6話 1対1
「ふー、体を動かした訳じゃないのに、なんか疲れた気がするな。まだ慣れてないからかな」
ベッドを降りて背伸びしたり体を動かしていく。そして、朝食を食べに1階へと降りていき、朝食を食べ終え、トイレを済ませて自分の部屋に戻ってくる。
「よし、続きをやろうか」
再びベッドに横になりゲームを起動する。
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次は南の方に狩に行ってみようかな。西ではワイルドドッグばっかりだったし、レベルも上がったし、装備も変えたし大丈夫だろう。
でも、日が暮れる迄にしとかないとな、初日に夜の狩は流石に危ないだろうしな。無理はダメだってちゃんと学習したからね!
アッサムを召喚し、南の大通りを歩いていく。南の大通りには、貸店舗やレンタル工房と看板に書かれた店舗が数多くあった。自分の工房を持っていない人でも、レンタル工房で錬金術、鍛冶、調合などの作業ができる。
南門から外に出たハルト達は、10分程歩き草原に辿り着く。草原には膝くらいまでの長さの草が生い茂っていた。
草原ではどんなモンスターが出て来るのかな。おっと、その前にせっかくブロンズソードを買ったんだから、剣技スキルを習得しておかないと。
ハルトはボーナスポイントを5ポイント使い剣技スキルを習得した。
これで準備オッケーだな。もうちょっとで夜になってしまうから、あんまり街から離れ過ぎないようにしないとな。
草原を探索し始めたハルト達は、少しすると1匹の魔物を見つける。
あれは、ゴブリンか?
ゴブリン Lv3
状態 アクティブ
サモナー
それは、まるで子供の様な体躯で、耳が尖り、口からは牙が見え、醜悪な顔をしていた。そして、その手には棍棒を持っていた。
ゴブリンか、ここで定番モンスターが出るのか。それよりも下のサモナーっていうのはなんだ?もしかして仲間に出来るって事なのか?
ハルトが考えていると、ゴブリンがその手に持った棍棒で殴りかかって来る。
くっ、とりあえず考えるのは後だ!先にコイツを始末するか!
慌てて避けたハルトを見て、ニヤッと笑った様に見えたゴブリンは更にハルトに殴りかかる。そこへ横からアッサムが体当たりでゴブリンを吹き飛ばす。
「ナイスだ!アッサム!」
吹き飛ばされ、倒れているゴブリンに向かってハルトは、ファイヤーボールを顔面に命中させた。
顔を押さえて転げ回っているゴブリンに、アッサムが爪撃を喰らわせるとゴブリンのHPバーは砕け散った。
うん。楽勝だったな。レベルも上がってるし、1匹だけなら問題ないな。さて、コイツからは何がドロップするのかな?
解体ナイフを死んだゴブリンに突き立てるが、後には何も残らなかった。
ちぇっ、何も落とさなかったか。でもこれでゴブリンが召喚出来るようになったのかな?
「サモン・モンスター」
無いな?でも多分ゴブリンは仲間に出来ると思うんだけど何か条件があるのかな?分かんないな。まぁ取り敢えず、後何匹か狩ってゴブリンのドロップ品を確認したら、一旦街に帰るかな。
街から離れていかない様に探索していると、突然背後から背中を殴られた。慌てて振り返るとそこには、3匹のゴブリンがいた。
痛ってー、コイツ等なんで気配察知に引っかからないんだよ!いきなり背後からとか反則だろ!
ハルトは棍棒をかわしながら、この距離では魔法を使う暇がないと思い、腰にぶら下げていたブロンズソードを抜きゴブリンの棍棒を受け止めようとするが、筋力が低いため剣を弾かれてしまう。
げっ!ゴブリンに弾かれるって俺弱すぎじゃねーか!早くアッサムと入れ替わって下がらないと、ゴブリンに殺される!
なんとかアッサムと入れ替わり、後ろへと下がるハルトだがゴブリンが3匹居た為、アッサムだけでは2匹までしか抑えられず、1匹がハルトの前まで迫って来た。
コイツは俺1人でなんとかするしか無いな。よく見て対処すれば躱せないレベルじゃない。
ゴブリンの攻撃を躱しつつ、ブロンズソードで少しずつダメージを与えていくが、筋力が低すぎて1回の攻撃で与えるダメージは1割も削れなかった。
こんな事なら筋力にもステータス振っとけば良かった、今度からなるべくバランス良く伸ばして行こう。
そう思いながら戦闘を続けて、ようやくゴブリンのHPバーを残り3割まで削った所で、ゴブリンが焦ったのか棍棒を大きく横にフルスイングした。その反動でゴブリンはこけてしまった。
その隙を見逃さずファイヤーショットをゴブリンに放ち、自身もゴブリンに向かっていき剣を何度も叩きつけた。その結果ゴブリンのHPバーは砕け散った。
その瞬間、ゴブリンの死体が光の玉になってハルトの中に入って行った。