10話 連携
「アッサムは落し穴を掘って穴の下で待機。ゴブスケは俺がワイルドドッグを落し穴に誘導するからよく見て覚えるように」
アッサムが穴を掘り地面に潜っていき姿が見えなくなると、ハルトはワイルドドッグが落し穴に落ちる様に上手く誘導していく。ゴブスケはハルトの邪魔にならない様について行く。
ドゴン!という音と「ギャン!」という鳴き声とともにワイルドドッグが地面に沈んでいく。
地面からまるで生えているかの様なワイルドドッグの頭をハルトとゴブスケが、地面の中で身動きがとれない胴体部分をアッサムが攻撃しボコボコにするとあっという間にHPバーは砕け散った。
ハッハッハッ!やっぱこの戦法は楽チンだな!あっという間に倒せるし、無傷だしで言うこと無しだな!
そして同じ様に3匹のワイルドドッグを倒したところで、
「さっき俺がやったみたいに落し穴に誘導出来るか?」
そうゴブスケに尋ねてみると、任せろ!と言わんばかりに胸を叩いたので任せてみることにした。
「お、いたな。じゃあ俺はここで見てるから後は任せたぞ」
アッサムとゴブスケは頷き、アッサムは落し穴掘り穴の中に潜み、ゴブスケはワイルドドッグの注意を引こうとする。
一応失敗した時の為に魔法の準備をしておくか。まあ大丈夫だとは思うけど一応ね。
よし。いいぞ、いいぞ。そこで落し穴の方に誘い込んで‥‥あ!
落し穴の位置を間違えたのか、違う場所に誘導してしまい、なぜ落ちないのか分からずに焦っているところに体当たりを喰らっていた。
「ファイヤーショット‼︎」
ゴブスケを救うため魔法を放ちながら近づいていく。
「アッサム!地中からワイルドドッグの足止めだ!」
地中を移動し、ワイルドドッグの後脚を攻撃してその場に釘付けにしている間に立ち直ったゴブスケがワイルドドッグに剣撃を浴びせていく。
「ファイヤーボール!」
もう1発魔法を放ったところでHPバーが砕け散った。
『鑑定のレベルが上がりました』
『火魔法のレベルが上がりました』
『ゴブスケのレベルが上がりました。任意のステータスを1つ上げて下さい』
ゴブスケのレベルが上がったか。経験値が3等分された分ちょっとだけ上がり辛くなったかな。
ゴブスケのステータスはどうしようかな?アッサムが前衛で俺が後衛だからゴブスケには遊撃になってもらうかな。そうすると敏捷を上げといた方がいいな。
しかし、ヒヤヒヤしたな。一応失敗した時のための準備をしといて良かった。
失敗し、俯いているゴブスケを慰めながらサクッと解体ナイフを突き立て、アイテムを回収する。アッサムは俯いているゴブスケの肩を叩いて慰めていた。
「まあ見るのとやるのとでは違うんだからあまり失敗を引きずらないようにな。1回ぐらい失敗しても気にするな」
ゴブスケは顔を上げ、やる気に満ちた顔をしていた。
さて、夕飯までにはせめて半分の10匹は討伐しときたいな。今5匹討伐しているからあと5匹か、なんとか間に合うかな?
あと薬草もあと最低でも1つは採らないと納品が出来ないから、これも探さないとな。
それからハルト達は、採取ポイントを2つ見つけ薬草を11個見つけ、ワイルドドッグを6匹倒したのだった。
最初またもやゴブスケが失敗したが、あとは上手くやっていたので、あれ?これ俺いらなくね?と思ったのは内緒だ。
『杖技のレベルが上がりました』
『アッサムのレベルが上がりました。任意のステータスを1つ上げて下さい』
やっとアッサムのレベルも上がったか。ていうか俺のレベルはいつ上がるんだ?レベル5になってから結構モンスター狩ってるんだけどな。
まあいいや、アッサムのステータスは敏捷を上げとこう。
『ゴブスケのレベルが上がりました。任意のステータスを1つ上げて下さい』
お、ゴブスケも上がったな。ゴブスケは引き続き敏捷だな。
これでなんとか目標の10匹には到達したな。もうすぐ夕飯かな?今何時だ?
時計を確認すると、思ったより時間がたっていた。
やばいな、夕飯まであんまり時間が無いな。納品とかは後回しにして、先に夕飯を済ませないとな。
ハルトは急いで街まで戻り、広場に行って、アッサムとゴブスケを帰還させログアウトしたのだった。




