66話 大変そうです
あー、やられたぁ。
死に戻り広場へと戻って来たハルトは落ち込んみ座り込んでいた。
最初のイベントであんなのアリかよ……。この運営クリアさせる気あるのか?β版でジャイアントゴーレムにクレーム入れた人達の気持ちが分かるわぁ。
それとペナルティの確認もしとかないとな。
プレイヤー名 / ハルト Lv18
職業 / サモナー Lv18
ステータス
HP 20/20(-20)
MP 60/60(-55)+15
体力 4(-4)
魔力 12(-11)+5
筋力 3(-3)
精神 7(-6)+5
器用 5(-5)
敏捷 4(-3)
うわぁ、見事に半減してるな。小数点は切り捨てで、装備の分はそのままか。
あー、所持金も半分になってるな……。流石に4万消えたのは痛い…。これでますます融魂が出来なくなったか…。
後は所持品も無くなるんだっけ?こっちは売らずに残してた素材とかが何個か無くなってるな。貴重な物は無かったしこっちの被害は少ないな。
ペナルティを確認し終えステータス画面を閉じ今後の事を考えていると、ふと声をかけられた。
「あれ?ハルトじゃねぇか。こんなとこで座って何してんだ?」
「ロバートさん?」
「おう。俺はここでパーティ組むやつらと待ち合わせなんだがハルトは1人だから待ち合わせとかじゃねぇよな?……ははーん、さてはハルト死に戻ったな?」
「…………」
「……え?まじか?冗談のつもりだったんだが、4マス目にでも行ったのか?」
「いえ、イベントです」
「はぁ!今回のイベントでハルトが死ぬ様な敵が出て来んのか!?」
「出て来ましたね。理不尽なのが」
「あのハルトが理不尽って思うとは…ここの運営クリアさせる気あんのか?」
ん?あのってどういう事?俺は至って普通にプレイしてるだけなんだけど?俺まで理不尽枠に含まれてません?気のせいかな?
「ロバートさん偶然ですね。俺も同じ事思いましたよ」
「どんな相手だったんだ?あ、言えたらでいいぞ?」
「俺は別に構いませんよ?別に隠したりする様な情報じゃ無いですし」
「……頼むからハルトはもう少し自分の持ってる情報大切にしろな?どれだけ貴重な情報もあるか自覚しろ?」
「そうですかね?普通にプレイしてるだけなんですけどね?」
「……まぁいい。話しを聞かせて貰う方としては文句は言えんしな。ここじゃなんだからちょっと端の方へ行くぞ」
「え?待ち合わせは良いんですか?」
「ここが見える範囲に居れば問題無いだろ」
という事で広場の中央が見えて人が少ない広場の端へと移動した。そしてクイーンが居たアリの巣の事を話した。
「んー、なるほどな。アリの巣なんだから女王蟻が居てもおかしくはないと思ってたが初めてのイベントでそんなイカれたスペックをしてくるとはな。まぁ、ジャイアントゴーレムの時の例があるから納得は出来るが」
「ええ、カルマもやられてしまったんでどうしようか悩み中です」
「二つ名持ちでもやられるってのは大ニュースだな。なぁ、この情報を掲示板にあげても良いか?それとも自分であげるか?」
「俺は読み専なんでロバートさんがあげてもらっても構わないですよ」
「サンキューな、皆に知らせて対策考えれば何とかなるかも知れないからな」
なるほど。情報を公開する事によって皆の知恵を借りるのか。そういうのもアリなんだな。
「良い案が出るか拝見させて頂きます!」
「おう!気が向いたらハルトも書き込んでくれな」
「気が向いたら」
「書かなそうだな…。まぁいいか。クイーンが居そうなアリの巣の特徴も分かってるんだし攻略組もクイーン狙いで動くだろうし直ぐ情報は集まりそうだな」
「攻略組ですか……」
攻略組というワードが出た途端ハルトの顔色が暗くなってしまう。
「どうか……あー、たしかどっかのバカがサモナーに絡んでたって話しがあったな」
「そうですね。そのせいであまり攻略組っていうのに良いイメージがないんですよ」
「それは仕様がねぇなとは思うけど、一応言っとくけどあいつらは攻略組って言っても自称だとは言っとくぞ?」
「そうなんですか?」
「ああ、一応アイツらが所属してたクランはちゃんとした攻略組のクランだがアイツら自身はあんまり攻略とかしてなかったらしいな。横から来てイチャモンつけたり他のパーティが倒して手に入れたドロップアイテムも俺達が先に見つけたモンスターだと言い張って強奪したりとやりたい放題だったらしい」
攻略組のクランに居たら攻略組なんじゃないか?と疑問に思ったが言わない事にした。
「そこのクランの人は皆そんな感じなんですか?」
「いや、そこのクランは極隼攻略組って言って名前は厳ついけど真面目に攻略を楽しんでる人達だよ。クラマスは見た目も厳ついけどよ」
アイツらが言ってた攻略組ってもしかしてクラン名の事を言ってたのか?それで脅してて見た目の厳つい人がクラマスで何とか組だからもしかしてそっち系だと勘違いしてたのか?
「今はあそこのクランは迷惑かけた人達に対して謝罪やらクラン内の引き締めやらなんやらで忙しくしてるらしいぜ?イベント中なのに災難だよな。その点うちのクランはちゃんとした人達ばっかりで安心だぜ。変わった人達も居るには居るが」
その後もロバートさんの待ち人が来るまで雑談して過ごしたのだった。




