チーム決め
「今日はクラス競技の練習をします。皆さん5人一組を作って下さい。男女合同で構いません」
…突然の事でございました。僕のクラスの担任より、このような地獄をも連想させる残酷な言葉が発せられたのです。
どこが残酷なのか?とおっしゃる方々もいらっしゃるかもしれません。なるほど、確かに社交性のある…いえ、普通の方にとってはなんの変哲もない言葉でしょう。
しかし僕にはこの先生が悪魔に見えてならないのです。その理由は…
申し訳ございません。長くなってしまいましたね。では単刀直入に申し上げます。
友達少ない僕に5人組作れとかイジメかぁぁぁ!?
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こういう心をダイレクトに削ってくる言葉って最早凶器だと思うんだよね。
僕を狂気に至らせる凶器。
…我ながらくだらないギャグを…それよりも…どうしよう…うーん…
「夜〜一緒にやろー!」
「うん。」
光は一緒にやってくれるようだね…これで2人…そうか!いい事思いついた!
「光、あと3人集めてきて。」
「えぇ…なんで私が…」
「僕も努力するから…」
「それならまぁ…いってきます。」
「うん。頑張って」
さーて、光に任せて僕はのんびりしてようっと…
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「…夜?頑張るんじゃなかったっけ?」
はぅ!寝てた!?
「あまりにも成果が出なくてふて寝してた所だよ」
「いや、夜は一度も動かなかったね。見てた。」
「ストーカーだ!」
「なんでそうなるの!?…まぁいいや、2人連れて来たわよ。」
「えー。2人〜?」
「夜が1人連れてくればいいの。」
「無理!」
「全く…取り敢えず、この2人よ」
「よろしくお願いします。」
「よ、よろしく…お願いします…」
本田さんと…あっちの小さいのは誰だろ?
「橘 瑠衣さんよ。」
「ほー…よろしく。」
「はいっ!」
なんかおどおどしてるなぁ…いや、いいんだけど…
「さぁ夜。もう1人連れてきなさい。」
「無理だよー…」
「色仕掛けでもなんでもいいから!ほら、行った行った!」
うわ、すっごいグイグイ押される。力強い…
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ぐすん。誰に声かけよう…女子はもうグループできちゃってるから…狙うは男子…って言っても男子に知り合いなんて…
あ、そうだ。小林君どうだろ?ちょっと見てみようかな。
「小林く〜ん…」
「うおっ!?…なんだよ?」
「お願い。僕達とチーム組んで?」
「あ〜…どうすっかな…」
「もう組んじゃった?」
「いや、まだだけど…」
「じゃあいいじゃない。来てよ」
「…どうすっかな…」
「(小林が杉下さんに話し掛けられてる…!)」
「(さっきから殺気が…シャレじゃなく)」
「いいじゃん!今ならビール券2枚つけるよ!」
「新聞の勧誘じゃないんだから…それに俺らは未成年だ。」
「固いこと言わないでさ〜」
む〜…仕方ない。あれを使おう…
ガシッ!
「…ん?」
「…お願いします…僕達とチーム組んで下さい…」
腕掴み+涙目+上目遣い!…ふふん。真司にも結構効くんだよこれ!
「…っ…分かったよ。行ってやるよ」
「本当?よし、行こう」
これで胸を張って戻れるね。
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「という事で小林君連れてきました。」
「…どうやったの?」
「…ビール券2枚」
「そっちじゃねぇよ。」
「…あれ…小林君が敬語じゃない…?」
「ああ、ほら、同年代なのに敬語とか変じゃん?だからタメ口でいいよって言ったんだけど…違和感あるでしょ?分かるよ」
「確かに違和感が…」
「お前らなぁ…」
「(まさか男子が来るなんて…怖いよ…)」
「(…あいつと組む事になるなんてね…)」
あそこの2人組は何してるんだろ?固まってるの?
「おーい、本田さんと橘さん〜!練習しようよ〜」
「あ、このチームでやるのは騎馬戦らしいわよ?」
「…俺だけ背が違いすぎないか?」
「大丈夫じゃないですか?」
「本田さんも敬語じゃなくていいよ〜」
「あ、うん…」
「橘さんも頑張ろーね!」
「は、はい!」
光は積極的に輪を作れるからなぁ…凄いよね。尊敬するよ。
「さぁ!練習しようよ!誰が上になる?」
「光は却下ね。重いから。」
「なんだって…?」
「事実を述べてるまでです。」
「まぁ夜より胸大きいからね!」
「ぐっ…」
ぐすっ…事実だから言い返せない…
「よ、よろしくです…」
「おう、よろしくな。」
「よろしく。」
「…おう。」
「…胸の事を言うのは…良くないと思うんだ…」
「じゃあそっちも重いとか言わないって事で。」
「…でも上には乗らないでしょ?」
「まぁ…」
「…むしろ俺が上とか」
「「それはない。」」
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「…こんなチームで大丈夫か?」
「俺に聞くな俺に…」
「真司はどうなった?」
「男ばっかのむさいチームだ」
「…ドンマイ」
「しかしあれだな。お前小林ってやつと随分仲良かったんだな。」
「おやおや?ヤキモチですか?…安心したまえ。小林君とはただの友達だから」
「俺は?」
「…大親友?」
「…そうか」
あ、これは照れてますね。ふふふ…