第1話 あれ?しぬ?
勢いで書きました。多大なテンプレ要素を含む素人の作品です、それでも良ければご覧下さい。
普段と変わらない日常。朝起きて顔を洗ってメシを食って着替えて中古の軽自動車で職場へ向う。職場に着いたらいつも通り他の社員に挨拶をし机に座り昼休みまでダラダラと仕事をこなす、昼休みには全国チェーンの牛丼屋で昼メシを食う。後は就業時刻までひたすら忍耐である。
「お疲れ様でしたー、お先失礼します」
基本的に残業はしないスタイル。会社の上司にはそろそろ昇進の為に勉強しないかと勧められているが、のらりくらりとかわし続けている。帰宅途中にスーパーによって夕飯のおかずを買う、勿論出来るだけ割引された惣菜を狙うのは忘れていない。今日は好物のチキン南蛮が3割引きで買えたのでなんとなく気分が上がる、家に着いたらシャワーを浴びて夕飯を食べる。
「さーて、今日は何しようかな。取り合えず畑の世話してからログインしてるフレに話し掛けてみるか」
俺の日課であり、唯一の趣味にして生き甲斐であるMMORPG「アナザーワールド5」にログインした。
さて、此処で軽く自己紹介をしておこう、俺は山本一平。30歳独身、彼女はいない。前述の通り俺の唯一の趣味であり生き甲斐なのが「アナザーワールド5」だ、このゲームは俺が高校3年生の頃から10年以上続けている老舗の国産MMORPGで最盛期には400万人がプレイしていた大ヒット作だ。青春時代の殆どをこのゲームに捧げて来た、勿論後悔なんてないし余程の事がない限り毎日ログインしている。
ここで勘違いがないようにはっきりさせておくが俺は童貞じゃない、勿論素人童貞とかいうオチもない。20歳の頃、同じゲームで知り合った女性と5年程お付き合いし、同棲もしていた。ではなぜ今結婚していないかというと、彼女はある程度の時期にゲームから離れ働き始めた、俺も同じ時期に今の会社に就職して働き始めたのだがゲームは続けていた。その頃から何となく彼女とすれ違い気味になり別れたという訳だ。
ちなみに、このゲームには課金要素はあるが基本的にファッションアイテムや、アイテムボックスの拡張くらいしかないのでどこかのゲームのように経験値倍化アイテムやステータスのドーピングアイテムは売ってない。アイテムボックスの課金はしているが、それでも基本料金含めて月額2,000円程で非常にリーズナブルに遊べるのだ。
「お、グレートアップルは今日収穫だったっけ。後でアップルジュース作らないとな。他のも順調っと」
畑に水やりをしながら作物の状態をチェックしていく、同時にフレンドからのメッセージにも目を通したらフレンド欄を開きみんなのログイン状況を確認する、ここまでは毎日のルーティーンとなっている。
「あれ、剛力丸さんがめちゃくちゃ久しぶりにログインしてるじゃん!こりゃ今日の予定は決まりかな」
今日はチキン南蛮も買えたし、懐かしのフレンドもログインしてるしいい事ばっかりだな。早速メッセージ送って、この後レベル上げでも誘ってみよう。
『紅蓮さん、久しぶりですね!仕事場が変わって時間に余裕出来たので復帰しようかと思ってます。紅蓮さんはもうキャップ行ってますよね?良かったら最近の事とか教えて貰えませんか?』
早速剛力丸さんから返信が来た、キャップというのはレベルの上限の事で今はLv255がキャップとなっている。彼が居た頃は確かLv200だったはずなので、少し間が空いている事が分かる。
ちなみに紅蓮というのは俺のキャラクターネームである。ついでなので俺のキャラクターも紹介しておこう、俺の努力の結晶であり自分の全てと言っても過言ではない。まぁ、理解してくれとは言わないが、こういう人間もいるという事だけは知っていて欲しい。
名前 :紅蓮
種族 :鳥人族(不死鳥)
クラス:メイン/サブ 忍者Lv255/義賊Lv122
忍者Lv255 義賊Lv255 狩人Lv255 軽戦士Lv255 白魔導士Lv255 黒魔導士Lv255
鍛冶師Lv255 裁縫師Lv255 革細工師Lv255 木工師Lv255 彫金師Lv255
錬金術師Lv255 調理師Lv255 etc...
