145話 初イベントだもの
「近くで見るとかなり雰囲気あるな」
俺が見上げているのは3階建ての屋敷だ。教会に比べてこっちは外壁とかも結構ボロボロだな。これぞ正しくお化け屋敷って感じの屋敷だな。屋敷の3階の窓の近くを人魂みたいのも飛んでるな。あれもアンデッドモンスターなのか?中に入って遭遇したらなんて言うモンスターか確認したいな。
道中出てくるアンデッドも少なかったし、レイスもある程度離れたヤツは無視して来たから聖水も殆ど減ってないな。これなら残り時間無駄打ちしなけりゃきっと充分保つだろう。
「残り時間も後半分を切ったし中に入ってみますかね」
入り口の扉は半分が朽ちて無くなっている為、開ける必要なく入る事が出来た。
「あー、中もなかなかボロボロになってんなぁ。床に穴が空いて所々進めない場所があるしあの階段なんか瓦礫で埋まってるから別の場所から上に行かなきゃいけないっぽいな。何かがあるとしたら上にあるだろうし」
直ぐ近くの階段が瓦礫で埋まってるから別の場所から上に上がろうと屋敷の中を歩いていると曲がり角からスケルトンが襲いかかってきた。
「おっと危ねぇ!」
こいついきなり剣を振り下ろしてきやがった!
すぐさま水鉄砲で攻撃してスケルトンを消滅させたけどまだ心臓がバクバクいってるよ……。
「あー、ビックリした。こういう驚かせるタイプのお化け屋敷要素は要らないよ……。心臓に悪いわ」
その後も襲ってくるスケルトンやゾンビを退けながらようやく上に上がる階段を見つけた。
「やっと見つけた。1階は外とアンデッドの遭遇率はあんまり変わらない感じだったな。しかし、残り時間は後5分か。これはかなり急いで移動しないと高ポイントは無理そうだな」
ポイントはスケルトンとゾンビが10、レイスが30で今の俺のポイントは310ポイント。他の屋台ニコル比べると大規模な割にはポイントが少く感じるな。これだけ凝ってるんだから効率良く進めれば他のより高ポイントが取れると思うんだけどな。
そう考えながら2階に登った途端初見のモンスターを発見した。
「あれは何だ?鎧を着た何かが歩いてる?」
リビングアーマー(イベント) Lv5
状態 アクティブ
「あ、ちゃんと鑑定効くんだ。リビングアーマーか。確か鎧だけのモンスターで中身が無いんだったっけ?」
大きさは俺より少し大きいから180センチくらいで鉄の鎧をガシャッ、ガシャッと音を立てながらこちらに歩いてくる。
「動きは遅いな。とりあえず先手必勝って事で水鉄砲で攻撃してみるか」
とりあえず攻撃してみたところ、このリビングアーマーは一撃では消滅しなかった。水鉄砲の攻撃を受けた所からジューっと音と煙が上がり怯んだ様子をみせたがその後も俺の方へ歩いて来たのだ。
「マジか。一撃で死なないのか」
それでも動きが遅いのは変わらないのでリビングアーマーから距離を取りつつ2発、3発と攻撃を加えると。
「ふぅ、やっと倒せたか。リビングアーマーを倒すには5発必要なのね。聖水の残りが少なくなってきたらリビングアーマーは避けるべきか?幸い動きが遅いから避けれるだろうし。2階に出てくる他のモンスターも見てから考えるか」
その後3階へ続く階段を探したが見つからないままタイムアップになり、俺は小部屋へとワープさせられた。
「おっと、タイムアップか。入った時とは違う場所っぽいな。出口は……あっちか」
出口はあちらですという文字と絵が壁に描いてあったのでその指示に従い進むと建物の外に出た。
「出る時は受け付けを通らないし、職員さんも居ないのか」
外に出て一息ついていると。
「お兄!」
「マーリン。マーリンもインしてたのか」
「もちろん!ミーニャちゃんも一緒だよ!」
「お兄さんこんにちはー、お久しぶりですー」
お久しぶりか、確かミーニャちゃんと前に会ったのは交流会のときだから10日ぐらい前か。
「ミーニャちゃんこんにちは。久しぶりだね。2人共今日は早いんだね」
「あったり前だよ!私達には初めてのイベントだからね!気合い入れて早起きしたよ!」
「お祭りとっても楽しいですー」
どうやら初めてのイベントでテンションが上がっているみたいだな。
「2人もここに居るって事はお化け屋敷に入ってたのか?」
「そうだよ!2人で入りたかったんだけど2人だけじゃ無理だったから2人共ソロで入ったんだよ」
「心臓がバクバクしましたー」
「それで中で分かった事を2人で話してたんだよ」
「あー、あれは情報集めといた方がかなり有利になりそうだからな」
「そうそう。だからお兄の話も聞かせて!ここじゃアレだから屋台で食べ物買ってゆっくり出来る所で話そうよ。お兄の奢りで」
「マーリンも2マス目に行けてそれなりに稼げるだろうに……。まあ、いいけど」
2人に連れられるまま屋台を周り、色々な食べ物を買った。マーリンのテンションが何時もより高いのが分かるな。ま、初イベントだから仕方ないか。屋台で買った食べ物は、ベンチのある広場で食べながら話す事にした。




