風邪夜
うぅ…体が…体が…熱い…!真司…早く真司の所に…!
「し…真司ぃ…はぁ…はぁ…」
「お…おぅ…?なんだ…?」
「僕…っ…僕なんか変なんだよ…!真司の事考えるだけで…体も顔も熱くて…!頭がボーッとして…汗も凄くて…ほ、ほら…今もこんなに…もうすっかりびしょ濡れなんだ…!」
熱い…!熱いっ!もう服なんて着てられないよぉ!
「おいバカ服を脱ぐな!…俺の事を考えてって事なら恋かなんかなんだろうが…」
恋…!?僕が…真司にっ…!?嘘っ!こ…これが恋…そんな…
「先ずはこれを咥えてみろ。」
「しょ…っ!?そんなっ!いきなり咥えろだなんて…!?」
「体熱いんだろ?ほれ、いいからいいから。」
「んぐぅ!?…んぶ…んちゅ…」
「口離すなよー。いや…辛いなら舐めるなよ。別に必要無いからな?」
…く…苦しい…鼻で息が出来ないから結構辛い…う…
ピピッ!
「…38.1度。立派な風邪だ。そりゃ熱いのは当たり前だな…取り敢えずあったかくして寝ろ」
「風邪…スキー教室…寒かったからなぁ…」
…恋じゃなかったのか…良かったような寂しいような…ていうか、光達に移してないかな…?
「というか、お前はいつまで下着姿でいる気だ?」
「だって熱いんだもん…汗凄いし…真司、お風呂貸して…」
「なんでだよ…自分の家の使えよ…」
「今日僕の家誰もいないんだよ…風呂の中で倒れたらどうするのさ…」
「…それもそうか…よし、使ってけ」
「わーい」
あれだね。風邪だと真司優しいね…あ!もしかしたら真司に風邪移っちゃうかも…?さっさと使ってさっさと帰らなきゃ…
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「はぁ…っ…はぁ…!」
や、やばい…想像以上に辛い…!?は、早く出ないと…
…しまった…僕、着替え持ってきてない…!真司には悪いけどここから帰ろう…!
シュゥゥ…がくん!
「…はぇ?」
あ…あれ?力が抜けて…霧になれない…?もう一度!
シュゥ…がくん!
ど…どういう事…!?熱出してるから…!?
ど…どうしよう…取り敢えずバスタオル巻いて…!
「…しん…じ…」
「うおお!?なんでバスタオルだけで出てくるんだ!?」
「な…なんか…霧になれなくて…悪いんだけど…僕の家から服取ってきてくれない…?」
「お…おう。直ぐ戻ってくるから無理すんなよ?」
無理できる体調じゃないです。熱い…
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「取ってきたぞ…」
「ありがとう…後…悪いんだけど…着替えるの手伝って…」
「おう…」
「…よ…よし、じゃあ…戻るね…」
「気をつけろよ?」
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…ちゃんと帰れたんだろうか…心配だ…ちょっと行ってみるか…
ガチャ
「失礼しまーす」
俺の家からここに来るまでに夜の姿はなかった…という事は無事に帰れてるという事だろう…ついでにアイスとかサイダーとか買って来たが…食えるんだろうか?
「…夜…寝てるか」
良かった…ちゃんと寝てるな…なら邪魔しないようにそっと帰るか…サイダーとかは冷蔵庫入れといて…
「…まっ…て…」
「…!?…起こしちまったか…悪い。」
「平気…それより…ちょっと…そばに居てくれない…?」
「いいけど…大丈夫か?」
「…うん…」
なんかあれだな。赤く染まった頬に潤んだ瞳、半開きの口…ちょっとエr…いや、親友が苦しんでるってのに不謹慎か…
「真司…手…」
「…ん?なんだ?握ったりでもしたいのか?」
「……うん。…いい?」
「あぁ…ってか、熱いな…病院行かなくていいのか?」
「行ける元気無い…」
「お姫様抱っこで担ぎ込んでやろうか?」
「恥ずかしいから…やめて…」
「はいよ。辛かったり、なんかして欲しかったら言えよ?」
「うん…ありがと…」
「…ていうか、魔力で治せないのか?」
「…無理みたい。」
…こういう事にこそ役立って欲しいもんだがな…
「………」
「寝たか…」
…どうするかな…手を握られてる以上勝手に帰る訳には…しかしずっとこのままってかなり辛いぞ…?
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…うぅ…頭まで痛くなってきた…
って真司寝てるし…で言うか僕ずっと真司の手掴みっぱなしだった…ごめんよ…
でも、ちゃんと握り続けてくれたんだね…嬉しい…♪
ズキッ!
「あぐっ!」
「おぉ!?どうした!?」
「あ…ごめん…頭痛くて…」
「頭痛まで出てきたか…そろそろ本格的にやばいな」
「うん…真司…移るといけないから…早く帰って…」
「大丈夫だろ?マスクしてるし」
「でも…もし真司に移ったりしたら…」
「大丈夫だって。俺が好きでやってんだから…ていうか、俺は体力あるから風邪引かねーし?」
「嘘つき…前引いてたじゃん…ありがと…」
「いいって…アイス買って来たが…食うか?」
「うん。」
「ほれ…口開けろ」
「いや、自分で食べれるよ?」
「口開けろ」
「いや、自分「口開けろ」…真司…こういうのやりたかったんでしょ…」
「実はな。」
…相変わらずの変態真司ですこと…でもまぁいいや。
「…あーん」
「よしよし。ほれ」
…冷たいのと甘いのが口の中に…美味しい…
「ありがとう真司…真司が居てくれなかったらどうなってた事か…」
「だからいいっての…」
「ねぇ、もうちょっと…一緒に居てくれる?」
「当然。」
…あぅ…目が霞んできた…そろそろ限界か…
「…出来たら後ろから抱きしめてくれると嬉しいかなって…」
「…仕方ねぇな…」
ギュ
「…ありがと…」
この感じ…安心する…
…真司がいなかったら…本当今頃どうなってたんだろう…真司…ありがとう…