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第5話 悪役令嬢、ヒロインに泣きつかれる


「ナ、ナタリア様あっ!」


 毎日おしゃべりする仲になったというのに、セーラはナタリアのことを敬称で呼ぶ。

 身に染みついた庶民感覚ゆえか、人がいないと分かっていても呼び捨てにするのはどうも落ち着かないらしい。


 ちなみに、ナタリアの方は遠慮なくセーラと呼んでいる。



 放課後の談話室に入るなり、セーラはナタリアに詰め寄った。


「どうしてあの王子を攻略しておいてくれなかったんですか!?」

「どうしてって言われても好みじゃないし」


 彼女が言う「あの王子」。この国の第1王子のことは小さい頃から知っている。彼との関係は幼馴染……いや悪友といったところだ。ドキドキしたことと言えば──王妃様への悪戯を一緒に仕掛けたときだろうか?王妃様お気に入りのドレスに、ひとりでに鬼ごっこを始める魔法をかけたとき。さすがのナタリアも動悸が激しくなった。逆らってはいけない人がいると知ったのは、あのときが人生で初めてだった。


「そこは普通!前世の記憶を生かして、とりあえず全員攻略しておくところじゃないですか!幼馴染なんて王道中の王道ですよね。本当は憎からず思ってるとかそういうオチですよね?」


 このヒロイン、必死である。


 半月ほど前だったか。

 廊下の角でぶつかったとか何とかで、セーラはあの王子に目をつけられたらしい。


 合同授業、休み時間、放課後。

 クラスも学年も違うのに隙あらばいつのまにか隣にいて、いろいろちょっかいをかけてくるという。

 ヒロインは追いかけられて満身創痍。あの王子にかかれば、さもありなん。


 憎からず……ねえ。そして残念ながら、ナタリアが王子をそんなふうに思ったこともない。よく蛇やカエルが出てくる黒魔法を婚約者セドリックにけしかけて遊んだ仲ではあるが。



「いいじゃない、玉の輿よ?」

「ストレスで胃に穴が開きそうな王妃生活なんて嫌ですうううっ!」




 ノーランディア国第1王子エドウィン、城でのあだ名は大魔王。



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