プール(午前)
ふぅ…自転車飛ばしてきたから疲れた…
お、あれかな?結構人数居るな〜
「ごめん待った?」
「いや、今来た所だ」
…おお、なんてお約束通り。
「そうね…2人共揃って10分遅刻よ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「「ごめんなさい!」」
僕は今、プールの入り口前に立っています。
暑くてプール日和だとは思いますが…僕の隣でそれに負けない程カッカしているお方が1人…
「この暑い中どれだけ待たせるのよ!…皆もなんか言ってやって!」
「いや、別に大丈夫だ…」
「私も気にしてないです…」
「私も別に…」
因みにメンバーは僕、真司、光、小林君、本田さん、橘さんだ。
「全く…もういいから着替えに行くよ!」
「光が1人で怒ってただけじゃん…」
女子更衣室。それは男のロマンであり、男に生まれた者なら誰でも一度は目にしたい。そんなパラダイス…
そんなパラダイスに僕は今入っています!男子諸君!羨ましいか?羨ましいだろ?
僕は全然嬉しくないっ!
「なんで着替えないの?」
「うるさい。今ちょっと見えない敵と戦ってるんだ」
「何それ…」
ぐすん。こんな堂々と入れる自分が嫌…何より思いっきり見てるのに興奮しない僕が嫌…
もういい!ぱっぱと着替えてぱっぱと水に入るよ!
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「おう。来たな」
「どうよ真司。似合う?似合う?」
「…まぁな。胸はないが」
「ふん!」
「またやってる…」
「俺ら蚊帳の外だよなぁ…」
「だねぇ…」
「(あ、こういうシチュエーションも…)」
ぐすん。確かに僕の体には女性的魅力は少ないかもしれないが…
それでいいんだ!だって僕男だから!
…それに比べて、いいなぁ真司は…服着てるとわかんないけど腹筋割れてるし…いいなぁ、かっこいいなぁ…
「さて、泳ぎますか!」
「僕浮かんでるね〜」
「なんでっ!?」
泳ぐと疲れる。
「あ、そうだ。あれやってみようかな…真司、こうやって手出して、僕の事突き上げて?」
「なんでだよ?」
「飛び上がりたい!」
「怒られるから辞めろ!」
「むぅ…仕方ない。浮かんでるよ」
あー…太陽が眩しい〜…ゴーグルあっても眩しい〜でも気持ちいい〜
「そら!」
「わっぷ!?」
何何何何っ!?水!?
「はっはっは!ボーッとしてるからだ!」
真司ぃぃぃ!
「まて貴様っ!プールのもずくにしてやるっ!」
「藻屑じゃねぇのか?…捕まる訳ねぇだろ!」
「真司なんぞもずくで充分だっ!待てっ!」
「捕まえてみろっ!ほれっ!」
「わぶっ!?く…マジで許さんっ!」
捕まえて沈めてやるっ!
「またやってるよあの2人…」
「こっちはこっちで楽しもうぜ。俺ボール持ってきたぞ。」
「お、ナイス!」
「行きますよっ!」
ポーン。
「ああっ!そっち行った!」
「小林君っ!」
「おうっ!」
「それっ!」
「捕まえたっ!観念しろぉ!」
「ふはは!甘い!」
「うわあっ!?」
ザッパーン!
ぐう…投げるとは…
「じゃあな!」
ああっ!違うプールに逃げた!追いかけないと…
って熱い熱い熱いっ!サイドが熱いっ!
くそ!真司凄いスピードで逃げてくし!
ここは…波のプール?
波が起きる所か…あれ?真司は…もうあんな所に!
…くう…背の低い僕にはキツイ…
ザバァァァン!
「げほっ!えほっ!」
…あれ?真司は…?
ああ!?もう別のプールに!
「はぁ…はぁ…どこ行った…」
まずいね。スタミナ切れてきたよ…
あそこか!もうさっさと捕まえよう!
「…あれ?どこ?…あれ?」
さっきまでここに居たのに見つからないのだ。見回しても居ないし…
「下だ!」
「わきゃ!?」
ザバンッ!
くぅ…潜ってたのか…それにしたって蹴るなんて…
「ひぐ…」
「お、おい?」
「ぐすっ…ふぇぇん!」
「すまん!泣くなよ…悪かったって…」
僕を慰めようと真司が近寄る。
…その優しさが命取りだっ!
「引っかかったな馬鹿め!沈め!」
「ぐぉぉ!?騙されたっ!」
女の顔って表情変えやすくていいよね。こういう引っ掛けも楽チンだ。
「ふははっ!もう抜け出せんぞ!」
「うおお!足を絡めるなっ!?」
「だいしゅきホールドとか言うやつだ。詳しくは知らんが!」
「名前からして絶対こういう用途じゃねぇだろ…!」
勝てばいいのだ!
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「お〜い。何してるのー?」
「飯食ってんだよ…お前らがいつまでも遊んでるから…」
「ごめんごめん…食べ終わったら、一緒に遊ぼうね」
「ああ」
…もうお昼か、お腹減った!