ステータス
STR:420
VIT:255
DEX:554
AGI:595
INT:392
MND:315
装備
右手:忍神黒刀
左手:忍神白刀
頭 :影嵐鉢金
胴 :影嵐闘着
脚 :影嵐袴
足 :影嵐足甲
装飾品
耳 :遠耳の耳飾り
指1:祝福の指輪
指2:シノビリング
背 :極炎鳥の羽根飾り
所持金:650,405,331G
取り合えずステータス画面を載せるとこんな感じになる。種族は不死鳥の鳥人族で、これは頑張って存在進化させた種族で最初は普通の鳥人族だった。
存在進化っていうのはそれぞれの種族毎に試練があり、それをクリアしていく事で段階的に種族を進化させてステータスの底上げや種族特性なんかを手に入れる事が出来るシステムだ。多分、ゲーム内で同じ種族は片手の指で足りるんじゃないだろうか。少ないのにも理由があって、試練自体が難しいのは勿論だけど沢山の種族があって、進化先も無数にあるのでプレイヤーそれぞれが自分の好きな種族に進化するからだ。
ちなみに不死鳥の鳥人族の見た目というか、俺のキャラクターの見た目は髪は赤毛でてっぺんにぴょこんとアホ毛が跳ねてる、肌の色は普通に肌色。羽根は背中から生えてて真っ赤、ただ、出し入れというか何と言うか羽根を仕舞うと普通の人族に見えるようになってる。
身長は155cm程、これは種族特性で鳥人自体が小柄だから。顔は決まったパターンからしか選べないので普通にイケてる、まぁ身長のせいもあってショタっぽいかもしれない。
クラスはメインとサブを設定出来るようになってて、サブはメインレベルの半分に制限されて、スキルも制限レベルまでのだったら使えるようになってる。下に書いてあるのは設定してないクラスのLvで自分の家や宿屋なんかのセーフティーポイントでいつでも自由に変えられるようになってる。
ちなみに俺のメインクラスは基本的に忍者、サブは義賊が多い。種族特性でAGIとDEXが高く、忍者も義賊AGIとDEXに関係するスキルが多いので種族特性と相性がいいクラスになってる。それにやっぱり二刀流ってかっこいいし、忍術だってバリバリ使えちゃうんだぜ。それに義賊って名前の響きもかっこいいし、ダンジョンなんかで有用なスキルを覚えるからサブに設定しておけば凄い便利なんだよね。
後は、ステータスは見たまま、簡単に言うとSTRは筋力、VITは防御力、DEXは器用さ、AGIはスピード、INTは知力とか魔法攻撃力、MNDは精神力とか治癒力っていう感じで理解して貰えればいいと思う。
装備はそれぞれステータスアップやスキル効果アップ、特殊効果が付いた物がある。一応今装備してるのが現状の俺の最終装備になってる。ちなみに忍神黒刀は「シノビガミノコクトウ」と読むらしい、決して「にんじんとう」と呼ぶんじゃないぞ、ネット掲示板じゃそうやってみんな馬鹿にするけどめちゃくちゃ強い忍者専用の短刀なんだからな。
「えっと、取り合えずネット通話繋いで貰った方が速いかなっと『了解です。久しぶりにネット通話しながらどうですか?取り合えず3分後にこっちから掛けますので、よろしくです。』これでいいな、楽しみだなーこっちだって色々聞きたい事あるからなー彼女の事とかね、くっくっく」
取り合えずまだ1分くらいしか経ってないけど掛けてみるか、これくらいのイタズラは彼なら笑って許してくれるだろう。とパソコンを操作していると急激な頭痛が襲って来た。
「な、なんだこれ頭が・・・頭が割れる・・・くっ」
尋常ではない痛みが襲って来る。自慢ではないがまだ30歳と若さにかまけて不摂生はしてきた、しかし最近の健康診断でも異常はなかったはずだ、まったく意味が分からない。
「やばい、これ・・し・・・」
そこで俺の人生は簡単に、実にあっけなく幕を閉じたのだった。
お読み頂きありがとうございました。
感想には一通り目を通させて頂きますが、豆腐メンタルなので全てに返信は出来ないかもしれません。