129話 地図
「お疲れ様でした。お見事でした」
「いやいや。この程度なら大した事ではござらんよ。ハルト殿の方もアッサリと片付いた様で」
「うちは皆に任せてただけですから。俺の力じゃないですよ」
「ハルト殿はサモナーなのでござるから召魔の力もハルト殿の力でござるよ」
「そんなもんなんですかね?あ、ちょっと待って下さいね。アッサム、すまんが今回はここで交代させてくれな?」
俺がそう言うと「キュッ」と鳴きながら頷いてくれた。アッサムを送還してゴブスケを召喚した。
「さっきの戦闘で何かあったでござるか?特に問題があった様には見受けられなかったでござるが」
「このゴブリンはゴブスケといってこの前ゴブリンシーフに進化したんですよ。さっきの茶助さんの立ち回りを見てゴブスケには凄く参考になると思ったんです。なのでゴブスケに茶助さんと一緒に戦わせ様と思ったんです」
「ほう。ゴブリンから進化したゴブリンシーフにでござるか。拙者の動きが参考になるかは分かるぬでござるが……。それにゴブスケ殿の武器はそれでござるよね?」
「そうですね。普通の剣を持たせてますね。シーフだと普通の剣はダメですかね?」
シーフに進化させたんだから武器を換えた方が良いのかな?
「別にシーフでも普通の剣をつかってる人は居るでござるから問題は無いでござる。ただ、拙者の戦闘スタイルだと短剣の方が都合が良いでござるよ」
「茶助さんのスタイル?ですか?」
「そうでござる。さっきの戦闘を見てもらってたのなら分かると思うのでござるが拙者のスタイルは避けタンクなのでござる」
「避けタンク?普通のタンクじゃなくてですか?」
「普通のタンクはモンスターの攻撃を防御したりシールドバッシュという技でカウンターを決めてモンスターのヘイトを集めるるでござるが、避けタンクはモンスターの攻撃を躱しながら一撃を入れてヘイトを集めるでござるよ」
「なるほど。それであの身のこなしだったんですね」
「まあ、拙者のこの装備がペラペラでござるから攻撃を受けれないと言っても過言ではないでござるが……。そういう訳で拙者の攻撃は一撃より手数を重視するでござる」
ああ、茶助さんの装備、見た目通りやっぱり防御力ないんだな。初心者が装備していた服の色違いって言われても納得出来る様な服だもんな。
「んー、ゴブスケも敏捷を中心に育ててるから茶助さんのスタイルと噛み合うかもしれませんね。武器は後日持ち替えるので今日のところは剣で茶助さんと組ませてもらっても良いですか?」
「それは別に構わんでござるよ。良し!ではゴブスケ殿!拙者の動きをよく見て一緒に立派な忍者を目指すでござるよ!」
え?いや、忍者を目指させるかはまだ決まって……。えっ?なんでゴブスケそんなやる気なの?あなた茶助さんの戦闘見てないよね?なのになんでそんなやる気なの?まあ、ゴブスケがやる気なら仕方ないか。
「なんかゴブスケもやる気みたいですしよろしくお願いします」
任せろって言ってるみたいに両手をグーにして上に突き上げてるけどホントにわかってるのかな?
その後2回程戦闘をしたが茶助さんとゴブスケの方は問題無さそうなので先に進み、漸く迷いの森へと入った。
「さて、ここからが拙者の本当の出番でござるな。先ずはどう進むでござるか?」
「先ずは適当に進んでみましょうか」
先ずは適当に進む事にして、真っ直ぐの道を進む事にする。真っ直ぐの道を進んでいると。
「む、戻ったでござるな。どうやらこの道はハズレでござる」
そう言って手元の紙に地図を書いていく。そういえば紙なんて売ってるのなんて見た事無かったな。
「その紙はなんですか?」
「この紙でござるか?この紙はマッピング用の紙でござるよ。ほら、少しマス目が見えるでござろ?これがあるからマッピングしやすいでござるよ」
「マッピング用のですか。迷いの森なんかのワールドマップが使えない場所なんかでシーフの人が使う用って感じですか」
「いや、そうとも限らんでござるよ。シーフに限らず、クランに所属していれば他のクランメンバーの為にワールドマップが見える場所でも、複雑な地形の場合は地図を作っておくこともあるでござるからな」
「なるほど。初めて行く場所ではワールドマップも意味がないですもんね」
「そういう事でござるな。さぁ、次はこっちの道を進んでみるでござるか」
さっきとは違う道を歩いて行くと。
「危な!でござる!何か飛んできたでござる!」
「木の枝にシマリスが3匹居ます!飛んでくる木の実は爆発するので気をつけて下さい!」
「そ、そうなのでござるか!実は拙者は迷いの森へ来るのは初めてなので出現するモンスターの事を教えて貰えるとありがたいでござる」
「分かりました!先ずは枝の上から俺たちでシマリスを落とすのでゴブスケと一緒に倒して下さい!シマリスのHPが低いので簡単に倒せるはずです!」
俺達は前回来た時もシマリスに遭遇しているので前回よりも上手くシマリスを枝の上から落とす事が出来た。茶助さんも最初は戸惑っていたが、最後の1匹は落下中に倒していた。
「落下中に倒すなんて流石ですね」
「いやいや、シマリスを難なく枝の上から落とすハルト殿達も流石でござるよ。拙者もクナイ等の飛び道具があれば落とす方にも貢献出来ると思うのでござるが、まだ製作には至っていないでござるよ」
「確かに忍者といえばクナイとか手裏剣を投げるイメージありますもんね」
「うむ。鉄鉱石がもっと出回ればその内出来ると思うでござるよ。時間の問題でござるな。さあ、先に進むでござるよ」
俺と茶助さんは倒したシマリスからアイテムをゲットして先に進んで行く。




