006
やっと書けました……。
遅くなって申し訳ありません。
感想の返信は出来ていませんが、ちゃんと見てます。
色々指摘されたりしたところなどは、後々修正しますので。
それと魔物の素材の買い取りについては変更しました。
まだ難しい面についてはもう少し勉強してから挑んでみることにします。
商売とかそういうのって難しい……。
◆◇◆◇
時刻は午後9時。
食事を取った後、お風呂に入ってさっぱりした後にまたログインしました。
それにしても森ではひどい目に遭いました。
今回は別の所にも行ってみようと思います。
今までは西に行っていたので、次は東の方に行ってみようと思います。
その前に森で手に入れた素材をムツキさんに売りに行こうとしましたが、どうやらログインしていないようだったので、また明日にすることにします。あ、なんでそんなことがわかるのかと言いますと、『フレンドリスト』と言うものがあって、それにはフレンドが今ログインしているのかしていないのかがわかるようになっています。
これはナギに教えて貰いました。
ムツキさんの店に行く必要も無くなったので、早速東の門まで行きます。
東の方にはどんな魔物がいるのでしょう。楽しめる相手だと嬉しいのですが。
大した相手じゃなかったら、スキルの実験台になってもらいましょう。
スキルについての説明が少ないのは困りますね。実践で試さないとわからないので。
私はフィールドに出る前に白天を召喚してから、東の門を出ました。
◆◇◆◇
東の門を出た先は、森が広がっていました。
ただ、西の草原の先にある森の様に明るい様子ではなく、木々が所狭しを生い茂っているので暗い印象を受けます。
これは【夜目】のスキルのレベルが上がりそうです。
しかし、ちょっとスキルを試すのには適してなさそうです。
森は木が邪魔になりそうですし、またも火魔法のレベルが使えません。試してみてもいいのですが、もし燃え移ったら他のプレイヤーさん達の迷惑になってしまいます。
ナギ達に聞けばいいじゃないか?とは思いますが、そこはその……なにからなにまで頼ってしまうのはどうかな~という思いがあって……。
いや、なに初心者が生意気言ってんだとは思いますけど、この程度は自分で解決したい!という気持ちが出たんです。
どうしても無理だった場合は頼りますけど。
それはともかく、ちょっとどうしようか悩みますね。
北や南に行ってもいいのですが、なんか負けた気がして嫌です。
……まあ、火魔法もそのうち使う時があるでしょう!
というわけで森に行きます。
新しく得た【軽業】や【危険察知】も森の中なら使う機会が多そうですから。
◆◇◆◇
森の中は予想通り灯りが無いと、まともに行動できないくらいでした。
【夜目】のスキルを持っている私には関係ありませんが、もしかしたら私と同じ【夜目】のスキルを持っている人がここの攻略を進めているのかもしれません。
そうなると獣人の人が多くなるのかな?
もしかしたら私と同じ《レア種族》の人もいるかもしれないですね。
《【夜目】のレベルが上がりました》
どうやら【夜目】のレベルが上がったようです。
レベルが上がったお陰で視界がよりクリアに見えるようになりました。
そういえばスキルによってレベルアップの恩恵が違う気がします。
【夜目】の場合はレベルが上がる毎に少しずつ効果が上がっていきます。その分成長が他のスキルより遅い気がします。
魔法系スキルは一定レベルまで上がらないと、新しい魔法は覚えないし威力も魔法のみの威力は上がりません。その代わり成長が幾らか早い気がします。
大体分類としてはこの二つに別れると思います。
どちらがいいとかはありませんが、自分の成長は把握しておいた方がいいでしょう。
とここまで普通に歩いてきましたが、何も見つかりませんね。
魔物も見当たりませんし、本当に木しかありません。
少し戸惑いながら進んでいると、急に視界が開けて私の目の前に高層ビルくらいあるんじゃないかと思うほどの大樹が現れました。
私がその大樹を見て少し感動しながら近寄り、大樹との距離が10メートルくらいまで近づくと、急に大樹を中心に高さ6メートルくらいはありそうな壁が現れました。
そう、まるで私を逃がさないように。
そして大樹と私の間には、巨大な二足歩行の狼が現れていました。
「これは……ちょっとまずいかしら……?」
はっきり言います。
こいつはちょっとやばいです。
名前は《コボルト・キング》というらしく、名前の通りコボルトと言う魔物の王なんでしょう。
でもそんなことは今はどうでもいいこと。
大事なのは今こいつが放ってくる威圧感。これが尋常じゃない。
ちょっと目を離した瞬間に死ぬ。そんな雰囲気を出しています。
本来なら引き返すべきなのでしょう。実際これはナギ達に聞いていた《レイドボス》というものかもしれません。実際こいつを倒すにはプレイヤーが何人も必要かも知れない。
でも今……私の心は歓喜しています。
そうこいつよ。こういう奴を待っていたのよ!
