148話 有名人?
「実はですね……」
俺はここへ来た目的、祭りのイベントのお化け屋敷に6人パーティで入りたいので一緒に参加してくれる人を探しに来たと話した。
「へぇ、お化け屋敷ね、そんなのがあるのねぇ」
「あ、すいません。まだ知りませんでしたか?ネタバレしちゃいましたかね」
「あら、大丈夫よ。遅かれ早かれだし。それに商人としては情報収集も大切だし、私は気にしないわよ」
「ありがとうございます。で、どうですか?一緒に行きませんか?」
「うーん、私達はちょっと無理かなぁ。今はここがオープンしたばかりでドタドタしてるしね。お面と浴衣の件もあるけどそれ以外に販売する物の準備もあるしね」
「他には何を売る予定なんですか?」
ヤヨイさんの事だ。あっちの本店?にある物だけを売るとは思えない。
「基本的には食べ物系を売るつもりでいるわよ。ここの屋台で出されてるお祭り感のある食べ物も出せそうなのは出すつもりでいるわ」
「へー!再現出来そうなのってあるんですか!」
俺が食べたやつは今の所材料がまだ足りなさそうだったけどな?どれが作れそうなんだろうか。
「ある程度作れそうなのはじゃがバター、ベビーカステラ、唐揚げくらいかしら。たこ焼きなんかはソースと青のり無しなら作れそうだけど、お祭りで出すなら青のりはともかく、ソースが無いと納得出来ないものね」
「ソースが無いんですか。え?という事はタコは見つかってるんですか!」
「ええ。西のソヨ村から先の海で見つかってるわ。釣り好きのプレイヤー達が海で釣りをしたら釣れたそうよ」
釣り好きのプレイヤーか。釣道楽のジョニーさんも行ってそうだな。
「なるほど。海で釣りですか。そういえば釣り竿持ってるのに海で釣りはした事なかったですね」
今度行ってみるかな。海の魚とか美味しそうなのいっぱいいそうだし。
「海で釣りをするなら気をつけた方が良いわよ?海からモンスターが飛んで来るらしいから」
「モンスターが飛んで来る?」
「トビダツっていうモンスターらしいわ。釣りをしてたら頭に刺さって死に戻りしたプレイヤーが結構居るそうよ。それでも釣りを辞めないんだから釣り好きなプレイヤーさん達には頭が下がるわ」
「うわぁ、それは……」
「だからお兄。また話が脱線してるって」
「あ、悪い。ついな」
マーリン達の方を見ると、ミーニャちゃんも苦笑いしている。
「えーっと、それじゃあ出来たらで良いんですが、一緒にお化け屋敷に行ってくれそうな人を紹介して頂けませんか?」
「私は別に構わないけど、ハルト君達も結構知り合いが増えたと思うんだけど私達の紹介で良いの?」
「俺はクランに入ってないですし、フレンド登録してる人は結構居るんですけど1回しかあった事ない人が多いし、何回か会った事ある人はクラマスとかで忙しいかなって思ってて」
「私たちもクランに入ったばっかりでまだ他の人達と殆ど話した事無い人ばっかりなんで」
「まだー、気楽に誘える人がー、居ないんですよー」
と2人も困り顔で申しております。
「そうなのね。うーん、そうなると誰を……あ、そういえば丁度良い人が居たわね。ハルト君を紹介してくれって人が居たわ」
「紹介?ですか?俺を?」
「そうよ。ハルト君って結構有名人なのよ」
「有名人ですか?俺が?」
俺が有名人?そんな事ないと思うけど俺がやってきた事を客観的に見てみるか。
先ずは、今のところたった1人のサモナーで、クラスチェンジ済み。クラスチェンジは最近他の人もクラスチェンジしてる人が徐々に増えて来てる聞いた事あるからこれは大した事は無いかな?
次に前回のイベントでボスを撃破。これは俺1人だけだったな。でもボスを倒したのが俺だってのは広まってるのか疑問だな。まあ、ヤヨイさん達が知ってたし、ヤヨイさん達から聞いたって人なら知ってるか。ヤヨイさん達顔広いし。
後はダンジョンを初めて発見したって事位かな?でも、これも茶助さんと一緒に発見した訳だから俺だけの手柄って訳じゃないしな。
「ふふっ、良く分からないって顔してるわね」
「ええ、まあ、色々やってはいますけど有名人って程では無いかなと」
「ふふっ、ハルト君らしいわね。ハルト君を紹介して欲しいって言ってる人は情報を取り扱うクランの人なのよ」
「情報を取り扱う?どういう事ですか?」
「そうねぇ、情報屋って感じかな?情報を集めたり、検証したりする人達ね。情報の買取や販売もしてるわ。検証の方は、例えば剣のスキルレベルを上げると幾つで次のスキルを習得するかとかね」
「へー、そんなクランがあるんですね」
「そうよ。だから色々発見してるハルト君と知り合いになっておきたいみたいなのよ」
なるほど。それなら納得。特にサモナー関係の事は俺にしか聞けないものな。
「分かりました。お化け屋敷に一緒に行って貰えるなら協力させて貰いますよ」
「そう言って貰えて助かるわ。結構しつこかったのよね。えーっと、うん。今インしてるみたいだから連絡してみるわね」




