7話 妹
何だったんだ今のは?そうだ!まだアッサムの所に2匹居るから、早く助けに行かないと!
そう思い視線を向けると丁度2匹目にアッサムがトドメを刺すところだった。
俺は1匹でも苦戦しまくりなのに、アッサムは2匹相手にして勝てるのか‥。
しかし、倒すことを優先したのかアッサムのHPがかなり削られていた。
ここはアッサムが優秀な前衛だったと喜んでおこう!
少し落ち込んだが、気を取り直してアッサムの頭を撫でてやり、ゴブリンに解体ナイフを突き刺していく、1匹目からは何も取れなかったが、2匹目からは小さい親指の先ぐらいの石が取れた。
何だこれ?と思いながら小さな石に鑑定すると。
【素材アイテム】
名称 魔石の欠片 品質E レア度1
魔力が結晶化した石の欠片。
魔石の欠片か、取り敢えずドロップ品は確認したし、スキルレベルも幾つか上がったし、もうそろそろ日も暮れるし、一旦引き上げるか。
ドロップ品を確認して満足したハルトは街に引き返す事にした。その途中に光る場所を見つけそこに向かい、光に手を伸ばすと薬草を3つ入手出来た。
成る程こういう風に薬草とかは採取するんだな。しかも1度に何個か取れるみたいだな。
もう1度手を伸ばそうとするが光はもう消えていた。
採取出来るのは1回だけって事か。だから1度で何個か取れたんだな。これなら採取も楽そうだな。
そう思いながらハルトは街に帰って行く。
街に帰って来た時には辺りはすっかり暗くなっていて、街灯に明かりが灯っていた。
この街灯はどうやって光らせてるんだろ?多分電気なんか無いと思うんだけど。
この世界では電気は無く、電気の代わりに魔石が用いられている。その為魔石は高値で取り引きされている。
夜の街の様子を見ながらハルトは、ログアウトすべく広場に向かって行く。
夜の街も結構綺麗だな。‥‥そういえば、ゴブリンの死体が光になって俺の中に入って来たけど、もしかしたらゴブリンを召喚出来るようになっているのかな?試してみるか。
「サモン・モンスター」
新規召喚リストを確認すると、そこにはゴブリン(1)と書かれていた。
お!やっぱりあった!これは後でログインした時に召喚しなくちゃな!召喚出来るようになったって事はもしかして1人で倒さないとダメなのか?それだとキツ過ぎるんだが‥
それに名前の後ろの数字はなんだ?召喚出来る回数か?同じモンスターを召喚するのにもまた1人で倒さなきゃいけないのかよ‥
サモナーが人気無いのが分かった気がするな。まぁ今更サモナー辞める気は無いけどね。
広場に到着すると、ベンチに座りハルトはログアウトして行く。
ログアウト
さて昼飯までもうちょっとあるから学校の課題でもやっとこうかな。
そしてしばらくして。
「お兄〜お昼だよ」
「わかった。今行くよ」
俺を呼びに来たのは妹の真梨、年は3つ下の中学2年生だ。
「あれ?宿題やってだんだ。てっきりゲームしてるのかと思った」
ノックもせずに笑いながら入って来る真梨にため息をついた。
「真梨。人の部屋に入る時はノックしろっていつもいってるだろ?」
「別にいーじゃん。お兄は細かい事気にしすぎだよ」
「いや、全然細かくないから。はー、まぁいいや。昼飯だろ?さっさと行くぞ」
昼食を終えて部屋に戻って来た冬馬は、パソコンの前に座り、ドアの方に体を向ける。
「なんで真梨まで俺の部屋に来てるんだ?」
「お兄の事だからもうGPOをちょっとはやったんでしょ?どんな感じだったの?教えてよ」
「ん?ああ、そういえば真梨はGPOを予約してるんだったな」
「うん!今度の販売分のやつを予約ずみだよ。買ったら友達と一緒にやるんだ!」
「友達と一緒にやるのか、始めたって言ってもまだちょっとしかやってないから、あんまり詳しくはないけど、ゲームの中とは思えないぐらいリアルだったな。まあ戦闘はちょっと大変だったけどな」
冬馬が思った感想を言ってやると、真梨はそれから色んな事を聞いてきたので答えてやると満足して部屋を出て行った。
さてと今ログインしても、まだ向こうは夜だからちょっとだけ掲示板でも見てみようかな。