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投稿が遅くなったのに文字数が少なく、申し訳ないです。
感想に関しては、一応見させてもらっています。ただ、ゆっくり返信できる時間が現在とれていない状態です。適当に返信するのも失礼だと考えたので、ちゃんと時間が取れた時に一斉に返信します。
多分……。
◆◇◆◇
私は気が付いたら、綺麗な噴水が見える丸い形をした広場に立っていました。
いつ仮想世界にログインしたのか気づかないほどの違和感の無さは、凄いと思います。
私の周りにも今ログインしたと思われる人たちが、先ほどの私の様に噴水を見て呆然としています。
水の流れ方もとても自然に見えて、現実世界と錯覚してしまいそうです。
確か凪斗達が探してくれる約束なので、私はそれまで色々試しておきましょう。
まずは、自分の所持品。まあログインしたばかりなので、案の定アイテムボックスには何もありませんでしたけどね。
アイテムボックスとはその名の通り、ゲーム内アイテムを自由に出し入れ出来るものです。倒した魔物から入手したアイテムは自動でこのアイテムボックスに入ります。
次に現在の所持金。これは開始時にランダムで決まる様で、運が良いと3000ユニ(ユニとはこのゲームのお金の単位)で、運が悪いと1000ユニほどだそうで、私はと言いますと……何と!
500ユニでした……。これで何が買えるのかわかりませんが、物の物価が低いことを願いましょう。
それにしてもこれはレア種族を引いた分引かれたのでしょうか。別にレア種族と言っても、ステータスが特に凄い訳でも、スキルがとても強力と言うわけでも無いのですがね。それぞれの種族毎に特徴がありますし、特にこの種族が凄い!と言うのはありません。ゲームなので多少の差が出てしまうこともあるとは思いますが、それも問題が出るほどなら修正されるでしょうし。なのでレア種族と言うのは、珍しさや面白い特徴を出すものだと言われています。
なので、本気でこのゲームを攻略しようとしている人達がランダムを選ぶのは少なかったりするみたいです。
通常種族(設定する時に自分で決められる種族のこと)の場合既にどの様な風に育つのかがわかっているのが多いので、わざわざどの様に成長していく種族なのかわからない種族になる可能性があるランダムを選ぶより、既に判明している方を選んだ方が安定して育成できると言うことです。
なのでランダムを選ぶ人はゲームを純粋に楽しみたいだけの人がちょっとした運試しにやったりするそうです。
でも私の種族って装備変更不可です。と言うことは装備を変えて楽しむと言うことが出来きません。
あれ?これってレア種族じゃない気がしてきました……。
しかも装備を成長させて行かなければいけないですし、自分の装備を強化すると言うことは、自分の装備が吸収した魔物よりもそいつの方が強くないと強化出来ないわけです。
これって、かなりハードですよね?ゲーム初心者になんてことを……。全て自業自得ですが。
でもそこはプレイヤースキル、で合っていたと思いますが、自分の技量には自身があるのでそこは自力でなんとか出来ると思いたいです。まさかいきなり祖父レベルの魔物が現れることは無いでしょう。
祖父とは技術だけなら互角かそれ以上の自信がありますが、『何でもあり』のルールならば、勝てる自信は皆無です。まず勝てないでしょう。まあそれでも私は毎日挑み続けたのですが。
なにせ相手になるのが祖父だけでしたし私がどれだけ本気を出しても問題はありませんでしたから。
勝つ、とはいかずともあの、人を挑発するかの様な笑みを崩してやりたかったのですが、それは遂に叶いませんでした。まるで勝ち逃げされた気分です。
少し暗い記憶を思い出してしまいましたが、今は純粋にゲームを楽しみましょう。
その場で少し体を動かしたりしながら、現実との差を確認していく。
やはり、身体能力が一定なので現実と全く同じことは出来ませんがそこは慣れないといけません。
私がまた動きの確認をもう一回しようとした所で、目の前に見慣れた顔が見えました。
向こうもこちらに気が付いたようで、三人いた内の一人が私に向かって走り、かなり近づくと抱き着いてきた。
「やっほー!すずなん!やっぱりすずなんはゲームの中でも可愛いね!」
「ええ。こんにちは直智。」
そう。待ち合わせをしていた直智だ。勿論来たのは直智だけではありません。
「一日ぶりだなスズナ。お前らゲーム内なんだからキャラネームで呼び合えよ。まあスズナは思いっきり本名だけどよ。」
「ごめんなさい。つい癖で。でもキャラクターネームなんてどうやって分かるの?」
「プレイヤーの少し頭上にキャラクターネームは表示されるんだ。」
「ええと、それじゃあ二人は『ナギ』、『ナナ』とゲーム内では呼ぶように気を付けるわ。」
「ああ。一応本名を言うのはこのゲームではマナー違反になってるからな。」
「今後が気を付けるわ。それで……さっきからナギの後ろに隠れてる女の子は?」
私がその子に目線を送ると俊敏な動きでこちらを見るために少し頭を覗かせていた頭をナギの後ろに引っ込めてしまった。
何か怖がらせてしまったのでしょうか?
「ああ、紹介するよ。こいつは俺の妹でゲーム内の名前は『アズ』だ。こいつはかなり人見知りが激しくてな。」
「よろしくアズちゃん。私はスズナよ。」
「よ、よろしくお願いします。」
ナギの後ろに隠れながらだけど、しっかり挨拶してくれた。悪い子じゃない。
むしろ小動物的な可愛さがあります。
「じゃあ挨拶も終わったし早速町の中を歩いてみようよ!」
「ああ、そうだな。俺らも一緒に買い物する予定だしな。それでスズナは所持金いくらだったんだ?俺らは大体1500ユニくらいだったが。」
「……500ユニよ。」
「マジで?お前運無さすぎだろ。いやでもお前レア種族みたいだし、そこで運使い果たしたのか。」
「あ!ほんとだ!もふもふだもふもふ!ねえねえ!触っていい!?」
「止めなさい。案内してくれるんでしょ?」
「いや、でも多分500ユニじゃHP回復ポーション三つ買ったら終わりだぞ?」
「……もう私は町の観光でいいわ……。」
「ま、まあ一応こういうゲームで必要な物だったりするものとかは教えてあげるから!」
確かに知識があるだけでも違うと思う。
ゲームの経験で言えば二人の方が詳しいだろうし、多分私よりもアズちゃんの方が詳しいくらいでしょう。
「そうね。知識だけでもあるだけで違うだろうし。じゃあ皆、説明お願いね?」
「おう!任せとけ!」
「勿論!」
「……(頷く)。」