1話 プロローグ
くそ!次から次へといったい何処からこんなに湧いて来るんだよ!?
20匹以上のワイルドドッグに囲まれて、1人と1匹の魔物は必死に抵抗していた。
「とにかく1匹ずつでも始末して、この状況をなんとかするぞ!」
「キュー!」
そう指示を出した男は、魔法でワイルドドッグを攻撃し、指示を受けた魔物は包囲網を突破しようと必死になって攻撃していたが、徐々にダメージは蓄積していき、とうとう力尽き光となって消えてしまった……
そして時は少し遡る。
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俺の名前は春川冬馬。16歳の高校2年生だ。わりかし何処にでもいそうな男子高校生だ。部活は特に何もしていない。
今日は大手ゲーム企業が手掛けた最新VRMMO『Gloria Playing Online』通称GPOの配信開始日だ。
このゲームは、かなり自由度が高いらしく、海や山や森、勿論ダンジョンもあり様々な所に行くことが出来る。
それに加えて色んな生産職があり、農業なども出来ると言う。
そして未経験者大歓迎ということで、PKは出来ない様になっているらしい。
そして冒険者ギルドのクエストや様々な所で発生するNPCからのクエストも存在する。
普段はオンラインゲームなどしない冬馬なのだが、GPOのCMを1度見た時にとても興味を持ったのだった。
そして初回販売に応募したところ、競争率数百倍の中当選したのだった。
当選メールが届いた時は、思わずガッツポーズをとった程喜んだ。
GPO専用のヘッドギアとベットに取り付けるパーツが届いたので、ベットにパーツを組み立てる事にした。ちゃんと組み上がるか心配だったが無事に組み上がった。組み上がったのを見た時は、なんかサウナの機械みたいだなと思った。
そしていよいよ配信開始日がやって来た。今日は土曜日だからたっぷり出来る。時刻は午前4時、準備を整えてベットに横になり、ヘッドギアを装着し起動させる。
すると段々と意識が遠のいていった。
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気がつくとそこは何も無い真っ白な空間だった。
『身体スキャンを開始します……終了しました。続いて初期設定を開始します。名前を入力して下さい』
アナウンスと共に目の前にスクリーンが現れた。
「名前は名字と名前から取って『ハルト』にしよう」
『職業を選択して下さい』
職業か、前にオンラインゲームをやった時に、知らない人にめっちゃ怒られた事があるから、出来るだけ1人でも出来る職業が良いんだよなぁ。
だったらVRMMOなんか合わないんじゃ無いか?と思う人もいると思うが、冬馬はどうしてもこのゲームがやりたいと思ってしまったのだった。
1人でも出来るとなると、テイマーかサモナーかな。サモナーの方がモンスターの入れ替えが楽そうだし、サモナーにしとくか。
『職業にサモナーが選択されました。初期モンスターはランダムで選ばれます』
ランダムか、ドラゴンとか強くてカッコいいモンスターだったら良いな。
『髪型とヘアカラーを決めて下さい』
アナウンスが流れた後、横に自分とそっくりなアバターが現れた。身長は170センチで少し細身。髪型は前髪が目に少し掛かる長さだ。GPOでは現実とゲーム内の動作の感覚を出来るだけ同じにする為、アバターはあまり弄れないようになっている。
髪型は別にこのままでいいか。髪の色は黄色に変えて、前髪に赤と青のメッシュを1本ずつ入れとくか。うん、中々良い感じだな。これでオッケーっと。
『アバターと同期させます』
アバターが俺の身体に重なっていき、1つになった。
『同期が完了しました。動作チェックをするので少し身体を動かして下さい』
そう言われたので歩いたり、手を動かしたり、少し走ってもみた。
『動作チェック問題ありません。これで初期設定はすべて終了しました。始まりの街クルストに転送します』
アナウンスが終わると身体が光に包まれていき、視界が光に埋め尽くされるのだった。