after glow
夕焼けに染まり始める町の中
人気のない丘の上の広場にあるベンチから見る街並みが僕の唯一の癒し
そこに今日は先客がいたのだ
見惚れていた。目を逸らせないでいた。
オレンジに染まる風が艶のある黒髪をなびかせるのを
目を逸らしたら消えてしまいそうなほど儚げな雰囲気を醸し出していた
その人影は僕に気付いたようだ
一瞬、驚いた顔を見せてすぐに優しく微笑んでくれた
「こんにちは、もしよければ話し相手になってくれませんか?」
そう彼女が聞いてきた
僕は緊張のあまり声が出せなかったので小さく首を縦に2度振った
「そう良かった」
そう言うと彼女は今座っている場所から少し左に寄り、右手で空いてる方へ僕を手招きする
約15センチだ、15センチ開けて僕は彼女の右隣りへ座る
僕が座ったのを確認すると彼女はこちらを見てこう切り出す
「あなたもひとりなの?」
正直、今会った人にこの様な事を聞くのは失礼どと僕は思ったが何も言わずに頷く
「そう」
と、言うとまた正面を向いた
沈黙が続く
「私もひとりなの。だから来世で会えたら友達になってくれませんか?」
彼女は正面を向いたままだ
僕等は今世を生きているなのに彼女は来世で会いましょうと言うのだ。
そして友人になろうと。
僕は頷いた
「ありがとう」
と言うと彼女は立ち上がり、さよなら。と小さく呟き立ち去る。
彼女の体温がまだ左隣から伝わっている
夕日が沈む頃にはすっかり冷え切っていた
僕は帰路に着く
いつも通りご飯を食べ風呂に入り、眠りにつく。眠る前にふと、彼女のことを思い出しだが睡魔にすぐに意識を奪われ眠る
翌朝起きるとニュースに昨日の彼女が出ていた。自殺したそうだ。遺書には『来世で会いましょう。』と書いてあったらしい。