125話 新店舗訪問
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《フレンドからのメッセージが1件あります》
うん?メッセージ?GPOを始めてから初めてフレンドからメールが来たな。誰からだ?
ああ、ヤヨイさんからか。メールの内容は俺が注文していた装備が出来たという事だな。
丁度今日お土産を持っていこうと思ってたからついでに受け取っておこうか。新しい装備を受け取ったら砂漠の先に進むのも考えても良いかもしれないな。
という事でフリーワークスの新店舗があるという南通りにやって来た。
「えーっと、確かティーグさんの持ってたポスターの地図だとこの辺り……、あそこか?」
俺の視線の先にはちらほらとプレイヤーが出入りする店があり、出入口の上に“フリーワークス”と書かれた看板があった。
「人混みを避ける為に少し早目にログインしたのにもうお客さんが入ってるんだな」
昨日だとオープンしたてという事もあって人がかなり多い事が予想されたし、オープン初日だからフリーワークスの人達もバタバタしてるだろうからと思って、今日の早い時間に来る事にした訳だけどそれでも結構人が来てるもんなんだな。とりあえずお土産も渡したいし入るとしますか。
「いらっしゃーい!お、坊主か。よく来たな。坊主はこっちだ」
そう言って俺の手を引っ張ったのは小次郎さんだった。
「え?いや、お店は良いんですか?」
「大丈夫だ。人員は他にも居るからな。おーい!坊主が来たからこっちは少し頼むぞ!」
小次郎さんが他にいた人達に声を掛けると「あいよ!」という声が返ってきた。
「これで大丈夫だな」
そう言いながら俺の手を引っ張って店の奥の部屋へと入っていった。まぁ、俺のお土産を渡すのに店舗部分じゃなくて別の場所で渡そうと思ってたから良いんだけどね。
「おーい、坊主が来たぞ」
「ハルっちいらっしゃーい!」
「……良く来た」
奥の部屋にはアイさんとマイさん、それと見た事がない金髪でレザーアーマーを着た女性が座っていた。年齢は多分ヤヨイさんと同じ位かな?
「ハーイ!貴方がお得意さんのハルトね!ワタシはアイリス!ヨロシクね!」
「こちらこそ何時もフリーワークスにはお世話になってます。ハルトです。よろしくお願いします」
アイリスさんと握手をした時に思わず視線が少し下にいってしまった。だってアイリスさんの胸の主張が……。俺も男だから多少視線はね?
「……ギルティ」
「やっぱりハルっちも男の子だねぇー」
ハッ!ゲフンゲフンッ!
「えーっと、ヤヨイさんは居ないんですか?」
まだ冷たい視線が刺さってる気がするがここは話題を変えないと。
「ヤヨイならもうすぐインして来るだろう。その前に坊主の装備を渡しておこうか」
良し!話題を変えるのに成功した!
「ワシも男だから気持ちは分かるがあまりガン見は辞めといた方が良いぞ?」
と思ったけど変わってなかった!
「す、すみません」
「ハハハッ!慣れてるから大丈夫よ!」
「す、すみません」
「アイリスもこう言ってるし、もう良いだろう。坊主の装備を倉庫から持って来るから少々待っとれ。アイ、運ぶのを手伝ってくれ」
「あいよー」
そう言って小次郎さんとアイさんが部屋から出て行った。
「倉庫なんてあるんですね」
「そうなのよ!販売スペースも充分あって倉庫もあるの。倉庫はクランメンバー共通だからクランメンバーなら誰でも入れられるしだれでも取り出せるから便利ね。あと2階にクランメンバーだけがログアウト出来る部屋もあるのよ。宿屋に泊まった時と同じ効果があるのよ。効果は1番下のランクの部屋の効果と同じになっちゃうけど、毎回宿屋に泊まるのと同じ様なものと考えたらこれもかなり便利よね」
「へぇ、それは結構なメリットですね。そんな情報が広まったら攻略組の人達のクランもクランハウスを買いたがるんじゃないですか」
毎回1番下のランクとはいえHPやMPを早く回復させる為にログアウトするのは時間効率は良さそうだしな。
「……既に親交のあるクランには教えてあるから多分もう動いてる」
あ、もう動いてるのね。そりゃあ効率が上がりそうなら早めにクランハウスを買っとくのが正解だろうな。
「親交のあると言うとファルコさんのところですか?」
「……ん。あと他にも数箇所」
マイさんとアイリスさんと雑談していると小次郎さんとアイさんが袋を抱えて戻ってきた。
「待たせたな。これが坊主と坊主の召魔の新しい装備だ」
そう言ってテーブルの上に持っていた袋を置いた。袋にはハルトと書いてある札が付いていた。
「これに俺達の装備が入っているんですか?」
「ああ、前までは個人のインベントリに入れとって、出来たらヤヨイに渡してたんだが倉庫付きを買ったんでな。出来たら倉庫に入れようってなったんだがそのまま置いておくとどれが誰の装備か分からんくなるからな。注文を受けて出来たら倉庫のその人の名前が書いてある札が付いとる袋に入れる様にしようってなったんだ」
なるほどね。確かに出来たからって適当に入れておいたら同じの注文した人がいた場合、どれがその人のか分からなくなるもんね。
「では、袋を開けて装備を確認してくれ」
そう言われて俺は袋から装備品を取り出していく。




