全自動シールくん
「あのさー光。ちょっと聞きたい事があるんだけどさぁ…」
「…なに？言っとくけどいい結婚式場とかは知らないわよ？」
「そんなんじゃないよ！あのさ…ほら、あれ…なんだっけ。そう。ホーリークロスだ！あれ、どうなったの？」
ホーリークロス。僕たち魔物の敵。前は結構やりあったりしてたけど本田さん達を仲間に引き入れてからはそれどころじゃなくなって…最近は名前すら聞かないんだよね。
「目下交戦中よ。」
「うぇっ！？…な、なんで言ってくれないのさ？僕だって魔物チームの一員として…」
「いや…夜はほら、佐々木君の事で頭いっぱい手一杯だったみたいだから…普通に生活させてあげようって事に決まったのよ。」
…いつの間にそんな事に…ちょっと悪いことしたかな…
「…よ、よし。これからは僕も…」
「ダメ。夜に何かあったら佐々木君顔向けできないじゃない。」
「い、いや。僕なら平気だって…大体No.1が居ないチームなんてダメだよ！だから僕も…」
「ダメって言ってるでしょ。私達は夜には普通の生活をしてほしいの。幸い未だに夜の正体はバレてないわ…ね？お願い。大人しくしてて？」
「…む…よし、分かった。前線に出るのは控えるよ。でも、ちょっと待っててね？」
前線で戦えないのなら…後方支援だよ。僕の魔力に出来ない事はない！
「ふんっ！」
ベキベキボキガギン！
「…よし、出来た。はい、光これあげる」
「…何これ？スイッチ？」
「これはね。物とか人にここのアンテナを向けてボタンを押すと…」
「ふむふむ？」
ぽちっ。
「それが爆発四散するスイッチ☆」
ドガァァァン！
「なんてもん作ってるのよアホ夜っ！？」
ゴン！
スイッチを頭になげられた…痛い…
「…ダメ？ホーリークロスの連中に向けてボタンを押せば…」
「爆発四散するんでしょ！？見たくないわよそんなグロいの！」
「…つまりこれは？」
「ボツよ」
…光って無慈悲。
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新しいのを作りました。
「はい。光、新製品。」
「今度はマトモでしょーね。」
あぁっ！疑いの眼差し…！？
「こいつは正真正銘スグレモノっ！名付けて『全方向全自動防御シールくん』！」
「…ただのシールに見えるけど…」
「まぁまぁ、取り敢えずそれを貼ってみなされ。どこでもいいけどさ。」
ペタッ
「OKよ。」
「よーし。じゃあいくよ！せいはっ！」
ズォォォォン…ガガガガガガキンッ！
あらゆる方向から飛んでくる闇の槍を銀色の防御壁が全て阻む
「…ふぅ。どうよこれ！僕が全力を込めて作った防御壁シール！」
「確かにこれは凄いわね…」
「さらにそれに！この『全自動反撃シールくん』！そしてもしもの時の為の『全自動回復シールくん』さらに緊急用の『全自動緊急脱出シールくん』の三点をお付けして！4点で5800円…と言いたい所だけど！日頃の感謝を込めてなんと0円で差し上げます！どうぞ。」
「…あ、ありがとう…」
これで光は安心だね。でも、あのシール作るの結構疲れたな…
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「いぇーい！本田さん元気ー！？小林君とは上手くいってる！？」
「私は元気だしまぁ…その…まぁまぁ上手くいってる…かも…」
「そ、そうなんだ…因みにどの辺くらいまで…」
「えっとその。昨日あいつの家で…って何言わすのよ！ていうか、なんの用！？」
「い、いや。本田さん元気かなって…魔物チームがホーリークロスと戦ってるって聞いたもんで…」
「…あぁ、知っちゃったのね…別に夜は…」
「前線に出る必要は無い。でしょ？光から何回も言われたよ…まぁそういうことで本田さんと小林君にもこのシールをあげよう！」
「ありがとう…」
「…？あれ、杉下？」
