人間
「…なぁ、この前の話を聞いて一つ案が思い浮かんだんだが…聞いてくれるか?」
「案?なにかしら。」
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「…確かに、それが出来ればいいけど…出来るの?下手したら、全てを失うわよ?」
「あぁ、かなり危険だし…物凄く自分勝手だとも思ってる。それでも…」
「ええ。きっと何を言っても夜は首を突っ込むわ。それなら…任せても…いいかしら?」
「ああ。」
「OK。皆にも言っておくわね。アフターサポートは任せて。」
「頼んだ。」
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なんだか最近監視の目が厳しい。
こっそり抜け出して皆を助けようと思ってたんだけど…
なんでか、真司が僕の部屋に来てるんだよね…いつもはこんな事ないのに…
皆を助けようと思ってるのに…真司が来てくれて嬉しい僕がいる…
今も後ろから抱きしめられつつ、撫でられて…すごく幸せ…
こうなったら夜、真司が寝てる時にこっそり行こう…夜の方が戦闘多いと思うし…
「ねー真司…そろそろ離れない?」
「なんでだ?嫌なのか?」
「嫌じゃないけどさ…そろそろ1時間だよ?疲れるでしょ?」
「愛する彼女を愛でてるんだ。疲れる訳ないだろ?」
「…自分で言ってて恥ずかしくない?」
「正直後悔した。」
ですよね。気持ち悪かったもん。
むに。
「…しーんーじーくーんー?なーんでお腹摘まんだのかなぁ?」
「いや、触り心地が良さそうだったから…思ったとおりだった。別に太ってるって訳じゃないぞ。」
「でも…なんか嫌なんだけど…」
「まあまあ。ところで最近疲れてないか?マッサージしてやろうか?」
「この流れで言う?真司ヘンタイ。まぁいいか。ちょっとお願いしようかな。肩よろしくね。肩」
最近肩が凝るんだよねー。ストレス?
「よし来た。魔力を使った新しいマッサージだ。」
「お?それはいいね。」
「行くぞー」
ピリピリ…
「おおっ!?なんか痺れる!」
「魔力を電気にしてみたんだ。電気風呂と同じ感じだ。」
「なるほどぉ…あー♪いいねいいね♪」
「よし、どうだ?」
「うんうん。いいよいいよ。」
「他の所もやってやろうか?」
「おー!いいの?じゃあお願いするよ!」
「よし、じゃあ…」
………頭…?頭は別に凝ったりしてないんだけどなぁ…
「あのさ、頭はいいから他の所を…」
「……すまん。」
「いや、別に謝る事じゃ…」
バリバリバリバリッ!
「あぎぁぁぁぁ!?」
「あまり暴れないでくれよ…!」
「がっ!?ぎぎゃっ!?ぎぎがぁぁぁぁ!?や、やめべぇ!?」
何々なんなのぉ!?
バリバリバリバリバリバリバリバリッ!
「ぎああぁぁぁっ!!」
ガクン。
「夜っ!?…脈はあるか…すまん。もう少し続けさせてくれ…!」
バリバリバリバリッ!
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…あれ。僕何してたんだっけ。
あぁ、そうだそうだ。真司にマッサージして貰ってて…あれ?なんで横たわってるんだろう。寝ちゃってたのかな…
うーん。なんか記憶がぼんやりしてるなぁ…まぁいいや。
ガチャ
「おお、起きたか。」
「起きたよ。ごめんねー?なんか寝ちゃってたみたいで…」
「いや、別にいい。…ところで夜。血、飲むか?」
「あははっ!何言ってるのさ真司!血なんて飲む訳ないじゃん!吸血鬼じゃあるまいし!」
「…そうか。変なこと聞いて悪かったな。」
「いや、待てよ…真司が血をくれるというのならわざわざ断る理由なんてないんじゃないか…?血を飲むとお腹壊すっていうけど…そしたら僕の力で………?力ってなんだろう?なんか変だなぁ…」
「寝ぼけてるのか?ほら、こっちこい。」
「わーい!」
なんかぼやっとしてるけどまぁいいや!
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「…成功した…と、思う。多分」
「そう…これからが大変よ?私達も精一杯サポートするけど。…でも、この方がいいわよね。きっと。夜はこれから、普通の人間として、人生を送れる訳だし。」
「……そう、だよな。」
…本当にこれで良かったのか、なんて俺にはわからないけど、きっとこれで夜は安全なハズだ。もし、危険に晒されたりしたら…
今度は、俺が守る番だ…。