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18話 融魂

 ログインしたハルトは真っ直ぐに南門に向かった。そして南門を出るとハルトは、アッサムとゴブスケを召喚し、草原に向かって歩き出した。


 何故ハルトが草原に来ているかというと。





「ようこそ。神秘で不可思議な魂融合の祭壇へ」


 扉を開け中に入るとそこは薄暗く、奥には荘厳な雰囲気の祭壇があった。そして祭壇の前に若い男性がいた。その男性は長い白髪で、どこかあやしい雰囲気を纏っていた。


「ここでは秘術を用いて、異なる2つの魔物の魂を融合し、新たなる魔物の魂を生み出す事が出来る魂術の間です」


「異なる2つの魂って事は同じモンスターでは駄目って事ですか?」


「同じモンスターの魂では魂の情報が変わらず強化すらされません。なので用いる魂は異なるモンスターの魂で無くてはなりません」


 2種類のモンスターの魂を用意しないといけないのか。草原にいるゴブリンの魂を取ってくれば今持ってるゴーレムの魂と合わせて2種類にはなるけど‥‥‥。


 脳裏に浮かんだのはゴーレムとの長い戦闘だった。ここで融魂にゴーレムの魂を使えば、またあれをしなくてはいけないかもしれないと思うと中々決断出来ないのであった。


 どうする?先に進んで別のモンスターの魂を用意するか?でも、もしその間モンスターがゴーレムより面倒臭い奴だったら意味が無いし‥‥。


 それだったらいっその事ゴーレムとゴブリンで新しいモンスターを生み出してから先に進んだ方がラクかもしれない。問題は‥‥。


「融魂を行った場合、新しく生まれて来るモンスターは2匹よりも強くなるんですか?」


「残念ですが確実に強くなるとは言えません。しかし、弱くなる事はほとんどありません」


「ほとんど?弱くなる可能性もあるんですか?」


「極稀に未知のエネルギーの影響を受けて魂が通常では考えられない方向に変質してしまう事があります。その時に魂が傷つき、生まれて来るモンスターが弱体化してしまう事があります」


 うーん、極稀にだからあんまり気にしなくても良いかな?


「しかし、その未知のエネルギーを魂が逆に吸収し強くなる事もあります」


 逆に強くなる事もあるのか。じゃあ1回試しにやってみるか。やってみないとどうなるか全く分からないしな。


 しかし、今からは流石に無理だな。草原に行ってゴブリン倒して融魂するのは時間がかかり過ぎるだろうな。明日学校から帰って来てからだな。


「今日は無理なので、また後日来ます」


「そうですか。言い忘れましたが初回は無料になっていますのでお気軽にお越し下さい」


 ぺこっ、と頭を下げてハルトは魂術の間を後にした。





 という事でハルトはゴブリンの魂を獲得すべく草原にやって来たのだった。


 ゴブリンは1匹だけじゃなくて今後の事も考えて何匹か獲得しときたい所だな。


 草原を歩き回っていると、ガサガサと音がしてこちらに飛びかかって来るものがあった。


 あれは。


 ワイルドラビット Lv2

 状態 アクティブ


 それは茶色い毛で、普通より一回り大きく、真っ赤な目を持つウサギだった。


 ワイルドラビットか。そういえばまだ草原で遭遇した事無かったんだったな。丁度良いからコイツのドロップ品も確認しておくか。レベルも低いしアッサムとゴブスケだけでも大丈夫だろ。


「アッサムとゴブスケでソイツを頼む」


 そう頼むとアッサムとゴブスケはやる気を出してワイルドラビットに向かって行った。ハルトに頼られるのが嬉しいようだ。


 いや、そんなにやる気にならんでも‥‥。


 2匹はワイルドラビットに近づいていき、あっという間に倒してしまった。


 レベルも低かったしやっぱり弱いな。序盤でレベル4の差は結構でかいかもな。それにしてもウサギを囲んでボコボコにするのはなんか気が咎めるな。


 少し苦笑いしながら、得意げな顔になっている2匹に近づいていき、ワイルドラビットの死体に解体ナイフを突き刺す。


【素材アイテム】

 野兎の皮 品質D レア度1

 なめす事でいろんな事に使える。


 野兎の皮か。ヤヨイさんの所に持ち込んで皮の鎧とか籠手とか作って貰うのもありだな。まあ数が揃えばだけど。


 今はワイルドラビットよりゴブリンが優先だと気持ちを切り替えて再び草原を歩いて行く。


 今日が平日という事もあり、プレイヤーの数が少ないようだ。その為前日までよりもゴブリンやワイルドラビットに遭遇しやすく、割と短時間でゴブリンの魂を3つ獲得出来た。


 3つあればとりあえずは良いかな。


 クルストに帰還したハルトは駆け出したくなる気持ちを抑えながら魂術の間までやって来た。因みに2匹は南門で帰還させてある。


「ようこそ。神秘で不可思議な魂融合の祭壇へ。おや?あなたは先日いらした」


「早速試させてもらいに来ました」


「そうですか。では、こちらへどうぞ」


 ニヤッと笑みを浮かべて祭壇へ案内された。


「では、こちらに触れて下さい」


 そう言われて指し示されたのは、祭壇の中央にある鏡の様な物だった。それに触れてみると。


「鏡に今貴方がお持ちの魂が表示されているはずです」


 確かに鏡にはゴブリン(3)、ゴーレム(1)と表示されていた。


「融魂に使いたいモンスターの名前に触れて下さい。そうする事で使用する魂が選択されます」


 ハルトはゴブリンとゴーレムの名前に触れると【YES/NO】と表示されたのでYESを選択した。


 するとハルトの体から2つの光が出てきて、祭壇の左右にある小さい塔の様なものに吸い込まれていった。


「始まります」


 その言葉が合図になったかのように小さな塔が眩く光り始め、中央の塔に向かって稲妻の様な赤い光を放ち始めた。


「これは!まずいですね。通常なら黄色い稲妻の筈なのですが」


 えっ!じゃあこれって極稀にしか起こらないって言われてたヤツ⁉︎


 普通1回目に来るか?どんな運してんだよ俺!


 中央の塔が赤く眩く光輝き、目を開けていられないほど強烈な光を放った後、恐る恐る目を開けてみると、中央の塔の前に1体の魔物がいた。


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