自分の全力を出しても勝てない可能性が高い相手。
しかもゲームの中だから死ぬ気で戦うことが出来る。
ああ、父さんと母さん。今私はとても感謝しているよ。
これなら私の退屈は無くなりそうです。
私はまず白天を呼び出しました。流石に一対一でとは言ってられない。
コボルト・キングはその隙に私との距離を詰めてきました。
っ!?速いっ!!
今まで相対してきた魔物の中で最速でしょう。
しかし、コボルト・キングが距離を詰め終わるよりも先に、私は白天を召喚し終え、刀に手を添えて待っていました。
そしてコボルト・キングの爪が私を捕える瞬間、私は刀スキルを発動しました。
「【居合】っ!」
武器スキルにはそれぞれ様々な《アーツ》と呼ばれる技があります。《アーツ》は普通に武器で攻撃するよりもダメージがあります。
【居合】もその一つです。《アーツ》は決められた形とアーツの名前を言うことで発動します。
でも、私は今まで《アーツ》を使うことをしませんでした。
理由は動きが雑だからです。この【居合】も少し雑で無駄があり、私は好きになれなかったのです。
しかし私は《アーツ》を上手く使う方法を思いついたのです。
きっかけは《回避》スキルがレベル5になったときです。
その時に【瞬歩】というアーツを取得したのです。【瞬歩】の効果は数歩(使用者の技量による)だけ高速で移動できるというもの。
これに私は目を付けました。まあ、それを今から実際に試してみます。
なんで事前に試さなかったかって?簡単な話です。
私が試すのをしなかったからです。
はい、反省しております。いや、実際は今回試せたらいいなと思っていたのですが、ちょっと予想外の事態になってしまったのです。
でもこいつを倒すにはアーツの攻撃力が無いと対抗できないでしょう。
なので、ぶっつけ本番ですがやってみることにしたのです。
私が放った【居合】はそのままコボルト・キングの爪を弾き、また私の刀も弾かれました。
でもそれは想定内。そしてここからが本番。
【居合】が弾かれた瞬間、すぐに【瞬歩】を使用する。【瞬歩】の利点は既定の形がない点です。
【瞬歩】で私はコボルト・キングの側面に移動し、移動に使ったわずかな時間で刀をもう一つの《アーツ》である【飛翔】の構えに持っていき、発動。
よしっ!出来た!
アーツ【飛翔】の形通り衝撃波を伴った切り上げが発動できました。
コボルト・キングが【飛翔】による衝撃波でよろめいている間に、一旦距離を置きます。
「ふう……。なんとか成功できたけど、あれでもダメージはほんの少し……か。ふふふ……これは楽しめそうね。」
私が一息ついている間にコボルト・キングは体勢を整えたようです。
こちらを見る表情は憤怒で染まっています。
どうやらさっきの一撃は相当頭に来たようですね。
「さあ。第二ラウンドを始めましょうっ!」