54話 夜のお店
クルストへと戻ったハルトは召魔を送還してギルドへとやって来て、受付に並んでいた。
えーっと、銅鉱石が結構あるな、確か10個で1回分だから3回分納品するか。後納品出来そうなのは野蟻の顎くらいか。これは1日1回しか納品出来ないから5個だけしか減らせないな。毎日納品しとけば良かったな。3マス目の素材はまだギルドランクが低いせいで依頼が出てないんだよな。まあどうせ直ぐ集まるから売っちゃうか。多少ギルドポイントにはなった筈?
並んでいるだけでは暇なのでインベントリの中を確認して整理しながら待っていた。
お、順番が来たな。人が多いから仕方ないとは思うけど並ばないでいい様になって欲しいな。時間が勿体ない気がする。
「いらっしゃいませ。本日はどの様な御用でしょうか?」
「銅鉱石の納品と、野蟻の顎の納品。後素材の売却をお願いします」
「畏まりました。それでは、こちらにギルドカードと素材をお願いします」
差し出されたトレイに納品する素材と売却する素材を載せていく。
「それでは、少々お待ち下さい」
……
…………
「お待たせ致しました。全て問題ありませんでしたので、合計で34850Gになります。そして今回でハルト様のギルドランクが4に昇格致しました。それにより受けられる依頼も増えましたので、またクエストボードの方もご確認下さい」
納品を大分サボってたけどもうランク4か。やっぱり3マス目の素材が効いたかな?
礼を言い、受け付けを離れてクエストボードを確認してみる。
【ジャイアントグラスホッパーの討伐】
何処かにいるジャイアントグラスホッパーを20匹討伐する。
報酬5000G 期限5日
【ゴブリンリーダーの討伐】
何処かにいるゴブリンリーダーを5匹討伐する。
報酬7000G 期限5日
【コボルトリーダーの討伐】
何処かにいるコボルトリーダーを5匹討伐する。
報酬7000G 期限5日
【茶熊の肉の納品】
茶熊の肉を5つ納品する。
報酬2000G
【幻惑蝶の鱗粉の納品】
イリュージョンバタフライの鱗粉を5つ納品する。
報酬1500G
増えたのは2マス目のモンスターの討伐や納品か。会った事があるのはゴブリンリーダーとコボルトリーダーだけだな。期限が5日あるけどリーダーを5匹倒すのは中々ハードルが高いな。
ジャイアントグラスホッパーと茶熊と幻惑蝶はまだ見た事無いから草原と森の2マス目に居るんだろうな。3マス目のモンスターの討伐や納品は出てないから次のランクになったらかな?
その後ハルトはMポーションを買いギルドを後にする。
ランク4になったからMポーションの買える数が増えたのは有難いな。魔法使いまくるからMポーションの消費が激しいんだよね。
さて、お昼まではまだ時間もあるし装備を買い換えるかな。夜だけどお店開いてるかな?
商業区を見て周るが開いている店が中々見当たらなかった。
大通りのお店は全滅だな。何処か開いてる店がないか路地にでも入って見てみるかな。2、3箇所入って無かったら諦めて早目にログアウトして昼からに備えるかな。別に装備買うのは昼からでも言い訳だし。
1本目、2本目と入って探索するが見つからず、次で見つからなければ諦めようと入った3本目の路地で明かりがついた店を発見する。
明かりがついてるけど開いてるのかな?
店に近付き確認すると、どうやら開いている様だ。
開いてる店があったけど何の店だろ?最悪装備が売ってなくても錬金術に使える物とか売ってないかな?寧ろそっちのが良いかも。
中に入ってみると色々な物が置いてあった。
武器も色々あるし、防具も色々あるな。武器と防具の店?でもポーションとかも置いてあるし違うか?
「いらっしゃい」
店の奥から声がして、そちらを見ると髪の短い白髪頭の70代位の女性がカウンターに座っていた。つり目で若い頃はやり手だったのでは?と思わせる様な印象を受けた。頭の上のマーカーが黄色なのでNPCの様だ。
「何を買うかね?」
「武器と防具を買おうと思うんですけど剣を見せて貰えますか?」
「武器ならそっちの樽に挿してあるのがそうだよ。ちょっと良いのが欲しいならそっちの棚の方にあるよ」
そう言って指を指した方を見ると店の入り口
から見て左に樽が、右に棚があった。棚の方には防具も飾ってある様だ。
ハルトは先ず樽の方の剣を見に行った。
へー、安いのって言ってもソードとかあるな。こっちは木剣?もあるし木刀もあるな。練習用とかかな?こっちの棍棒の持ち手骨で出来てる?スケルトンの謎の骨の使い道ってこれか。あと大剣、槍、斧に杖まで挿してあるし。
次に棚の方を見に行く。
【装備品・武器】
名称 ロングブロンズソード 品質C レア度1
銅で作られた剣。通常より長く作られている。
物理攻撃力+17
【装備品・武器】
名称 狼の牙剣 品質C レア度1
狼の牙を集めて鍛えられた剣。
物理攻撃力+15
ブロンズソードのロングバージョンも置いてあるし、狼の牙剣か。魔物素材の剣は初めて見たな。大きさが今のソードと同じ位だしこれが良いかもな。俺のとゴブスケとミュエルの分で3つ買おうか。
剣を3つカウンターに持って行き。
「他にも買いたいので一旦ここに置かせて貰って良いですか?」
「別に構わないけどあんた同じの3つも買うのかい?使いっパシリは辛いねぇ」
誰が使いっパシリやねん……。
「い、いえ。使いっパシリではなく俺はサモナーなんで自分の召魔達の分です」
「ほぅ、あんたサモナーだったのかい」
そのつり目を半目にして値踏みする様にハルトを見る。
な、なんだ?急に目つきが鋭くなったぞ……。
そうドキドキしていたが。女性は急に笑顔になり。
「そうかい、そうかい。いや何、アタシも昔あちこち旅してた時にサモナーやってたのさ。最近急に冒険者が増えたと思ったのに全然サモナーを見かけないからいないのかと思ってさね」
どうやらこの女性は昔サモナーをやっていた様だった。




