新しいお店には気を付けてね!(後編)
その子はさっきの自信気な雰囲気とは違って少しの安堵とそれを埋めるかのように怒りがこちらにヒシヒシと伝わってきた。「オリジン....なんであなたなんかが....なんで.....あぁあ....aaaaah......」ここまでくるとその理由を掘り下げたいくらいの怒り、チケはなにかを察したようだけど奈美恵は見るからに今起きてること以外で怒っている。こちらからしたら意味が分からない、奇妙なラーメン、怒るかわいいたれ耳、そしてなにに怒っているかわからない奈美恵、なんだこの空間は...チケが私に脳内回線で教えてくれた。どうやらあの子は16体のうちの一体、あの抑止力の計画には上位に値するものが居、その順番は作られた順番になっている。そして奈美恵は最初に作られた初期中の初期、つまることろは奈美恵は14体の妹がいることになる。生き残った16体は上位が13、「プレミー」と呼ばれる亜種が3体の構成になっていた。
順位の変動はなく、あったとしても特殊なケースしかないようだった。そしてその上位のなかでもとびぬけた8体のスティロイドはキリスト教の聖書に載っている「原罪」のネームを付けられている。順位とは反対にこれの変動はちょこちょこあったそうだが、今目の前にいるこの子は元「自信」のネームを付けられた個体だったらしく、誰にとられたかわ知らぬものらしい。さっきからこの子は奈美恵のことを「オリジン」とよんではいるが、奈美恵についているネームとは違うらしい。そして今はっきりとしたことが1つ、奈美恵が怒っている理由だ。これは、箸が2本違う種類のものだったことについてだ。使っていた自分もわからないほど似ているデザインだが、この違いに奈美恵は怒っているのだろう。しょうもないとも思うけど、それに怒っているせいで今最もこの場を氷づかせている子の怒りに気づいていないようだ。
私はチケに奈美恵に今起こっていることを教えてあげてほしいと思いチケに話そうと口をあけたとき、話そうとしていたチケは私の目の前から消え、その子はチケをもって調理場の奥の部屋に行ってしまった。私は追いかける。調理場に人はなく、たぶんあの子が一人でやっていたのだろう...さすが抑止力....そして私が扉のノブに手をかけたあたりで私の脳内に叫び声が聞こえてきた。「助けてくれマスター!このままだと俺は俺ではなくなってしまう気がするってかこのままだと一線超える~!」その声を聴いた週間ちょっと見てみたいという愉悦の心が出てきたが助けるために扉をあける。そこにはたぶん人間のときのチケの写真なのだろう、壁にびっしりと貼ってある。どうやら人間のころのチケはずいぶんと痩せ細い男の人だったようだ、顔もなんだかやつれている。そんなことよりも今はチケの一線が優先だ!そこを向くとそこにはチケもモフモフしているあの子の姿があった。チケがそれに対して固まっている。しかもその肌にモフモフしている音がキュッキュとまるで洗い立ての皿を指で触るかのような音がする。結構自分のボディを手入れしてないらしい。
私はその子の趣味には一切触れず状況の説明とこっちの現状を彼女に話した。はじめは警戒されていたが私がチケと奈美恵のマスターだってことを話したあたりから気が緩んだらしく少しヘタァっとした。全身の緊張がほぐれたのだろう。私はこの店のこととなぜあれほど奈美恵に怒りを抱いたか説明してほしいと頼んだら意外とあっさり説明してくれた。
どうやら怒りの原因はチケを今の体にしたのは奈美恵が原因らしくそれに対して怒りを抱いていたらしい。肝心の名前は本人からは教えてもらえなかったけどチケと後から来た奈美恵があっさり教えてくれた。彼女の名前は「シューム」本来奈美恵も「ナミエ」とこんな感じなのだが漢字を使う機会が意外と多く「奈美恵」とこっちになったらしい。シュームとは一応契約したけど、この店のこともあってシュームとは基本別行動のようだ。ちなみにラーメンのことについては企業秘密とのこと、、、、怖い