら2人でフルパーティ組めるんだって」
「美奈ちゃんはちゃんと考えてるんだなぁ。サモナーと同じならレベル5で同時に連れていける数が増えるからお互い2人ずつ連れていけばフルパーティになるからな」
「そう、だから最初の目標はレベル5にする事だって」
「その方が良いだろうな。数が多いのは有利になりやすいからな」
「お兄の方は何してたの?」
「俺か?俺はイベント前の続きだな。マップ攻略してたな。明日は他の人達と一緒に違うところを攻略する予定だけどな」
「へー、初日からやってるだけあってやっぱりお兄も進んでるんだねー」
その後も雑談してたら母さんが来て、早くご飯食べなさい!と怒られた。そういえば真梨はご飯に呼びに来てた事を忘れてたよ。
ログイン
やっぱり扉の先がどうなってるのか気になるからログインしちゃったよ。さーて、扉の先がどうなってるのかちょっと進んでみますかね。時間はあんまりないから先を見たら今日は終わらないといけないけどね。まぁ、夏休みは始まったばっかりだし焦ってやる必要はないからね。
「ライト」
ライトを使い視界を確保した後はログアウト前と同じ召魔達を召喚する。
「そうか、まだ48時間経ってないから消費MP0で良いのか!これは便利過ぎるな!」
消費MP0で召喚出来た事に喜びつつ試しの扉の方へと向かい、試しの扉をすり抜けて行く。
「さて、ここから先はどうなってるかな?出来たら新しい展開が早く来てくれたら良いんだけど」
そこからの通路は特に分岐も無いまま現れるモンスターを倒しながら進んで行く。現れるモンスターも今までと同じで、レベルもこのフロアに現れる物と同じ位だった。
「この洞窟は特に入り組んでたりはしないんだな。ほぼ分岐とか無いし。まぁ、序盤っていうのがあるからかもしれないけど」
そんな事を考えながらも蛇行する通路を進んで行くと、通路の先から風が吹いて来るのをかんじた。
「これは……。風?という事はこの先は出口って事か?」
興味が抑えられないのか少し早足になりながら進んで行くと、やはりそこは外に繋がっていて、どうやら洞窟はここで終わりの様だった。
「ここで洞窟は終わりか。洞窟を抜けた事で4マス目に入ったみたいだな。2階に居たせいか少し高い所に居るみたいだけど夜だから遠い所までは見えないな」
折角高い場所に居るのに遠くを見渡せないのが残念がっていたが魔法でどうにか出来ないか考えた結果。
「ノクトビジョン。おおー!これは……」
ハルトの居る岩山の下には砂漠が広がっていた。




