72話 女王蟻との再戦
やっとクイーンの居る部屋の前まで辿り着いたか……。ここ数日間はリベンジする為だけに行動してたからな。今回は何が何でも勝ってやる!
気付かれるといけないのでコソッと気合いを入れる。
「最初は俺とカルマが初っ端に範囲魔法攻撃をぶっ放す。それで多少は数を減らせる筈だ。魔法を打ち終わったらヨナギはクイーンへ魔法で気を引いて産卵の妨害してくれ。その間に残った皆で先ずは雑魚を片付けるぞ!雑魚を片付けた後はクイーンへ集中攻撃だ!」
召魔達へ指示を出し、杖技の精神集中を使いストームエッジと同時に取得したスピードアップを全員にかけMポーションを飲んでから部屋へと突入して行った。
「ストームエッジ!」
部屋へ入って開戦の合図と言わんばかりに魔法をカルマと共に放つ。
カルマと同時に範囲魔法を撃つのは初めてだけど威力が上がってる気がするな。同時に撃つならなんでも良いのか、それとも風と火だから相性が良いのかは分からないけどこれは嬉しい誤算ってやつだな。
炎が治まり視界が良くなるとレッドアントは全滅し、残っていいるのはソルジャー、コマンダー、クイーンのみになっていた。どうやら強化された威力の魔法により奥にあった卵にもダメージが通り、孵化出来ないぐらいの損傷が見られた。それでもソルジャー以上のレッドアントの数も多く、またクイーンの産卵を妨害しないとまた数が増えていくのでまだまだ気は抜けないのだが。
「ここからはさっきの作戦通り行くぞ!カルマはコマンダーを中心に倒してくれ!アッサム!ミュエル!ソルジャーは俺達で倒すぞ!」
そう言うとヨナギは一直線にクイーンの元へと飛んで行きその周囲を魔法を使いながら飛び回っていた。
その様子が気にいらないクイーンはヨナギに対して噛みつきや体当たり、そして魔法も使ってくるが的が小さく、俊敏を上げたヨナギにヒラヒラ躱され更にイライラが募っている様だった。
あの調子なら暫くは大丈夫そうだな。それでもヨナギのHPではクイーンの攻撃を一撃でも喰らえば致命傷になりかねないからな。なるべく早く雑魚共を倒さないと。
残ったソルジャーのHPは半分以下、コマンダーのHPは残り6割強まで減っていたので倒すのも楽だと思っていたのだがクイーンの取り巻きという事でレベルが高かったのか中々苦戦させられた。特にコマンダーは魔法を使ってくるのでこちらも被弾する事があり、HPが半分になったら直ぐにポーションで回復させていた。しかしポーションを使うと次に使うにはクーリングタイムが10分あるので時折ヒールでも回復させる必要があった。
なのでハルトは攻撃にあまり参加せずに周りを見て召魔達のHP管理もしなくてはならないので思うようには戦闘が進まないでいた。
むぅ、やっぱりクイーンのせいで雑魚扱いしてたけどやっぱりコマンダーも強いな。魔法を使ってくるから厄介だ。
それでもカルマにコマンダーを中心に処理していって貰ってるから数はあと少しなんだが。
そして少ししてソルジャーも全て倒す事が出来、残すはコマンダー数匹とクイーンのみになった。
残り数匹となってもやっぱりコマンダーはしぶといな。アッサムやミュエルの攻撃でもHPを中々減らし切れずに反撃を受けてしまう。回復する為にポーションやヒールを使うから俺のMPもゴリゴリ削れてしまうのだ。まだ回復アイテムの数はあるが本命のクイーンとの戦いの為にも残しておきたいところだ。
俺もコマンダーのHPを削る為に近付いて斬って、蹴るのコンボを繰り出してみたけどコマンダーは魔法を使って来るから蹴り飛ばして距離を稼いでもあまり意味が無いとわかったので大人しくサポートに徹している。
そうこうしている内に漸くコマンダーも全て倒しきり残るはクイーンのみになった。
「良し!皆でクイーンを取り囲むぞ!攻撃を受けない様に攻撃よりも回避に重点を置くように!」
アックの様な大きい壁役が居ないから固まって攻撃するよりは目標を分散させた方が良いだろう。クイーンに範囲攻撃みたいな物が無いとも限らないからな。
それにしても俺達が雑魚共を倒してる間にも回避を重視して貰ってたにしても何度かはヨナギの魔法を受けてるっていうのに全然ダメージが見えないな。
自分の子供達を皆殺しにされたクイーンの目が真っ赤に染まり、怒り狂い、攻撃が激しくなってきたのだった。
「ゴブリンリーダーみたいに周りを先に倒すと行動パターンが変わるタイプのボスだったか!しかも強化されるとか最悪のパターンじゃねぇか!」
噛みつき、体当たり、魔法を高頻度で繰り出すクイーンの攻撃は暫く続き、その間はハルトも召魔達も回避に専念し、攻撃が出来ないでいた。
しかし、ある程度時間が経つとクイーンの攻撃も息切れしてきたのか目は真っ赤に染まったままだが段々攻撃頻度が下がって来たのだった。
「良し!今の内に皆で叩くぞ!」
こうしてクイーンとの本格的な戦いが始まったのだった。




