84話 お宝を集めよう2
分かれ道を右へと進んで行き、程なくして行き止まりに辿り着く。その行き止まりには扉があった。
「やっぱり部屋があるか。それにしてもこっちの道は案外直ぐに辿り着いたな」
念の為そーっと扉を開けて中を確認するがモンスターの姿は見えず、先程のスライドパズルがあった部屋と同じく部屋の真ん中に石碑があった。
「さっきの部屋と同じか、『宝を求める者よ。そなたの知恵を試そう。この石碑の裏にある知恵比べをクリア出来れば宝をそなたに授けよう』か、ここまでは同じだな。けど、『ただし不正解は3回までとする』が追加で書かれてるな。不正解は3回まで?クイズか何かか?」
とにかくどんな問題なのかと石碑の裏へと回ってみると。
「同じ絵が2つ、いや、これは間違い探しか!」
石碑の裏に描かれていたのは2体のスケルトンが戦っている姿の絵が2つあった。
「うわぁ、俺苦手なんだよなぁ……。それで不正解は3回までか。幸い制限時間は無さそうだし、じっくり見て考えればいけるだろう。間違いは5つあるみたいだな」
間違いは5つあり、間違いのある箇所を触れと絵の上に書かれていたので、ハルトは2つの絵を見比べて間違いを探していく。
「あった!先ずは左のスケルトンが持ってる剣の長さが違うな。2つ目は右のスケルトンの目の部分に目玉があるな。スケルトンに目玉があると不気味だな。他には……地面の石の大きさが違うな。これで3つ、残りは後2つか。意外と順調だな」
良いペースで3つの間違いを探せたので気分良く残り2つを探していたのだが……。
「うーん、残り2つが中々見つからないな。うーん、うーん、うーん?何だアッサム?ここ?うーん、あっ!左上の月の中の影の部分がちょっとだけ違う!アッサムお手柄だな!」
お手柄なアッサムを撫でてやると少し誇らしげに胸を張って嬉しそうにしていた。
「これで残りは後1つだな!皆も頑張って探そう!」
しかし、気合いを入れたのだが残り1つが中々見つからずに1時間が経過してしまった。召魔達も絵の方を指さしたり召魔同士で相談している様な仕草を見せるが、最後は首を振って正解を見つけられないようだった。
「ぐぅぅ、まさか間違い探しでこんなに時間を使ってしまうとは……。何とか今日中にお宝を3つ全部集めたいのに……。ぐぬぬぬぬ」
残り1つの正解が見つけられず悔しがっていると、ゴブスケが突然興奮した様子で絵を指さしていた。
「どうしたゴブスケ?まさか見つけたのか!」
ハルトの問に興奮してコクコクと頷き右のスケルトンを指さす。
「右のスケルトンか?んー、分からないな……。どの辺だ?」
ゴブスケが絵に近付いて更に詳しい場所を指さす。それに釣られて他の召魔達も絵に近付いて絵をじーっと見つめている。
「ここか?骨盤辺り?うーん、え?まさかこれか?んー、確かにちょっと違うような違わないような……。骨盤と背骨の付け根辺りの骨が1つ多い?まぁ、不正解は3回まで認められてるんだしやってみるか」
そう思い右のスケルトンの骨盤と背骨の付け根辺りを触ると……。
「よっしゃ!来たぁぁぁ!ナイスだ!ゴブスケ!」
嬉しくてハルトはゴブスケを撫でた後ハイタッチしたのだった。正解を見つけたゴブスケは得意満面の笑みを浮かべていた。
そして、5つ全部正解した事により石碑が動き、前回と同じ様に下からお宝が出てきたのだった。
【特殊アイテム】
青い宝玉 品質? レア度?
岩山の洞窟の2階にある試しの扉を抜ける為のお宝の1つ。
「今度は青い宝玉か。これで残りは1つだな。予想以上にここで時間を食ったからな。急いで見つけたいところだな」
部屋を出て通路を戻り、先程とは違う方の通路を進んで行く。
今度の通路は先程とは違い、モンスターも襲って来る上に次へ辿り着くまでの道程が長かった。
「今度の道は長いな。さっきまでが短かったから余計に長く感じるな。でもそのお陰で俺のスキルレベルが幾つか上がったんだけどね」
その後も進み続けやっと扉の前へと辿り着いた。
「ふぅ、やっと着いた。ここはどんな問題なのかなっと」
扉を無警戒に開けると、部屋の真ん中には石碑ではなく尻尾が3本ある狐の石像があった。
「あれ?今度は石像?」
疑問に思いつつ石像に近付いて行くと。
『宝を求めし者よ。宝が欲しくば力尽くで奪ってみよ!』
そう言い終わるのと同時に石像が台座から飛び降りた。すると石像の左右に同じ尻尾が3本ある狐の石像が現れ、ハルトに襲いかかってきた。
「最後の最後に戦闘になるのかよ!こんな事ならMP回復しておけば良かった!」
戦闘になると思っていなかったので完全に先手を取られ、狐の石像が尻尾でハルトを攻撃してきたが、間一髪アッサムがハルトの前に入って石像の攻撃を防いでくれた。
「助かったアッサム!」
アッサムが防いで時間を稼いでくれた間にハルトは後方へと下がって行き石像を鑑定してみる。
宝の守護像 Lv18
状態 アクティブ
「レベルが見えるって事は前に戦ったやつよりは格下かもしれないな。俺達のレベルが上がっただけかもしれないが。ともかくカルマは右の1体を頼む!後の2体は俺達でやるぞ!」
カルマに1体を託し、残りの2体を自分達で相手取る事に決め攻撃を開始したのだった。
狐の石像は体当たりと尻尾による攻撃、火魔法といった攻撃を繰り出してくるが度重なる格上との戦闘経験が役に立ったのかあまり脅威には感じず、冷静に立ち回る事が出来ていた。
「今までのボスとかに比べたらまだ余裕があるな」
最初にカルマが相手をしていた石像を破壊し、ハルト達の方へ援護に来るとそこからはあっという間に残りの石像2体も破壊する事ができ、意外と呆気なく戦闘を勝利で終わらせる事が出来たのだった。




