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えっと……魔王軍幹部召喚?

 



 ドンっ。

「いった....」

 大きな鈍い音。熟睡していた脳を一瞬で覚醒させるくらいには強い衝撃が僕を襲う。


これまでの人生を振り返ってみると、神様という存在が居るならば、僕のことを親の敵みたいに憎んでいるに違いないと思う。


 今まで歩んで来た人生は、耳の無い猫型ロボットも真っ青になるレベルの不幸の連続だった。


 一歩家から出れば、降り掛かってくる数多の災難。

 いつの間にか必ず靴の中に居る虫。持っていた鞄のなかから消える財布。落ちてくる鉄骨に命の危機をおぼえたこともある。


 買ってもらったベッドは初日で足が折れ、夜中に頭から落ちた。

 メーカーに文句を言って取り替えてもらっても、同じことが起こるだけ。

 諦めて布団を敷いて寝るようになると、今度は全然違うところにおいてあったものがなぜか頭に落ちてくるようになる。しかも馬鹿みたいに朝早くだ。



 普段は机の上にあるセロハンテープを横目に見ながら、僕は自己嫌悪に陥る。

 高校入学初日の自己紹介の時には、突然からすが教室に入って来て僕に()をつけてくれた。

 初日にして伝説を作った僕は、当然のように不名誉なあだ名を手に入れた。


「まだ五時にもなってないし、もう一眠りするか」


 もはや習慣になっている二度寝。あまり意味の無い二度寝だけど。

 実は僕はもう長いこと学校に行ってない。というか、家から出てない。


 難易度ルナティックなこの人生で、学生というジョブはあまりにもマゾルートだ。

 早々にこの人生に見切りをつけた僕は、自宅警備員にジョブチェンジし、マイホームという最高の城を守っている。

 布団を頭にかぶせ、覚醒している脳を強制的に眠らせようと、僕は目を閉じた。






……おはようございます。


目が覚めた。普通に目が覚めた。

「え!?」

つい声を挙げてしまう。だって普通に目が覚めたんだから。


僕はあの日以来、自然に目が覚める日は無かった。たとえ二度寝でも、毎回律儀に衝撃的な起こし方をしてくる神様が居たからだ。


だから僕にとって、普通に目が覚めたというのは大きな意味がある。

もしかしたら、


ついに僕はーー


 ドンっ!!


なんだ!?

 本日二回目の衝撃が腰に走る。いつもより三倍は痛かったぞ。いったい何が落ちて来たんだ。

いや……腰?

日頃の習慣でモノが落ちてきたとおもったけど、腰が痛いということはものが落ちてきたんじゃなくて……僕が落ちた?


しかしそれはそれで意味がわからない。

なぜなら僕はベッドを使えないので(よく分からないうちにベッドの足が折れるから)布団で寝ている。それなのに、落ちる?

 戸惑いながら目を開けると、


「ぁ……」


 そこには、圧倒的な存在感を放つ少女がいた。

 黒を基調にした服に身を包み、悠然とした表情には品格を感じさせる。

 小さな身体から伸びる肢体は繊細で、折れてしまいそうな程細い。

 新雪のような真っ白な肌と、腰まで伸びる美しい銀髪が幻想的なその姿を作り上げている。

 少女はその深みのある蒼眼で僕を見据え、口を開いた。


「魔王城へようこそ。我らが魔王軍一同、君を歓迎しよう」

 

その時、僕は初めて周りに目を向けることが出来た。

いや、目を向けてしまったと言うべきかもしれない。


なぜなら、僕の周りにいたのはおよそ人間とは思えない、まるでゲームの中の敵キャラのような化け物ばかりだったからだ。


 自分より一回りも二回りも大きい筋骨隆々の三つ目の男。

 豪華な装飾品が施されたマントを羽織る骸骨。

 黒と白の対照的な双翼を持つフードをかぶったなにか。

 ぷるぷると揺れ動く、流線型のラインにふちどられたアレにしか見えない青いやつ。以下略。


そんなやつらが、僕のことを恐ろしい眼差しで見つめている。

 どうやら僕の不幸体質は、どうしても僕の人生をハードモードにしたいらしい。


 「なんじゃこりゃあぁぁぁ!!!!」


 

 それが僕、波戸静の新しい人生の始まりだった。

 


 



 

 

 


















この作品は、私の処女作となります。

筆者は、読者様の乾燥がもらえるとものすごく喜びます。

よろしくお願いしますm(_ _)m

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