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20話 釣り

 上機嫌で街の広場に戻って来たハルトは、今後どの様にゲームを進めて行くか考えていた。


 カルマがいればちょっとぐらい格が上の場所に行っても大丈夫だろ。ちょっと強い所に行って俺のレベルを上げて、3体同時召喚が出来る様にするのを最優先にしたいな。


 その後でイベントの対策も考えよう。まあ3体召喚したらMPが殆ど無くなるから光魔法じゃなくて松明とかのアイテムを用意する事になると思うけど。


 今後の方針を決めて行動開始しようとした時、ふと今何時だ?と時計を確認すると、結構時間が経ってしまっていた。


 あー、こんな時間じゃ狩りに行くのは無理だな。一旦ログアウトして、学校の課題や夕飯を済ませよう。


 ログアウト




 ログイン


 さてともう日が沈むまでそんなに時間が無いし、そもそも明日も学校だからそんなに長い時間は無理だから狩りに行くのは無理か。


 また街の中をぶらついてみるかな。この前は北の大通りを見て回ったから今回は北東エリアの方に行ってみようかな。


 北東エリアに着くとそこには広大な湖が広がっていた。そして、その湖の周囲で沢山のプレイヤーが釣りをしていた。


 結構人が多いな。まだ3日目なのにもうこんなに釣りをしているプレイヤーがいるのか。


 湖に近づいて行くと、1人の男性プレイヤーが声を掛けて来た。


「やあ、僕の名前はジョニー。初めて見る顔だね。君も釣りをしに来たのかな?」


「初めましてハルトです。別に釣りをしに来た訳じゃないです。釣りをしている人が多いですけど、釣りをすると何か良いことがあるんですか?」


「まあ安全に金策が出来るのがメリットかな。最初は金策だけのつもりで始めたんだけどすっかり釣りにハマっちゃって、今では釣りを楽しむ為のクランを立ち上げた程だよ」


 へー、そんなに面白いのか。だったら夜の時間潰しにちょっとやってみてもいいかもな。


「それだけ言われると興味が出て来ますね。道具とかはどこで買えますか?」


「お、興味持ってくれた?道具とかエサは北通りにある釣り具店にあるよ。看板に魚と釣竿が描いてあるから直ぐ分かると思うよ」


「道具選びで何か注意する事はありますか?」


「まあ最初は初心者向けの釣竿にした方が無難だと思うよ。ある程度やり方が固まったらそれに合った竿を選ぶと良いよ」


「ありがとうございました。早速見に行ってみます」


「どういたしまして。あ、それから釣る時はある程度隣の人と間隔を空けるようにね」


 ジョニーさんにお礼を言って、北通りの釣り具店へと向かって行く。


 北通りに来て、釣り具店の看板に注意して歩いていると、その看板は直ぐに見つかったのだった。


 前にこの辺を散策した時は、店の前に並んでる商品をチラ見しただけだったから分からなかったんだな。


 看板にはジョニーの言うとおり、魚と釣り竿の絵が描いてあったので分かりやすかった。逆に看板が無ければ分かり難いと言うのがハルトの本音だった。


 店先には色とりどりの団子状の物が置いてあるだけで、竿とかミミズみたいなエサは置いていなかった。団子状の物は練り餌というエサなのだが、現実では釣りをしないハルトには何かのアイテムぐらいにしか思わなかったのだ。


 とにかく店の中に入ると、中には竿やリールが置いてあった。しかし、釣りの知識があまり無いハルトには、どれを選んで良いかわからなかった。


「すいません。初めて釣りをする人にオススメってありますか」


 店に居た男性店員に声を掛けて何が良いか聞く事にした。


「初めてかい?だったらあそこにある、初めてパックなんかどうだ?竿とリールとエサが入って3000Gでお買い得だぜ?」


 何かよく分からないけど、必要な物が全部入ってるんだったらそれを選んどけば良いかな。オススメみたいだし。


「じゃあそれで」


「毎度あり」


 道具を揃えてハルトは再び湖にやって来ていた。


 えーと、隣との間隔を空けるんだったな。お、あそこが良いな。


 場所を決め、釣りの準備を始める。準備の仕方は店員に教えてもらっていたのでちゃんと出来た。


 これで後は投げて魚が掛かるのを待つだけか。


 しかし5分経ち、10分経ち、30分が経っても釣れなかった。途中竿を上げてみてエサが付いているかの確認してみるがエサはちゃんと付いていた。


 うーん、つまらないな。釣りは釣れてなくても楽しいとか言う人もいるらしいけど、やっぱり釣りは魚が釣れてこそ楽しいと思うんだよな。


 その後、数時間粘ったがハルトが魚を釣る事は無かった。


 今日はここまでだな。もうログアウトしないと明日に響くかもしれないし。


 ハルトは竿をしまい、ログアウトする為に広場に向かって行く。途中ジョニーがまだ釣りをしていたのでお礼がてら一声掛けて行くことにした。


「ジョニーさん、調子はどうですか?」


「やあ、ハルト君。調子はそこそこだね。ハルト君は釣りを始めたの?」


「ええ、ジョニーさんに教えて貰ったお店で初めてパックっていうのを買ってやってみたんですけど1匹も釣れませんでした」


 ハルトが1匹も釣れていないと告げると、ジョニーは意外そうな顔をした。


「変だね。大物ならともかく小さい魚は結構釣れやすいから1匹も釣れないなんて無いとおもうんだけど‥‥。ハルト君道具を見せて貰っても良い?」


「良いですよ」


 ジョニーにハルトが買った道具を見せるが何も問題は無いと言う。


「もしかしてハルト君、釣りスキルは取ってる?」


「‥‥‥‥え?」


「ああ、やっぱり。ごめん最初に言っておけばよかったね。てっきり釣りスキルはもう取ってるもんだと思ってたよ。釣りスキルが無いと魚は釣れないんだよ」


 なん‥‥だと‥‥バカな。俺のあの時間はなんだったんだ‥‥。


「釣りスキルは2ポイントで取れるから、忘れない内に取っておいた方が良いよ」


 すぐさまメニューを開き、スキル取得欄から釣りスキルを探す。ジョニーの言う通り釣りスキルは2ポイントで取得可能だったので早速取得したのだった。


「すいません。今取りました」


「ごめんね。今度から初心者の人に釣りスキルを持ってないか確認するよ。これじゃ“釣道楽”のリーダーとしてダメダメだね」


「いえ、今教えて貰っただけでも良かったです。知らなかったらずっと釣れないままで釣りをやらなくなってましたし」


「そう言って貰えると助かるよ」


 ハルトはジョニーに一礼して広場に向かい、そしてログアウトしたのだった。


 リベンジの言葉を胸に秘めて。


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