40話 宝の守護像
扉か。お約束なら宝箱とかモンスターがいっぱいいるモンスターハウスって所か。
とりあえず開けてみよっと。
扉を開け中を見ると少し広い部屋があった。中央には石像が1つあるだけのなんの変哲もない部屋であった。
宝の守護像 Lv??
状態 パッシブ
宝の守護像か、つまりアレを倒せばお宝が手に入ると。今は赤いマーカーが出てないから近付いたら動き出すって事か。結構強そうだよな。
部屋の中央に置かれていたのは高さ2メートル程の鬼の石像だった。角は2本あり、口からは牙が出て手にはロングソードが2本握られていた。上半身裸で下はいわゆる鬼のパンツを履いている筋骨隆々な姿だった。
マーカーが出てないけど一応。
「ファイヤーボール」
火の玉が守護像に当たるが何の反応も無い。
やっぱり近付いてからじゃないと動かないか。鑑定は効くからもしかしたらと思ったんだけど。
そうなると2人だけで挑むのはちょっと不安だな。MPもあるしアッサムとゴブスケも召喚しとこうか。
召喚されたアッサムとゴブスケは手を挙げて挨拶してくる。
「2人共今から強そうな敵と戦うから頼むぞ」
ハルトにそう言われると2体はサッと右手を上げて応える。
「じゃあ行くぞ」
そう言い守護像に近付くと。
『汝、我の宝を望むか? YES/NO』
「勿論YESだ」
『ならば勝ち取ってみよ!!!』
ゴゴゴゴゴッ!という音と共に守護像が動き始め、頭の上に赤いマーカーが浮かび上がってきた。
「アッサムとカルマで前衛を!ゴブスケはスピードで敵を撹乱してくれ!俺が後ろから援護する!」
指示を出しながらハルトは守護像から距離を取る。
「精神集中!」
改めて鑑定してもLvは見えないか。ジャイアントゴーレムと同じ位だと覚悟しておくか。
まずは1発。
「アースショット!」
土の弾が守護像に当たるがダメージは微々たるものだった。攻撃してきたハルトを睨みこちらに向かおうとしてきた守護像を阻止すべくアッサムとカルマが守護像の前に立ちはだかり、攻撃を開始した。
下手に攻撃してコッチにヘイトを向けるのは危険か。ヒールを覚えたし回復に専念するか?
守護像の2本の剣で繰り出される攻撃は苛烈だった。ジャイアントゴーレムの攻撃が一撃重視なのに対し守護像の攻撃は手数重視の様で、結果アッサムとカルマは防御を多く取らざるを得ない状況になりあまり攻撃が出来ないでいた。
しまったな。こういう時の為にタンクを仲間にしておくべきだったか。今度ゴーレムを仲間にしに行くべきだな。
そんな中で活躍したのがゴブスケであった。ゴブスケは守護像の周りを右へ左へ後ろへと動きながら斬り付けていった。そんなゴブスケに守護像の注意が引き付けられアッサムとカルマに攻撃の機会が生まれるのだった。
「ヒール!ヒール!」
ゴブスケのお陰で相手の手数がちょっと減ってるけどそれでも手数が多い。防御してるとはいってもHPは減るからな。回復が遅れて死なれたら間違いなく負ける。Mポーションの残りが心配だけど。
守護像のHPが半分になってその攻撃パターンに変化があった。手数重視の攻撃の中に両手を揃えて一撃重視の攻撃を放つ様になってきたのだ。
キツい攻撃もしてくる様になったか。でもこの攻撃をしっかり防御するか避けるかすれば逆にチャンスだ。今まではカルマが魔法を撃つチャンスが無かったけど両手攻撃の後なら行ける筈だ。
「両手攻撃が来たらアッサムが受け止めろ!その後にカルマが魔法で攻撃するんだ!」
俺は今のうちにMポーション飲んどくか。追撃出来たら俺も魔法を使った方が良いからな。
Mポーションを飲みその時を待つ。そして守護像が両手を揃えて2本の剣を振り上げた。
「来た!アッサム全力で防御だ!」
今までは片手の爪で防いでいたが両手の爪を交差させ守護像の一撃に備える。
そして守護像が剣を振り下ろしアッサムが受け止めるがやはりHPにかなりのダメージを受けてしまう。
そしてアッサムはその受け止めた腕で剣をガッチリと掴んで離さなかった。
「ヒール!良いぞアッサム!そのまま掴んでいてくれ!カルマ今だ!」
カルマが手を前に構えると守護像の左右から岩が飛び出しそのまま守護像を挟んでしまった。
挟まれた守護像は岩の間から剣だけが出ている状況だった。
守護像は岩から逃れようとするが体は岩に挟まれ剣はアッサムに掴まれているので身動きが取れないでいた。
「チャンスだ!アッサムはそのままで全員で攻撃するぞ!」
ハルトも前へ出て攻撃し、そのまま守護像のHPを削り切ったのだった。
『見事だ。我が宝をお主に授けよう』
そう言い残し守護像は消えていった。岩に挟まれながら……。
『ハルトのレベルが上がりました。任意のステータスを1つ上げて下さい』
流石強敵経験値が美味いな。今回は筋力を上げとこう。
『ボーナスポイントを2ポイント獲得しました』
『職業レベルが上がりました』
『鑑定のレベルが上がりました』
『剣のレベルが上がりました』
『杖のレベルが上がりました』
『土魔法のレベルが上がりました』
『光魔法のレベルが上がりました』
『召喚魔法のレベルが上がりました』
苦戦するとやっぱり色々上がるな。3人を召喚しててこの上がり方だからな。
『アッサムのレベルが2つ上がりました。任意のステータスを2つ上げて下さい』
アッサムもレベルが2つ上がったか。強敵だったし当然かな?
アッサムは体力と筋力を上げとこう。今回みたいに敵を抑えるのに役に立つからな。
『ゴブスケのレベルが2つ上がりました。任意のステータスを2つ上げて下さい』
ゴブスケも2つアップか。ゴブスケは筋力と敏捷を上げとくか。そして来るか?来るか?そろそろ来るか?
『カルマのレベルが上がりました。任意のステータスを2つ上げて下さい』
来たーーーーー!やっと上がったか!しかもレベル1つ上がっただけでステータス2つ振れるのか!ここは魔力と精神上げとこう。魔法のアタッカーは貴重だからな。
戦闘終了後の操作を終えて部屋の奥を見ると宝箱が現れていた。
何が手に入るのかな?あれだけ苦戦したんだから期待が膨らむな。
ハルトがワクワクしながら宝箱を開けるとなかには杖が入っていた。
【装備品・武器】
名称 魔力の杖 品質B レア度3
魔力と親和性のある木材で作られた杖。持つ者の魔力を上げる効果がある。
物理攻撃力+2 魔法攻撃力+15 魔力+5 精神+5
レア度3!ベータ版からの人達と同じレア度の装備が手に入っちゃったよ。
さて、この部屋なら簡易テントが建てられそうだな。一旦夕飯食べに行かないと。
ハルトは簡易テントを使い、3体を送還し中に入りログアウトしたのだった。




