65話 女王蟻
もうそろそろ限界か……。もうMポーションも無くなったし今あるMPが尽きれば回復もままならなくなるな。まぁ、キツい戦いが多かったお陰で色々レベルが上がったしイベントポイントも稼げたし収穫はあったのは嬉しいけどね。
ここまでの戦闘でハルトの風魔法が2つ上がって9になり8になった時にフォールウィンドという新しい魔法を取得していた。
フォールウィンドは上から風を落とす魔法ね。飛んでる敵を落とすのに有効そうな魔法だな。でもこのイベントでは使わなさそうだな。でもこれで次に覚えれるのが範囲魔法だから頑張って上げていくか!
その他にもハルトの蹴脚スキルも1つ上がり回し蹴りを取得し、更にはアッサムのレベルが上がり体力を、ミュエルのレベルが上がり敏捷を、アックのレベルが上がり筋力を上げていた。
回し蹴りは単純に威力が上がる蹴り技か。俺とカルマのレベルアップが無いのは残念だけど。
それにしてもそろそろ最奥に着いてくれないかな。出来たら最後の部屋を攻略してアリの巣を脱出出来たら満足出来るんだけど…。殲滅ボーナスは最初から諦めてるから良いとして。
歩き続けて次の部屋の前へと辿り着きこの部屋にはどんなのが居るのかなと覗いてみると…。
うわぁ、でかい……。アックと同じ位だから2メートル位か?
部屋の奥に周りのレッドアントの倍以上ある程の巨大なアリが鎮座していて、その周りには卵らしき物もあった。
レッドアントクイーン(イベント) Lv???
状態 ???
クイーン、女王蟻か。という事はこのイベントでの最強の敵とみて間違いなさそうだな。
ならここが最後の部屋だろうからやれる事は全部やってやる!
「精神集中!あっ…」
最後の部屋という事と強敵だという事で気合いが入り過ぎて大声で武技を叫んでしまったせいで部屋中のレッドアントに気付かれてしまったのだ。
「ええい!突撃だー!」
アックを先頭にクイーンの居る部屋へと突入して行く。
持久戦は回復アイテムが無いから短期決戦だ!
「ウィンドエッジ!カルマもガンガン行ってくれ!」
魔法を使いながら迫ってくるアリを倒していく。カルマは範囲魔法で広範囲にダメージを与えて、アッサム、ミュエルがHPが減ったアリに止めを刺して行く。アックはハルトの前方で守りを固めながらも時折攻撃してアリを仕留めていた。器用を上げた事で攻撃の命中率も上がったようだ。
そして、戦闘から少し経った後辺りを確認したハルトは違和感を感じたのだった。
大分レッドアントやソルジャーを始末した筈なのにまだこんなに居るのかよ!序盤から前に突っ込んで大分数を減らした筈だろ!
いつもと違い前に出てアリを倒すペースが上がっている筈なのに、いつもよりもアリの減るペースが遅かったのだ。その原因はなんなのかと注意深く観察していると。
くそっ!あれが原因か!
ハルトの視線の先ではクイーンの周りの卵から新たなレッドアントやソルジャーが生まれてきていた。またクイーンはお尻から新たな卵を産み出していた。
戦闘中にどんどん増えるとか反則じゃねぇか!クイーンの産卵を止めないと勝ち目が無い。カルマに任せるしか無いな!
「カルマはクイーンに突っ込んで攻撃してくれ!俺達でサポートする!アックはカルマの後に続いてカルマに攻撃しようとするやつの攻撃を防いでくれ!」
俺の方が手薄になるが何とかするしかない。なるべくアッサムとミュエルから離れない様にしておけば囲まれる事は無いだろう。
しかし、最初に魔法を連発し数を減らして短期決戦に持ち込む事で勝機を見出そうとしていたのだがクイーンによりどんどん数を増やされた事によりその目論見は外されたのだった。
「しまった!アックー!」
カルマの後ろで防御を固めていたアックだったがレッドアント達の噛みつき攻撃には強いアックもコマンダーの魔法による集中攻撃にはゴリゴリとHPを削られ遂にはそのHPバーが砕け散り死に戻ってしまったのだった。
くそっ!やっぱりコマンダーの魔法は厄介だな。最初の攻撃でコマンダーを潰しきれなかったのが痛いな。
その後クイーンに攻撃し、その出産を阻止する事に成功していたカルマだったが、アックが居なくなった事で周りのレッドアントやソルジャー、コマンダーからも攻撃を受ける事となり、それを鬱陶しく思ったカルマの気がレッドアント達に向きレッドアント達を攻撃した瞬間、クイーンによる強烈な攻撃を受けて倒れた所を集中攻撃され、最後にもう1度クイーンに攻撃され死に戻ってしまった。
そんな……。カルマが死に戻るなんて……。それでも最後まで抵抗してやる!
その後も何とか奮戦していたのだが再び新たな卵を産み出し始めたクイーンにより数を増やされアッサム、ミュエルも死に戻り、そして……。
「絶対お前を倒してやるからな!覚えてろよ!」
最後に捨て台詞を吐きながらハルト達も死に戻り、こうしてハルト達は全滅したのだった。




