尾行。衝撃
照りつける太陽。たまに吹くぬるい風。そして人口密度の高い校庭。
僕は今、窮地に立たされています。
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…誰か助けて下さい。6月だというのにめちゃくちゃ暑いです…
「うぅ…光ぃ…辛いよぉ…」
「頑張れっ…後少しよ…多分」
長い!長いよ!話が長い!倒れたらどうするのさ…リハーサルなんだから短くしてよ…
「では、最初の競技から行きます。先ずは100m走です」
おっと、これは僕だね。
「はい。皆一斉に走って下さい〜!」
…あぁ、そうなるのか…
おらー!1番じゃあ〜!
「…ん?」
「飛ばし過ぎだ。そんなに楽しいか?」
「…真司!?真司も100m走だったの?…しかも同じコース…」
「勝負だな。」
「手加減しないよ!」
「おいこらお前ら!どこまで走ってんだ!」
…はぅあ!?どこだここ!?
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「にやにや。」
「にやにや。」
「にやにや。」
「(捗る!捗りますよこれは!)」
「なんだよこら!」
「いや」
「別に」
「なんでも」
「ないですよ?」
「なんだその連携プレーは。ん?」
「なんでもないよー!それより、ほら!騎馬戦だよ」
まったくもー!まぁいいや、急ご…
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「ほらほら!早く馬になるがよい!」
「はいはい…」
大将だぞー偉いんだぞー。
「はい終了ですー。」
あ、本当にはやらないんだ…ちょっとがっかり。
「はい!集合です!」
…やっと終わりか…
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「ひ…光…長い…長い…」
「頑張って…!」
いい加減にしろこら…せめて座らせて下さい…
「解散!」
やっとか…疲れた…
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…疲れた…死ぬ…死ぬ…
「大変!夜が息してないの!」
「殺さないで〜…」
「だらしないな…」
…だから…僕体力ないんだってば…
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今日は部活ありません…が!僕にはちょっとやる事があります。
そう!尾行です。
え?なんでこんな事思い付いたかって?
それはだね…小林君と本田さんがベリーベリー怪しいからなんだよ…
僕たちは騎馬戦で同じチームなんだ…でもね。小林君と本田さんって最初以外全く!本当全く話してないんだよ。
これ、おかしいと思わない?小林君は光程じゃないけど積極的なタイプだし、本田さんだってそんな内気な訳じゃない…それなのにこの2人全然話してないんだよ?橘さんとは喋ってるのに!
…でね。僕の天才的な頭が告げてるんだよ。これは何か面白い事がある!と。
喋らない理由は主に2つ…仲がめちゃくちゃ悪いか…親密な関係で、それを知られたくないが為に話してないか…僕は後者だと睨んだね。
2人は同じ時期に転校してきたし…絶対あるよ!そういうのが!
…というわけで尾行開始です。ターゲットは小林君。
…早速移動し始めたね…GO!
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…な、なんか…凄いくねくねした道行くんだね…撒かれちゃいそう…
でも、見失わないよ!面白そうだもの!
…あれ、誰かの家に入ってった…小林君の家はこっちじゃないから…友達?
ミストフォーム…
『本田』
…ビンゴォォォォ!ひゃっほう!やはり2人はそういう仲だったんだね!
…いや、まだ決めつけるのは早いか…もしかしたらただの友達ってだけかもしれない…ありえないとは思うけど…
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「うぅむ…」
「どうしたの?」
「どうにもさっきからつけられてる気が…」
「敵?」
「いや、敵意はなかったが…」
「なんだろう?」
…なんて恐ろしい会話してるのこの人達!?敵ってなに敵って!
「…まだ見つからないの?ターゲットは…本当にこの近くに居るんでしょうね?」
「ここまで見つからないと誤報じゃないかと思えてくるよな…」
「本当、どこに居るのかしらね…」
「あ、それと杉下さんの事なんだけどさ…」
「なんだ?」
「あの人、協力者に引き入れられないかなぁ…杉下さんが居ればかなり有利だと思うの…」
「…確かにな…」
…あれ?なんか同じ様な話をどっかで…
『仲間を探してるの』
『ターゲットはどこに?』
…!?まさかっ!?
光の仲間=小林君達の敵…?
そうだとすると
光と小林君達は敵対組織…!?光も敵が居るって言ってたし…嘘でしょ…
これは不味いね…このターゲットが見つかった瞬間この均衡は崩れるよ…
逆に言えば見つからなければこのままの状態をキープできるって事だから…
お願い…見つからないで、ターゲットさん…
取り敢えず相談だ!
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「という事なんだよ…どうしよう。」
「…どうしようもねえな…流石にこれは…」
「どうすればいいと思う?ねぇ…」
「…取り敢えず今まで通りに接して…そのターゲットとやらが見つからない様に祈るしかないな…」
「やっぱり…」
…くそ!友達同士が殺しあう図なんて見たくないぞ僕は!