受け継がれる「心」
てれれっててー!
よるぅ☆
…何アホな事やってんだろ。僕もういい大人なのに…
まぁ、いつまでも若々しいって事だと思うんだよね。アンチエイジング!
そこ!精神年齢が幼いとか言わない!
…まったく。ちゃんと親としてやることはやってるんですよ?これでも…お仕事はしてないけど、掃除したり洗濯したり料理したり…
「やあ、健太君。呼び出して悪かったね」
こうやって娘の恋愛状況を把握しようとしてみたり!
「いえ。なんの用でしょう?」
「ん〜…まぁ取り敢えず、なんか食べる?奢るよ?」
「そ、そういう訳にも…」
「子供は大人を頼りなさいって。甘いもの好き?クレープでいい?」
「あ、はい」
「何がいい?」
「…ピザで…」
「ピザ!?…あ、あんなの頼む人居るんだ…完全なるネタ枠だと思ってた…ま、まあいいか、買ってくるよ…」
ピザ…ピザかぁ…うーん…まぁ、健太君が食べたいって言ってる訳だし…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「…で、健太君をここに呼んだ訳なんだけど」
「はい」
「愛…どう?なんかこー…困ってるとか」
「困ってる…?特に何もないかと…」
「そ、そっか…ほら、愛ってあんなんじゃない?親である私にも何も話してくれなくてー…」
「あー…大丈夫ですよ。いつも元気にやってます」
「そっか…それは良かった…で、だよ!健太君は愛の事どう思ってるかな?」
「どうって…?」
「そりゃーもちろん…恋愛感情とか!」
ブッ!
「うわぁ!?」
「あぁ!?すいません!」
あ、危な…ピザがかかる所だった…
「き、気にしないで…で、どうよ?」
「い、いや…そういうのはあんまり…あ、でも最近なんかくっつかれる事が多いですね。」
「へー、で?嫌なの?」
「嫌じゃないです…むしろ嬉しいです」
「おー!いやさ、愛ってあんなんじゃない?素直になれないっていうか…だから、健太君とかとくっついてくれると私達的にはひじょーに嬉しかったり…」
「く、くっつくって…別にそういう関係では…」
「…んー?本当ー?」
ジーッ
「…そういう関係ではないです…」
「…そっか…じゃあ、ひとつだけ聞かせてね?答えられなかったら答えなくていいけど…」
「なんですか?」
…愛が吸血鬼になった時、最初に頼ったのは僕ではなく健太君…僕ではなく!僕ではなく!
いや、今重要なのはそこじゃない…
「…これからも…愛を守ってくれるかい?」
「え、はい!それはもちろん!」
…ふふ…いい顔だね。
「…健太君は聞いてるかな?私も…愛と同じだって」
「はい」
「私は…ずっと真司が支えてくれた。きっと…真司が居なければ生きる希望を無くしてた。…普通じゃないっていうのはね…1人じゃのり越えられないんだ。…健太君。頼んだよ」
「はい!」
「うん。さ、そろそろ帰ろうか?」
「はい」
…あ、そうだ
「健太君もう一つだけよろしいですか?」
「あ、あのドラマ見てたんですか?」
「リアルタイムでね…ってそうじゃなくて。一つ聞きたいんだけど…」
「なんですか?」
「えー…自分のワイシャツが1枚なくなってたりとか……しない?」
「あ、そういえばたまになくなりますね」
「そう…変な事聞いてごめんね。」
…やっぱりかぁ!
さ、流石僕の娘…いや、気持ちはわかるんだけど!わかるんだけど!今もたまにしてるけど!
…うーん…真司は精神力が半端なかったし…僕にヤンデレられても平気だったけど…普通の人ってあんなんじゃないと思うし…
うむ〜…くっつけば大体よくなるんだけど…二人ともあれじゃーなー…愛が素直になってくれればなー…
僕と違って生まれた時から女なんだからもう少し頑張れよ!
ガチャ
「ただいまー」
「…………」
「うわ!…なんだ愛か…何してんの?」
「……健太と」
「ん?」
「……健太と…何話してたの?」
「…大人の秘密〜♪」
…殺気!?
ギュォン!
バシュ!
「…あ、愛…?い、いきなり何を…」
「…はっ!?…ご、ごめんねお母さん…!なんだか分からないけど…なんか…!」
「い、いや…いいんだけど…ご飯作るからちょっと待っててね…」
…あ、あぶねー…
…やっぱ病んでる…杉下家の伝統が受け継がれちゃってる…
いや、それはいいけど…いいんだけど…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「真司ぃぃ!愛に攻撃されたー!敵とみなされたー!」
「よしよし」
「ぐす…まさか僕に攻撃してくるなんて…」
「まぁ…健太君に接触したからな…」
「ぐすぐす…愛ー…」
「泣くな泣くな…大丈夫。あの調子なら直ぐよくなるって…まぁ、俺は慣れたがな」
「…慣れたの?」
「学生時代病みまくってのは誰だ…?ん…?」
ギュー!
「ひんひ。ひたひひたひ。」
…僕は病んだんじゃない!自分の心に身を任せただけだ!
「…はー…まぁ、それでも好きなんだし、健太君も大丈夫だろ」
「そーだよね!あの2人ならきっと平気だよ」
「あぁ、俺らの娘と、娘が惚れた男だ。駄目になる訳がない」
「うんうん。ところで真司ー?」
「どうした」
「……真司から他の女の匂いがするんだけど…なんで?」
「…先に言っとくが、浮気はしてない。魔力使って調べてもいい。それは誓ってしてない。匂いがする理由は、おそらく転びそうになった同僚を助けたからだ」
「………本当…?僕…信じるよ…?」
「ああ。頼む」
「…………うん!よし、寝よっか!」
「寝るのか?」
「え?…あは、そういう事かぁ…うん。そうだね…他の女の匂い…僕で上書きしないと…ね」
ガバッ!
(計画通り)
…ふふ…愛はきっと大丈夫…健太君が居るから…
それよりも…2人目…出来ちゃうかな?