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転生鳥人の異世界浪漫飛行  作者: 森もりおん
8/10

第8話 訓練

街に戻ると真っ直ぐに冒険者ギルドに向かって取り合えず依頼の達成報告をする。ゴブリンの討伐は1匹単位で報酬が貰えるので今回のように1匹だけでも問題はない。

 

「すいません、初心者講習を受けたいのですが次の日程はいつでしょうか?」


「えっと、2日後ですね。あ、すいません!そういえばグレンさんが登録した時に説明してませんでしたね、本当にすいません!今日は大丈夫でしたか?」


「えぇ、何とか1匹は倒せたんですが思ったよりも大変だったのできちんと講習を受けようと思いまして」


「そうだったんですね、ご無事で良かったです。それでは2日後の朝8時にギルドにお越し頂けますか?今回は本当にすいませんでした」


 一般常識として初心者講習がある事は知っていたが受けなくても大丈夫だと思って俺も黙っていたのでこんなに一生懸命に謝られると逆に申し訳ない。まぁ、講習を受けてない初心者がいきなり死にましたってなれば色々不味いのは分かるんだけどね。


「大丈夫ですよ。それと訓練所の方は使ってもいいですか?確か監督官の方がいらっしゃるんですよね?」


「はい。ギルドの訓練所は元冒険者の職員が常駐しています。聞きたい事があれば直接聞いてみてください」


 実はこのギルドの裏には広いグラウンド状の訓練所があり、自主鍛錬したり、監督官からアドバイスを受ける事が出来るのだ。これも冒険者のスキルを上げて長生きさせる為のギルドの役割の一つである。


「ありがとうございます。行って見ます」


 取り合えずトイレの個室に入って誰にも見られないようにクラスチェンジする。メインクラスは義賊に、サブは戦士にしておく勿論装備は片手剣だ。義賊は忍者の次に力を入れて居たので装備も充実しているしスキルの扱いにもなれている、それに義賊も『気配察知』『隠密』『レーダー』があるので便利なのだ。逆にメインクラスを戦士にしないのはその3つの便利スキルが付いていないからだ、戦士は完全に戦闘向けのクラスなのでスキルの殆どが攻撃スキルと自己強化スキルに偏っている。


 訓練所では数人の冒険者が訓練を行っていた。今回は基本的な剣の扱い方を監督官から教えて貰おうと思っている、特に剣の型を重点的にね。流石に走り込みとかの基礎訓練はステータスでカバー出来るので必要ないだろう、それに腕立てとかランニングとかの運動って嫌いなんだよね。


「すいません、ギルドの監督官の方ですよね?良かったら片手剣の指導をお願いしたいのですが」


「うむ、俺が監督官のハンマーだ。坊主は初心者講習は受けてないのか?そこで基本的な型は習うはずなんだが・・・」


「はい、今日予約したばかりでして受けていません。少しでも早く強く成りたくてこちらに来たのですが、ダメでしょうか」


「いや、ダメじゃないが。まぁ、いいか。じゃあ基本の柔軟から走り込み、それから振り込みを教えてやろう」


 う、やっぱり走り込みさせられるのか。面倒だなぁ・・・しょうがないから走るか、兎に角剣の使い方を教えて貰わないとどうにもならないし。

 

 と、いう事で柔軟をして30分くらい走っていたら監督官からのOkサインが出た。汗一つかかず一定のペースで走り続けたので基礎体力は十分らしい。


「よし、じゃあ基本的な片手剣の扱い方を教えるぞ。まずは俺の動きを見ておけ、それから実際に振ってもらう」


 斬り下ろし、斬り上げ、水平斬り、斬り返し、突き等の基本的な振り方、それから動きを付けて剣を振る、一通りの動きを見て覚える。


「いいか、実際は剣なんて相手を切れりゃなんでもいい。実戦では相手を倒せば勝ちだからな、だから冒険者はひたすら剣を振って身体に叩き込め。綺麗な型なんてのは貴族の坊ちゃんにでもやらせとけ。よし、振って見ろ」


 至極尤もである。人間よりも圧倒的に優れた身体能力を持つモンスターを相手にするのであれば型を気にするよりも如何にして倒すかを考える方が重要だろ。そして切り殺せば勝ち、殺せなければ殺されて終わってしまうのだ。

 野球部員だって毎日素振りして打撃力を上げようと努力する、冒険者なら毎日剣を振って生存率を上げる為に努力するべきなのだろう。


 そして俺の剣の振り方を見て監督官はこう言い放った「全然駄目だな、取り合えずまともに振れるようになるまでひたすら素振りしろ」と。

 しょうがないので夜遅くまで訓練所の端っこでひたすらに剣を振り続けた。最初はへろへろだった剣筋も暗くなる頃にはまともに触れるようになり、最終的には監督官並に剣を振れるようになった。これは多分、高いステータスによって身体が最適な剣の振り方を覚え、どんどん熟練値的なやつが上がったんだろう。実際に数値上では片手剣スキルはカンストしている、なので動き方さえ理解出来れば後はそこに追い付いて行くんだと思う。


「ふぅ、こんな感じでいいだろう」


「いやいや、お前何者だよ・・・、ちょいちょい見てたが尋常じゃないスピードで剣振ってたぞ」


「監督官殿の指導の賜物であります、はははは・・・」


「いや、まぁいいけどよぉ・・・そんだけ振れりゃあ一人前だぜ、訓練お疲れさん」


 まぁ、誤魔化せてないと思うけど深く追求されなかったし良しとしよう。後は同じように片手刀や他の武器でも素振りをして動きを覚えれば取り合えず技術はスキルに追い付いてくれそうだな。実際にはその武器さえ持った事ないのにスキルはカンストとか有り得ないけど、その辺は神様のお陰って事で感謝しよう。有難う御座います女神様。