「ん？あ、小林君！丁度良かった！君にもこのシールをあげるよ！」
「…お、おう…？ありがとう…？これどうするんだ？」
「どっかに貼っといて。出来れば体、もしくは絶対手放さない物とかに。」
「おう…」
さて、馬に飛び膝蹴りされる前に退散しますか…
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「とゆーことになっていたのですよ真司…」
「へぇ…なんか申し訳ないな…」
「ねー。でもでも、皆僕達の事応援してくれてるって事だよね？これは…皆の期待に答えないと…って思ったりしない？」
「ん…ま、まぁ…な。まぁ夜と別れる気はないしな…」
うへへ…嬉しい事言ってくれるなぁ…
「えへへ。ありがと。…でもさ、僕が言ってるのはそういう事じゃなくて…分かるでしょ？」
「…いや、俺達にはまだ早いというか…まだ高校生だし…」
「…………ん？何を勘違いしてるのかな？キスしようってお誘いだったんだけど…僕たち結構やってるよね？まだ早いの？ねぇねぇ。」
「いや…なんでもない。」
「ねぇねぇ。何と勘違いしたの？何が早いの？ねーねー？言えないような事なの？」
「うるせぇ…」
…ぷぷぷ…真司顔真っ赤！何と勘違いしたか分かってるけど…いや、勘違いさせる感じで言ったのは僕だけど…ふふ。
真司をからかうのはたのしーなー。
「なんで顔真っ赤なの？もしかしてそういう事なの？僕に性欲をぶちまけようとしたの？きゃー！おーそーわーれーるぅー！変態に襲われるよぉぉぉ！」
ガシッ！
「…ふぇ？」
「…………」
ちょ…あ、これまずいやつだ…！やば…今回は僕が優位だと思ってたのに…！いや、ここで諦める訳にはいかない！
「…ふ、ふーん。そういう事しちゃうんだー？口で勝てなくなったら口塞いじゃえって事なの？そんなんでいいの？わー乱暴ー♪」
「…くっ…」
勝った…！僕の勝ちだ！真司に僕は勝ったんだ！やはり僕が…あれ？
「ふっ…っ！？…っ♪はぅ…♪はぁ…はぁ…け、結局無理矢理…っ！？…っ♪ん〜〜♡…はっ！はぁっ！い、いい加減に…っ！？〜〜♡」
…な、長いよぉ…ダメ…もう…夢中になっちゃう…
「…っ♪は…はぁぁ…♪あ…終わりなの…？もう…？」
「して欲しいのか？」
「う、うんっ！もっと！もっとして欲しい！」
「じゃあ俺の事からかったこと謝るか？」
「…はい！ごめんなさいっ！だ…だから…その…ね？」
「分かったよ…」
真司…好きぃ…♪
(自分で無理矢理やっといてなんだが…これでいいのか…？夜…)
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「あのさ…夜？」
「あ、光。シールどう？」
「いや、あれ凄いわね。あれから全然ダメージ受けないわ。」
「でしょー？皆の分作ってもいいよ？」
「それは有難いんだけど…あれ、どうにかならないの？」
「…あれ？」
「あの、ボイスよっ！『いい攻撃だ。感動的だな。だが無意味だ』とか『かかったなアホが！』とか！なんで効果が発動する度に声が出るのよ！恥ずかしいんだけど！」
…い、いいと思ったのに…
「…ぐすっ…僕は光の為を思って…光のだけ特別にって…ひっく…ごめんね…すぐ変えるね…」
「特別…や、やっぱりこれでいい！これ気に入ったわ！」
「…え？でも…恥ずかしいって…」
「全然恥ずかしくないわよ！」
ちょっと泣き真似しただけなのに…自分でやっといてなんだけど…それでいいの…？光…
「むしろ夜の声がいつも聞けると思えば！」
「うっ！？ごめん光それ返して！」
「いやよ！それじゃあ他の人の分もお願いね！大体50人くらいよ！声は入れないでね！それじゃ！」
「あぁっ！？待って！」
…に、逃げられた…なんて速いやつ…
それに…
「50人…か…」
結構…少なかったな…そんなに減っちゃったのかな…
