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61話 迷惑プレイヤー

 フレンドを交換した後アイリーンは従魔を連れ荒野に狩りに行ってしまった。


 行動力のある人だったな。終始アイリーンさんのペースだった気がする。ヤヨイさんといいアイリーンさんといいクラマスってああいう人達じゃないと務まらないのかもね。


 そう納得してハルトも荒野へと出発したのだった。


 日曜日だけあって今までよりも人が多いな。人が入ってないアリの巣見つかるかな?


 時折見かけるアリを倒しながらアリの巣を探し続けるが中々入れるアリの巣を見つける事が出来なかった。発見するアリの巣には全て誰かが入っているらしく入れなかったのだ。それでも根気良く探し続けてようやく入れそうなアリの巣を発見し入ろうとしたのだが。


 「おい!そのアリの巣は俺達が先に見つけたんだぞ!」


 えぇ…いきなりなんで俺絡まれてんだろ…。


「え、いや、どっちが先に見つけたってそんなの分からないじゃないですか…」


「あぁん?俺達は攻略組だぞ?そんな俺達が間違ってるって言うのか?」


「こいつよく見たら昨日のボッチサモナーじゃねぇか」


「ぷっ、ホントだぜ。ボッチサモナーが俺達攻略組の邪魔しようってのか?」


 ボッチボッチって何なんだよこの6人は…。


「別に邪魔してないじゃないですか。俺は普通に見つけたアリの巣に入ろうとしただけで…」


 ハルトは前にも別のゲームで知らない人に怒鳴られた事があり、それがトラウマになっているせいか強く言い返す事が出来なくなっていた。


「それが邪魔してるって言ってんだよ!良いか?ここは俺達が先に見つけたアリの巣なんだよ!」


「おい、ボッチサモナー。俺達は攻略組だぞ?攻略組には逆らわないのが筋ってもんだろが?」


「そうだ!そうだ!攻略組に逆らうんじゃねぇ!」


 うわぁ…最悪だ…。


 周りをチラッと見ると遠巻きにプレイヤー達が見ているのが視界に入った。


 誰か助けてぇぇぇ!


「あん?てめぇら何見てんだよ!見世物じゃねぇぞ!」


 迷惑なプレイヤーが遠巻きに見ていたパーティに怒鳴ると怒鳴られたパーティはスっと目を逸らしたのだった。


 あぁぁ…助けは期待出来そうにないか……。


「分かったな?ここは俺達のアリの巣なんだからとっととマップの隅っこの方でボッチらしく1人で狩ってろ」


「いや……でも……」


「ガタガタうるせぇな!あまりしつけぇとゲーム出来なくしてやるぞ!」


「攻略組に逆らうとどうなるか見せてやろうか?」


「PKが無いからって調子に乗ってたら痛い目見るぞ?俺達の人脈を使えばお前をこのゲームから追い出すなんて簡単なんだからな?」


 悔しいがここは大人しく引いた方が良いのかと涙目になっていると、1人の男性が近付いてきた。


「失礼します」


 そう言って男性はハルトとプレイヤーの間に入り笑みを浮かべたまま迷惑なプレイヤー達の方を向いたのだった。


 救世主来たぁぁぁぁぁ!


「ああ?なんだおっさん。関係無ぇやつは引っ込んでろ!」


「そうだ!そうだ!これは俺達とボッチ野郎の問題なんだよ!」


「俺達攻略組に逆らうんじゃねぇ!」


 迷惑なプレイヤー達が男性に向かって罵詈雑言叫んでいるが男性は何を言うでもなく笑みを崩さず冷静に聞いていた。


 頑張っておじさん!この人達を何とかしてぇぇぇ!


「おっさんもこのゲームを出来なくしてやるぞ!」


 プレイヤーの1人がその一言を言うと男性は目を細め口を開いた。


「このゲームを出来なくしてやるですか…。それは脅迫に該当してしまいますが…よろしいので?」


「はん!それがどうした!俺達は攻略組だぞ!俺達のお陰でこのゲームが成り立ってんだ!」


「そうだ!そうだ!攻略組に逆らうんじゃねぇ!」


「ほぉ、それはそれは。申し遅れました、私はこのゲームGloria Plying Onlineの運営に携わっています藤川と申します」


「う、運営だと…」


 何と!このおじさ…おっとナイスミドルは運営様だったのか!


「さて、貴方がたはジン様、Jターナ様、タカラ様、ドゥライス様、ポルコ様、King様で間違い御座いませんね?」


「な、なんだよ、それがどうかしたのかよ…俺達は攻略組だぞ…」


 迷惑プレイヤー達が顔を青くしながらも強がる事を辞めずにいると。


「攻略組だろうが攻略組では無かろうが関係ありませんね。それに先日にも貴方がたは問題を起こして通報された様で。警告のメールがそちらに届いている筈で御座いますが?」


「確かにそんなんが届いてたな。だからどうした!そんなもん知るかよ!こっちは金を払ってゲームやってんだ!こっちは客だぞ!」


「周りに迷惑をかけるのならばお客様とて関係ありませんね。それに警告メールを目にして尚警告を無視した挙句に脅迫行為も確認しております。なので貴方がた6名のアカウントを1週間凍結するペナルティが課されることが決定しました」


「ふ、ふざけんな!何で俺達がそんなペナルティを受けなきゃなんねぇんだよ!それに1週間だとイベントが終わっちまうだろうが!」


「そうだ!そうだ!俺達は攻略組だぞ!」


「自業自得で御座いますね。ペナルティが明けた後も同様の行為が認められた場合はアカウントの永久凍結も有り得ますので今後はご注意下さい」


 迷惑プレイヤー達の言葉を受け流し言い終えると、迷惑プレイヤー達はフッとその場から消えてしまった。


「ハルト様」


「は、はい!」


 運営の男性が振り返りハルトの名前を呼ぶと、ハルトは緊張して思わず声が上ずってしまった。


「この度は申し訳御座いません。どうかGPOを嫌いにならずにこのゲームを続けて下さる事を願います」


「は、はい大丈夫です。これからもこのゲームを楽しませて頂きます」


「ありがとうございます。それでは」


 そう言うと男性もフッと消えてしまったのだった。


 はぁぁぁ、どうなるかと思ったぁぁ。


 ハルトが安堵していると遠巻きに見ていたパーティが近付いて来ていた。


「さっきは助けられなくてすまなかったな。通報はしてやれたんだが間に入るまでは出来なくてな」


 パーティのリーダーっぽい男性が申し訳なさそうに謝ってきた。


「貴方が通報して下さったんですか。いえ、お陰で助かりました。有難うございます」


 通報してくれた男性にハルトは頭を下げた。


「いや、こちらこそ。俺達が割って入れたらもっと早く助けられたんだが…」


「あの人達勢いが凄かったですもんね…」


「だな…」


「それじゃあ俺達は行くよ。イベント頑張ってな!」


「有難うございました」


 リーダーっぽい人にお礼を言ってハルトはアリの巣へと入って行った。

 その後入ったアリの巣を攻略はしたが次のアリの巣を探しに行く気にはならずこの日はゲームをログアウトしたのだった。

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