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127話 お土産

「あ、そうだ。新店舗の開店祝いにお土産を持ってきたんですよ」


「あら?そんなの全然良いのに」


「これです」


 さっきまで装備品が置いてあったテーブルの上にお土産として採取してきた食材を置いていく。


「…………ホントに全然良いのに」


「……噂通り……ねぇ」


 俺がテーブルに置いた多くの素材を見てヤヨイさんのアイリスさんが疲れた様にそう言った。ちょっと張り切り過ぎたかな?でも、お土産なんだから多い分には構わないでしょ。それより噂って何?どんな噂が流れてんだろ?


「……むぅ、食材だけとはいえこれだけの数だと、また結構な金額になるな」


「え?いや、これはお土産として持ってきたんで買取は必要ないですよ?」


「うーん、そうは言っても……」


「ハルっちやり過ぎ」


 マイさんもコクコクッと頷いてるから同意見なんだろうな。俺としてはお祝いのお土産だから多い方が良いと思ったから気合いを入れたんだけど多かったみたいだな。


「このまま全部タダで受け取ると変なやっかみを受けるかもしれんし、坊主を脅してタダ働きさせとるなんて運営に通報する輩も居るかもしれんな。そんな事実はないが噂を立てられるだけでも生産クランとしてはな……」


 マジか。そんな事まで考えてなかったな。


「良し!受け取りましょう!」


「ヤヨイ良いの?」


「良いのよアイリス。この食材を使って明日から開店セールって言って安く提供しましょ。私達以外にも利益があれば変なやっかみも減るでしょ。それとハルト君にはお金以外の対価を受け取ってもらいます!これは絶対よ?」


「うーん、それならまあ良い?のか?」


「あの、対価って何を受け取れば良いのでしょうか?」


 おっと、ヤヨイさんのあまりの圧に思わず丁寧な言葉になってしまった。だって口調は優しいが後ろに断らせないわよオーラが見える気がするんだもの。


「んー、それはハルト君次第かしらね?何か欲しい物とかして欲しい事とかって何か無いかしら?」


 何か欲しい物?今は特に何も思い浮かば無いなぁ。若しくはして欲しい事かぁ。こっちはどうだろう?装備も替えたし、何か行き詰まってたりはしな……あ、そうだ。


「じゃあ、シーフの方を紹介して貰えませんか?」


「シーフ?紹介するのは良いけどどうして……ああ。そういえばこないだ迷いの森について喋ってたわね。攻略にはシーフが必要ってやつね?」


「そうです。俺と一緒に迷いの森を進んでも良いよって人が居たら紹介して欲しいんですよ」


 そう。迷いの森を進むにはシーフのマッピング能力が必要らしいのだ。ゴブスケがゴブリンシーフにはなったけど新しいスキルとかは増えなかったし、多分マッピング能力なんてプレイヤーにしか無さそうだしな。

 迷いの森が充分攻略されて地図が出回ってからでも良いと思ってたけど、早いとこ進めるのなら進んでみたいしな。北は食材やポーションの材料が豊富だし。最低でも迷いの森のワープポイントは登録していつでも飛べる様にはしときたい。


「一緒に進んでも良い人か。んー、攻略組の人達からは難しそうねぇ。ああいうクランって妙な連帯感があるからクラン合同でってなら良いんだけど1人だけってなるとねぇ」


「それならワタシに心当たりがあるわ!ちょっとアレな人だけど実力もそこそこあるしクラン的にも問題無いだろうから今から連絡いれてみるわ」


 そう言うとアイリスさんが手元で何かをやっている。多分メールか何かを打っているんだろう。

 一瞬ダメかとも思ったけどアイリスさんに心当たりがあったみたいだからちょっと安心。でもちょっとアレっていうのはどういう事なんだろうか?


「あ、返事が帰ってきた。早いわね。うん、相手からOK貰えたわ。それで何時にする?相手はこの後すぐでも大丈夫って事だけど」


「それじゃあ1時間後ぐらいでお願いしますって返信お願い出来ますか?」


「分かったわ。そう伝えておくわ」


「ありがとうございます。それで、あの、ちょっとアレってどんな感じの人なんですか?」


「ふふふ、会えば分かるわ。大丈夫。悪い人じゃないのはワタシが保証するわ」


「は、はぁ」


「じゃあ、この件はこれで良いとして。ハルト君」


「はい。何でしょうか?」


「これだけの食材があるって事は他の素材も沢山あるって事よね?」


 お、おぉう。ヤヨイさんから再びオーラが…。


「出・し・て♡」


「は、はい」


 いつの間にか片付けられていたテーブルの上に素材を出していく。


「よくもまあ、短期間にこれだけの素材を集められたもんだなぁ。ウチも誰か知り合いをGPOに誘ってサモナーになってもらって専属素材採取係にでもさせるか?」


「サモナーなら誰でも良いって訳じゃ無いんじゃない?ハルっちだからこそって気がするし」


「……ハルトだからこそ。他のサモナーじゃ多分無理」


「だよなぁ」


 何か皆の俺の評価がおかしな事になってないか?


「今回も量が多いし、分割払いでお願いしても良い?」


「クランハウスも買ったばかりだしな」


「本当は今回の支払いと相殺してあげたいところなんだけど、今はウチもお金を持っておきたいのよね」


「俺は全然構わないですよ。ちゃんと装備のお金も持ってきてますから。あ、これが今回のお金です」


 そう言ってヤヨイさんにお金を渡す。


「ありがとうハルト君。今回の素材で装備を作って捌けば直ぐに支払える様になると思うわ。お金の用意が出来たらメールでお知らせするわね」

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