14話 プレイヤーと初会話
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ログインしたのはいいけど、まだ朝が来るまでは結構時間があるな。夜の内に何か出来る事でも無いかなと思ってログインしたけど、何かやる事あったかな?
錬金術でポーションを作ろうにも材料がないしな。俺にはまだ夜の狩りは早いだろうし。とりあえず街をぶらぶら歩いてみるか。
という訳でギルドに来てみたんだが、意外と人が居るもんなんだな。
ここに来たのは、普段は見ない物もちょっと見てみようという事で来てみた。普段は見ない物、そうそれはパーティメンバー募集のボードだ。
サモナーはソロプレイでもいけるし、何より俺自身が知らない人と組むのが怖いという思いがあったからなんだけどね。
そんな訳で今まで全く見て無かったんだが、今回は暇つぶしがてらちょっと見てみようと思った訳だ。
募集に多いのがやはりファイター、ランサー、アーチャー、メイジ等の戦闘職だ。
テイマーやサモナーを募集している所は無さそうだな。それどころか‥‥
[パーティメンバー募集]
一緒にパーティを組んでみませんか?レベル5以上ならどんな職業でもOKです!
来て下さる方は南門に昼の1時にきて下さい。
今回限りでも構いません。
※テイマーの方は従魔を1体にして下さい。
※サモナーは募集しておりません。
と、こんな感じでサモナーはお断りの募集が多々ある。何故だ!何故テイマーはOKでサモナーはNGなんだ!ほとんど変わらんじゃないか!
しかもテイマーはパーティへの募集は少ないが、クランへの募集は結構あるようだ。どうやらテイマーだけのクランもあるようだ。
クランとは、ある一定の目的を持つ者達の集まりを指す事がある。他のゲームではギルドと呼ぶ事もある。
クランか、いつか所属する日は来るのかね。リアルの知り合いとかとならやってみても面白いかも知れないな。
その後為にも俺が頑張ってサモナーの地位向上を目指すぞ!
そう決意を新たにして、ギルドを後にしたのだった。
ギルドを出て、次にハルトがやって来たのは北通り。
北通りは、携帯食料を買いに来た時にちょっとみただけだったからな。どういうのがあるのか見ておかないとな。
いろんな物が売ってるんだな。野菜とかできたら作物だけじゃなくて、種も売ってるんだな。ゴブスケに農耕スキルを付けたから時間がある時に畑でもやってみてもいいかもな。
色々な店を見ながら進んでいると、ある屋台が目に入った。正確にいうと屋台ではなく屋台で働く人に注目していた。
屋台にいる彼女の頭の上のマーカーの色は緑だった。NPCのマーカーは黄色なので、そのマーカーの色が緑という事は、彼女がプレイヤーという証だった。
「あの、すみません。プレイヤーの方ですよね?もうお店なんて開いてるんですか?」
そう尋ねてみると、その彼女は凛とした黒髪のお姉様と呼びたくなる様な女性だった。
「いらっしゃいませ。少し前にオープンしたばかりなのよ。早くオープンしてくれってお願いされちゃってね。流石にお店を構えるのはまだ無理だったから、屋台になったけどね」
この人、多分この前掲示板で読んだ、お店を早く開いてくれって頼まれてた人だな。
「何のお店なんですか?」
「んー、これと言って何といったジャンルは無いのよね。私達のお店は、生産職だけで作られたクラン〝フリーワークス〟のお店だから料理の時もあるし、武器や防具なんかも置いてあるし、注文生産なんかもするわよ」
「へー、もうそんなに人数がいるんですか?」
「私達のクランのほとんどがβ版からの人達が多いのよ」
「じゃあ、あなたもβ版からやってるんですか?」
「そういえば自己紹介がまだだったわね。私はヤヨイよ。よろしくね。私もβ版からやってるわ」
「あ、俺の名前はハルトです。β版からやってた人ってなんか特典があったりしたんですか?」
「まあ一応あったわよ。レア度3までの武器を1つだけ持ち込めるっていうのが特典ね」
「レア度3ですか。序盤だったらかなり有利ですね」
「そうね。だからこんなに早くお店を開く事が出来たとも言えるわね」
「ちなみにヤヨイさんは何の職業何ですか?」
プレイヤーの情報は、フレンド以外は名前とレベルしか見えないのだ。フレンドになると、職業と職業レベルも見えるようになる。
「私は商人よ。商人の売買スキルが無いとプレイヤー同士の取引が出来ないのよ。後は、交易スキルが初期スキルっていうのも大きいはね。あ、交易スキルっていうのはね、アイテムの今の適正な価格がわかるっていう効果と自分が作った物に値段を付けれる効果のあるスキルなのよ」
売買スキルか、商人しか持って無いならお店を持とうとしたら商人は必須なんだな。あれ?でもそれだとずっと商人が店に居ないと売り買いが出来ないって事か?聞いてみるか。
「でもそれだと商人の人は、お店から離れられないんじゃないですか?」
「大丈夫よ。商人が店に居ない場合は、交易スキルを持ってる人が値段を書き込んだ木札と物々交換って事にして、後から商人が書かれた値段で木札を買い取るって形になるのよ。交易スキルは生産職の人なら入手しやすくて、結構持ってるから」
「でもそれだと不正しまくりじゃないですか?払いに来なかったり、木札を書き換えたり」
「無い事も無いわね、残念ながら。書き換えはほとんどが見破れる方法があるから大丈夫よ。その方法は言えないけどね。払いに来なかったり木札を書き換えたりした人は、通報するし、運営から警告で済んでも情報が回るのは早いから2度とプレイヤーのお店では買い物が出来なくなると思った方がいいわよ」
すごい笑顔で言ってるけど、なんか背中から凄い黒いオーラが見える気がする。なんか寒気がするし。
絶対にこの人を敵に回したく無いと思ったのだった。