110話 大規模戦闘
フィールドボスへの道中はぶっちゃけやる事が無かった。あ、戦闘って意味ね。喋ったりはしてるけどモンスターが出て来ても人数が多いから俺達の所までモンスターが回って来ないんだよね。というかこの人数に向かってくるモンスター乙!もうね、見てて可哀想になるレベルでボコられてるからね?ゴブリン1匹に対して無数の従魔が……。俺がやられたらと思うと震えが来るよね。あ、初日にやられて死に戻ってたな。
で、今は何してるかと言うとフィールドボスの間近の所まで来たのでボス戦の打ち合わせ中なのだ。
「ボスはユニットの数だけ出て来るって事だから今回はジャイアントワイルドラビットが16匹出て来る事になるわね」
「そういう事になるわね。それに取り巻きのワイルドラビットも沢山出てくるのではなくって?」
「出てくるでしょうね。だからワイルドラビットの対処は新人やまだレベルが低いプレイヤーに任せて俺達でジャイアントワイルドラビットを抑えないといけないですね」
今話し合ってるのはアイリーンさん、エリーさん、ジョセフさんと俺の4人だ。ジョセフさんはアイリーンさんのクランのサブマスだったらしい。エリーさんのクランのサブマスは昨日の交流会も今日の戦闘にも不参加らしい。リアルの都合がどうしても合わないって言って泣く泣く諦めたそうだ。
マーリンとミーニャちゃんは昨日知り合ったアイリーンさんのクランの同世代の子達3人と喋ってるのでこっちの話し合いには不参加だ。
「前回ユニットを組んで戦った時は範囲魔法が有効的に感じたんで最初に範囲魔法を使える人達で撃ってみても良いと思いますよ?」
「そうね、使える人がどれだけいるか分からないけど有効そうね」
「範囲魔法に限らなくても良いんではなくて?」
「そうですね。攻撃魔法を使える人は開幕一斉射撃で良いと思います」
話し合いで大まかな戦闘での流れと誰がボスを相手するのかを決めていよいよフィールドボスへと向かう事になった。
「見えて来ましたね。うわぁ、あっちの数もエライ事になってますね……」
俺の視線の先にはズラっと並んだジャイアントワイルドラビットとその周りにいるおびただしい数のワイルドラビットだった。
「合図で一斉射撃するわよ!魔法が使える人は前に来て下さい!ボスを相手する人以外は撃ったら直ぐに下がって下さい!……今よ!撃て!」
様々な魔法がアイリーンさんの合図で攻撃魔法を使える人が一斉に魔法を使ったのだ。これは離れた所から見たら綺麗だろうな。色とりどりの魔法がモンスターに向かって行くんだからな。あ、俺もちゃんと魔法を撃たないと!
「ストームエッジ!」
範囲魔法を使う俺の横でカルマも魔法を使ってモンスターを攻撃してくれてる。範囲魔法でもこの数のモンスター全部はカバー仕切れないけど俺とカルマの攻撃で多少は数が減ったと思う。
「皆様!行きますわよ!」
エリーさんの合図でジャイアントワイルドラビットを相手にするパーティを先頭に皆がモンスターに向かって走って行く。
「「「「うぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」
俺達がモンスターに向かって行くなか、モンスターも俺達に向かって来ていた。まるで戦争映画の一部みたいになってるな!これはテンション上がるな!俯瞰で映像撮って後で見てみたいくらいだ。
そして、先頭を走っていたプレイヤーがジャイアントワイルドラビットと戦闘を始めた。今回のジャイアントワイルドラビットと戦うプレイヤーは俺、アイリーンさん、エリーさん、ジョセフさん、アイリーンさんのクランとエリーさんのクランから2人ずつの計8人。ジャイアントワイルドラビットの数の半分だ。順当にいけば1人2匹ずつ担当するはずなんだが……、何故か俺が4匹担当する事になってた。しかも早く倒せたらフォローお願いね、だって。まぁ、頑張りますけどね?
俺のところの内訳はアッサムとカルマで1匹ずつ持ってもらって俺とアック、ゴブスケと黒風で1匹ずつにした。アッサムとカルマなら1対1でも戦えるのは前回のジャイアントワイルドラビット戦で証明されてるし、アックもジャイアントワイルドラビットとほぼ同格ぐらいにまで成長してるからアックが抑えてる間に俺が魔法で攻撃する予定だ。ゴブスケと黒風の所は黒風のレベルがちょっと低いのが心配だけどこの2人は敏捷が高いからそれを生かして高機動戦法で何とかなるだろう。
それから十数分後。
「ファイヤーアロー!ふぅ、やっと倒せたか。アッサムとカルマの方はもう戦闘が終わってるな。倒し終わったら他のプレイヤーの手助けに行ってやれって言ってあったから今は他のプレイヤーと一緒に戦ってるな。ゴブスケと黒風はまだ戦闘中か。でも、高い敏捷性で翻弄して安定してるな。あ!ジャイアントワイルドラビットと黒風の後ろ足での蹴りがぶつかった!流石に今の黒風では押し負けたか。すかさずゴブスケがナイスフォローしてるな。ゴブスケと黒風も任せてよ大丈夫そうか一応バフだけ掛けとくか。良し!俺は他の人達のフォローに行くか!」




