29話 情報収集は大切です
さて、これからどうしようかな?
ソヨ村へと戻ったハルトは広場で今後の事を考えていた。
まずレベルを上げなくちゃいけないな。
しかし、レベルを上げるにしても戻ってコツコツ上げるか、多少のリスクがあるにしても2マス目で上げるか、いっその事カルマ頼みで先に進んで上げるかだな。
それに全員を平均的に上げるのか俺だけを集中的に上げるのかも決めないとな。
レベルを上げる場所はまあ1マス目は難しいかな?人も多いから効率的にあまり良く無さそうだし。
となると2マス目か3マス目だけど、2マス目で上げるなら全員で上げて3マス目なら俺とカルマで俺のレベルを集中的に上げるかになるかな?3マス目に全員で行ってもカルマもフォローしきれなくて全滅するのがオチだな。
うーーーーーん。
良し!3マス目にチャレンジしてみるか!俺のレベルを集中的に上げて召喚枠を増やしたり、攻撃魔法や回復魔法を使えたりした方が後々楽になる気がする!
…かもしれない。
レベル上げの方針決まったから次は何処の3マス目に行くかだな。
ここから西は海だから3マス目に行くならクルストの街へ行って別の方向に進まないとな。
北の森、東の荒野、南の草原の何処にするかだが、平原の2マス目が1マス目とあんまり変わらなかった事を考えるとそれぞれの特徴はそんなに変わらないだろうな。
だから森は無しだな。視界が悪いし不意打ちされたら1発アウトだし、行くなら草原か荒野かだけど、確か草原はゴブリンとワイルドラビット、荒野はコボルトとワイルドアントと偶にゴーレムか。
そういえば2マス目に行く為にはフィールドボス倒さないといけないな。フィールドボスは何だろ?
β版からやってるヤヨイさん達なら知ってるかもしれないから聞いてみようかな?聞いてみて倒しやすそうな方に行った方が良いかもしれないな。
そうと決まれば早速移動だな!
善は急げとハルトは早速広場のワープポイントからクルストへと戻って行くのであった。
よっと、到着。ワープポイント便利だな!
ソヨ村からクルストまであっという間だな。
あー、やっぱりクルストはプレイヤーが多いな。ソヨ村にはまだプレイヤーが居なかったし。
そう思いつつ周りを見るとあちこちに沢山のプレイヤーが見えた。
えーと、ヤヨイさんは何処に居るかな?いつも通り北通りに居ると良いんだけど。
草原か願いつつハルトは中央広場から北通りへと歩いて行くのだった。
ヤヨイさんは居るかな?っと居た居た。
「ヤヨイさん、こんにちは!」
「あら?ハルト君。こんにちは。何か買い物?それとも素材の買い取り?あ、それとも私に会いに来てくれたのかな?ふふっ」
「え!?いえ、違います!ちょっとお聞きしたい事があるだけです!!」
「ふふっ、照れちゃってー。それで、聞きたい事?いいわよ、ちょっと待ってね。カナタちょっとここお願い!ハルト君裏に来てくれる?」
「了解」
そう言うとヤヨイさんは近くに居たプレイヤー、カナタと呼ばれた女性に店を任せハルトと共に屋台の裏へと入って行ったのだった。
「そこに座って。それで?聞きたい事って何かしら?」
ヤヨイに勧められたイスに座りながらハルトは質問をはじめた。
「あ、はい。えーと、ヤヨイさんはフィールドボスの事知ってますか?何処に何が出るかっていう」
「フィールドボス?ハルト君もう2マス目に行くの?早くない?」
「いや、もう西の2マス目には行けてるんですけど、他の所も行きたいなと思いまして」
それを聞いたヤヨイは目を丸くして驚いて「既に2マス目に行っていたのね…」と呟いていた。
「なので、北、東、南のフィールドボスの情報をβ版からやっているヤヨイさんなら知ってるんじゃないかと思いまして」
「β版から変わってる可能性もあるからそれでも良かったら良いわよ?」
そういえばその可能性もあったか…
「ヤヨイさん達はまだフィールドボスには行ってないんですか?」
「皆とそろそろかな?って相談してるんだけどね、出来たらイベント前に解放だけしといて、イベント後に2マス目の素材で新しい装備とか道具とか作りたいし」
なるほど。俺はカルマっていうこの時点では規格外の召魔が居たから割と楽に倒せたんだな。…見つけるのは苦労したけど。
「β版のでも良いんでフィールドボスの情報を教えて貰えますか?」
「ええ、構わないけどその前に西のフィールドボスの事を教えてくれる?β版と同じかどうか確かめたいの」
「大丈夫ですよ」
そう言ってハルトは西のフィールドボスの事を話し始めた。ボスがジャイアントワイルドドッグだった事、遠吠えが聞こえてから囲まれない様に探したが中々見つからず苦労した事をヤヨイに話した。
それを聞いていたヤヨイは苦笑いを浮かべていた。
「あー、聞いてる限りだとβ版と同じだと思うわ。ただ最初は囲まれない様に動くんじゃなくてその場でワイルドドッグを30匹倒すとボスが出て来る仕様になってた筈よ」
その事を聞いたハルトは唖然としてしまっていた。
……嘘だろ。探すのにあれだけ苦労したのに。そんなのってありかよ。
「まあ、ハルト君の話しを聞いた限りだとβ版からは変わって無いと思うからフィールドボスの事を教えるわね」
「……お願いします」
もう情報不足で苦労するのは御免だと思いつつ、少々凹み気味でハルトは答えたのだった。
「え、ええ」
なんか可哀想な目で見られてるけど気のせいだな。うん、気のせいだ。