「後は実際の戦闘でひたすら慣らすか、取り合えずこれで戦闘面の不安が一つ解決したな」


 初心者講習の目的が半分以上達成してしまったな、まさかこんなに早く剣を使えるようになるなんて予想外だったぞ。取り合えず初心者講習は色々教えて貰えるからタメになるし、今度は短剣の扱い方でも教えて貰うか。


 遅くなったが適当に近くの食堂に入り夕食を食べて宿に帰って身体を拭いて寝た。


「ふぁ~さてと、今日はどうするかなぁ」


 8時過ぎに目が覚めて宿で朝食を食べながら今日の予定を考える。取り合えず片手刀の練習はするとして、後は適当にある材料で装備でも作ってみるかな。


「やっぱり、見た目だけでもちゃんとした防具にした方がいいよな。この初期装備防御力低そうに見えるもんなぁ、背中に切れ目入ってるし」


 一応今日まではその場しのぎでゲーム時代の初期装備を装備していたが、なんせこの服は鳥人族用に作られている。なので背中に羽根用のスリットが入っていて、注意深くみられると違和感を感じるだろう。それに上は半袖で木綿っぽい茶色い布に弓道の胸当てっぽいのが付いているだけだし、ズボンなんて何の変哲もない木綿っぽい長ズボン、靴はハーフカットのブーツであまりにもラフすぎるのだ。

 これまで見た冒険者も同じような格好の奴は居たが、殆どはレザーアーマ以上の装備だった、なので今回は俺もレザーアーマを一式作る予定だ。勿論見た目は一般的だが素材はアナ5のやばいヤツを使う。この世界に鑑定スキルが無いと思われていて本当に良かったと思う、実際にはスキルはあるので熟練の商人何かは何となく物の価値とかは分かるらしいがそれも目利きが利く商人という評価しかされない。


「んじゃ、軽くやっちゃいますか『ボアレザーアーマ』作成」


 まずはメインクラスを革細工師にチェンジして『ボアレザーアーマ』の作成を実行する。片手刀の時と同じようにキィン!と鳴って目の前にボアレザーアーマが出て来た。


▼ボアレザーアーマ 希少級

 希少なグレートボアの革で作られた鎧。非常に上質な仕上がりで金属鎧並みの防御力を発揮する。


 これはアナ5で言うとLv100くらいで装備するような鎧だ。しかし性能の割りに茶色で薄汚れて見える見た目が地味である為、人気は全くと言っていい程無かった。これならばちょっと変な鎧を着てる初心者という感じに見えるだろう、多分。

 ついでに同じように一式作っていく。


▼ボアレザーグローブ 希少級

 希少なグレートボアの革で作られた手甲。非常に上質な仕上がりで金属鎧並みの防御力を発揮する。


▼ボアレザーホーズ 希少級

 希少なグレートボアの革で作られた下衣。非常に上質な仕上がりで金属鎧並みの防御力を発揮する。


▼ボアレザーハイブーツ 希少級

 希少なグレートボアの革で作られた靴。非常に上質な仕上がりで金属鎧並みの防御力を発揮する。


 取り合えずこんな感じでいいだろう。ズボンだけは黒っぽい仕上がりになっており、色合いは地味だが個人的には落ち着いた雰囲気で結構気に入ってる。ちなみにファッションセンスは皆無だ。

 アーマの方は肩当が付いており、見た目の防御力もありそうに見える。ブーツは今回ハイブーツにして膝までカバー出来るようにした、本当なら脱いだり履いたりするのが面倒なので遠慮しているが俺は思考だけで早着替えが出来るので手間いらずだ。


「よし、これで片手剣を腰に刺してっと。おお!どこからどう見ても普通の冒険者だ!」


 自分の姿を見て謎に感動してしまったが、すぐ現実に戻り顔を赤くして街の外へと向かう。やっぱり新品は気分が違うね。

 そして人目がない所まで来たら片手刀に装備を変更し、ひたすら素振りする。ある程度しっかり振れるようになったらゲームの時のスキルを思い出しながら動きを付けて振る、更に動きながら振れるようになったらスキルも発動させながら振りまくる。

 特に難しかったのは忍者とモンクだけが使える『縮地』というスキルだ。これはスキルレベルに応じて任意の距離を一瞬で移動するスキルで基本的に直線にしか動けない、まず3m程で試してみたのだが身体が前にグン!と引っ張られるような感覚が来たと思ったら移動が終わっていた。体感的には1秒掛かっていないだろう、縮地と意識した次の瞬間には重力を感じ、猛スピードで景色が流れ意識した3m先に立っていた。


「こりゃ、難しいな・・・」


 今のスキルレベルカンストで30mの距離ならば一瞬で移動出来る、リキャストタイムがあるので連続では使えないがゲームの中では非常に便利で強力なスキルだった。しかし現実に体験すると、そのイメージとは違いかなり扱いが難しい。まず意識した次の瞬間にはもう動いてしまっている、なので下手に意識してしまうとあらぬ方向へ飛んでしまうのだ。戦闘中にこのスキルを使いながら敵に攻撃するとなると思考する時間や量を考えるとかなりの慣れが必要になりそうだ、自主錬の後半は的を立てて殆どをこのスキルの練習に充てたがそれでも半分くらいしか的に当てられなかった。


「しょうがない、地道に練習しよう。この分じゃ楽観ししてた他のスキルも意外と扱いづらいかもしれないな」


 最初の頃は自己強化を中心に動く必要のないスキルしか確認しなったので気が付くのが今になってしまった。それでも実際に戦闘中に始めて使うような羽目にならなくて本当に良かったと思う。いくらステータスが高く、不死に近くてもやっぱり怖いものは怖いのだ。


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