体育祭
曇り空…と言われて皆さんは何を思い浮かべるだろうか?
晴れの日のような明るさは無く。雨のような風情も無い。雪の日のようにワクワクもしなければ、台風のようにハラハラもしない。
曇天。それは1番気分が沈む天気
…しかしここに、そんな感情とは無縁の少女がいた。
いやっほぉぉ!曇りだぁ!最高!神様ありがとう!
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「いや〜…曇ってよかったよ…」
「なんで?私はちょっとがっかりなんだけど。」
「だって…晴れの日にやったら疲れるじゃん…」
「それはそうだけど…」
雨だったら延期になっちゃうしね。曇り最高!
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『次は100m走です。選手の皆さんは並んで下さい』
あ、僕の出番だ。
「じゃー行ってくるね。」
「頑張って〜」
『赤。頑張って下さい!」
『オレンジ。追い上げています!』
あ〜…そろそろ僕の番だ…やっぱ緊張するなぁ
「位置について…ヨーイ…」
パァン!
うう、前が行ってしまった…次は僕か…
「手加減しねえからな。」
「ふん。真司が僕に勝てた事なんてあったかい?」
ふー。真司と話してたらちょっと緊張解れたよ…よし!頑張ろ!
「位置について…ヨーイ…」
パァン!
…しまった!フライングを警戒してちょっと出遅れちゃった!?
いや、この程度すぐに追い抜かす!
ダダダダダダ…
うおお…後少しっ!
ゴール!…テープ切ったから1位の筈…
「お疲れ様です。」
1位の旗を持った人に付いてく。やっぱり僕が1位か。
…真司は…あれ?4位?どうしたんだろ…僕程じゃないにしても速い方なのに…
あ、土が色んな所に…もしかして転んだのかな?…後で聞いておこう。
『100m走選手の退場です。』
「お疲れー!」
「疲れた…でも後は騎馬戦まで何もないね。」
「じゃあ私の応援でもしててよ!」
「うん、頑張れー。」
「心を少し位込めてくれても…」
はぁ…少し寝ようかな?…バレないよね…
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「夜〜…起きて〜」
「うん…おはよう、光…」
「おはよう、じゃないよ!応援しててって言ったのに!」
「ごめんごめん…で、どうだった?」
「もちろん1位だよ!」
「だと思った。お、次騎馬戦みたいだよ」
「あ、行こう!」
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兜付けて〜馬に乗って〜
\デェェェェェン/
大将だよ!ふふふ…さぁどっからでもかかってこい!
…って思ったのに誰もこない…
同じクラスの他の人達が頑張って皆押しとどめてて…僕達の方まで全く来ないよ…皆凄いなぁ…
「…あ、なんか来たよ。」
「本当だ…あれは…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
縦ロール!?
「さぁ!勝負です!」
「よしこい!負けないよっ!」
先手必勝!
左手で取りに行く。
ヒュッ!
ガシ!
ガードされたか…やっぱり利き腕じゃない方は速さが…まぁ、左で行ったのには訳があるから。
シュシュッ!
左手を一回戻してまた取りに行く。そして残っていたガードをすり抜ける。
ガシッ!
そうすると、相手も左手を使ってガードするしかなくなる。
…つまり!僕の右手はフリー!
シュッ!ガシッ!
「くっ…」
「GET!」
見事勝ちました。流石僕。ていうか、縦ロールも大将だったんだね…ってあれ?
…誰も居ない…?
『最後まで残っていたのは4組!という訳で!優勝は4組です!』
…あれ。勝っちゃった。
後で聞いた話なのだが、僕が縦ロールと戦ってる間に、僕のクラスの他の人達が一気に玉砕覚悟の突進。2クラスの大将を道連れに倒れたらしい。
…つまり僕が負けてたら負けてたって訳だ。そういうのはやめてほしい。
「勝てたな。」
「はい!」
「お疲れー」
後は午後だね。特にやることもないから、ちょっと寝て、応援だけしてよう。
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お弁当の時間です。
もぐもぐ…午後僕が出るのはクラス全体リレーだけだね。じゃあ楽チンかな。
因みに、今僕のチームは独走状態だ。このまま行けば優勝できるだろう。
…別に僕は優勝しようがしまいがどうでもいいけどね。
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順調に来て全体リレーになりました。
…はっきり言ってもう僕達の1位は確実。後は2位争いみたいだ。
でもやっぱり緊張する…!やりたくないなぁ…
あ、光の番だ…おー、流石速いね…あ、次は橘さんなんだ…って速っ!?橘さんあんな速いの!?
…あぁ…そろそろ順番がきてしまう…
バトンもらうのは小林君からかぁ…よし、行くぞ!
…落ち着いて…ゾーンを越えないように…
「頼んだ!」
…GO!
ダダダダダダダダッ!
「…はぁっ…はあっ!」
1位だから抜かす相手はいないけど…差は広げられたかな?
パス!
…これにて体育祭においての僕の出番!終了です!
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『1年の優勝は…4組です!おめでとうございます!』
わー!!
…うん。良かった良かった。さて、後はまた話に耐えるだけか…
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「お疲れ様でした。」
「おう、お疲れ」
「100mの時さ、どうしたの?転んだ?」
「あぁ…」
「そっか…ドンマイ。」
「意外だな…」
「何が?」
「いや、お前の事だから、ここぞとばかりに弄ってくるのかと思ってたが…」
「失礼な。流石にそんな事しないよ」
全く。真司は僕をなんだと思ってるんだろうね。