143話 お化け屋敷
次にやって来たのは、何らかのアトラクションがあるであろう大きな建物だった。
「さて、ここは何のアトラクションがあるのかな。ん?あそこに看板があるな。えーっとお化け屋敷?」
多くのプレイヤーが並んでいる入り口らしき辺りにこの前ダンジョンで見たレイスやスケルトンの絵が描かれている看板があった。
「お祭りにお化け屋敷?お化け屋敷って遊園地のイメージがあったんだけど。まあ、お祭りにもありっちゃありか?でもお化け屋敷でポイントとかどうするんだ?驚いた回数ポイント貰えるとか?いや、逆に最初にポイント貰って驚いたらポイント引かれるとかか?」
どういう仕様なのかと考えながら行列に並ぶこと数分。意外にも行列の進みが早く、思ったよりも早く建物内に入る事が出来た。
「いらっしゃいませ〜」
建物内に入るとスタッフラしきNPCの女性に話しかけられた。
「こちらのアトラクションは初めてのご利用ですか?」
「あ、はい」
「それでは当施設のご説明をさせて頂きますね」
どうやら受付をスムーズにする為の事前説明らしい。俺の前に並んでいるプレイヤーも何人か説明を受けていた。スタッフさんの説明を要約すると。
・このお化け屋敷はアンデッドモンスターの退治を目的としていて、制限時間内に多くのアンデッドモンスターを倒す事が目的で1日に何回でも挑戦可能。
・制限時間が過ぎる又はHPの代わりのバーが0になるとその時点で終了となる。
・アンデッドモンスター退治は専用の聖水入り水鉄砲のみ可能であり、水鉄砲の聖水が無くなった場合は補給地点にて補給可能。
・ポイントはアンデッドモンスターの種類によって定められている。
・中にはソロ又はパーティで入れるが従魔・召魔は入場出来ない。
・中に入った人数によって難易度が変わる。その為、ソロプレイヤーでも楽しめる様にランダムでパーティを組む事が可能である。中にはパーティでしか現れないアンデッドモンスターがいるかも?
・パーティでのポイントは終了時のポイントをパーティの人数で等分される。
・アンデッドモンスターが苦手な方でも楽しめる様にこのお化け屋敷でのみアンデッドモンスターがデフォルメされるバージョンが用意されている。
と、こんな感じだった。
「分かりました。説明ありがとうございます」
「それではお楽しみ下さいね〜」
そう言って俺の後ろに並んでいるプレイヤーへと説明をしに行った。
「それにしても聖水の水鉄砲でのアンデッド退治か。それは思いつかなかったなぁ。それに召魔を召喚出来ないのは痛いな。このルールだと俺は完全にソロになっちゃうしな。まあ、救いなのはランダムでもパーティを組める事か。後で誰かにパーティで入った時の事を聞いてソロとパーティどっちが良いか比べてみるか」
それにしても今回のイベントの仕様だとレベルとか職業とか一切関係無いな。2陣のプレイヤーには良いかもしれないけど1陣のプレイヤーの中には不満に思う人も居るんじゃないか?俺は別に構わないけど。
そんな事を考えていると自分の受付の番が来た。
「いらっしゃいませ〜。本日はソロで挑みますか?パーティで挑みますか?」
「ソロでお願いします」
「分かりました。デフォルメはどうしますか?」
「そのままで大丈夫です」
デフォルメバージョンにも興味はあるけど先ずは普通ので行くか。
「分かりました。それではこちらが当アトラクション専用の水鉄砲になります。ではあちらの入口へどうぞ〜」
そう言われ、指示された入口へと入って行くとそこは小部屋だった。その小部屋の地面に円が描かれており、その中にスタンバイという文字が書かれていた。
「あれ?大きい部屋に出ると思ってたんだけど。この中に入れって事か」
スタンバイと書かれた円に入ると目の前にOKという文字が現れ、その下には準備が出来たはOKを押して下さいと書かれていた。
「OKっと」
OKを押すと視界が切り替わった。
「なるほど。ワープか。でも考えてみたら当たり前か。ある程度の人数のプレイヤーが同時に遊ぶってなるとあの建物内じゃ無理だもんな。それにしてもこれは……雰囲気あるな」
ワープで飛ばされた場所は辺りにボロボロの家が何軒もある廃墟だった。
「えっと、制限時間は30分か。まず何をすれば良いのか全然分かんないな。とりあえずそこら辺の家でも調べてみるか?」
辺りを見回してもアンデッドは見えないからという事で1番近くにあった家のドアを開けてみた。
「うおっ!」
ドアを開けたら中からスケルトンが1体飛び出してきた。咄嗟に後ろに飛んだからダメージは無かったけど、これはかなり驚いた。
「お化け屋敷要素もあるのかよ……。というか気配察知が全く機能してないな。スキル系も無効化されてる感じかな?おっと、とにかく攻撃しないと」
スケルトンが殴りかかってきたので慌てて避けて、水鉄砲で攻撃してみたところ。
「おお!マジか。まさか一発で仕留められるとは思わなかったな」
聖水を浴びたスケルトンはジューという音が聞こえそうな程、聖水が当たった所から蒸気が出て消滅していった。




