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黒真司


皆さんこんにちわ。杉下夜です。今僕はお布団を頭からすっぽりかぶって震えています。


…理由は、真司の唐突なタラシ化です。


この前の日から真司はおかしくなってしまいました。


会う度会う度に『好きだ』だの『可愛い』だの。ぽんぽん言ってくるんです。


きっと真司はふざけてるんだと思います。…が、僕にとっては大問題です。ある人のセリフを借りれば、大丈夫じゃない。問題だ。


真司が軽い気持ちで言った言葉が僕の心をかき乱し続けているという事を少しは自覚して欲しいです。…無理ですかね。


という訳で僕は部屋に閉じ籠って布団を被ってるしかないのです。真司の部屋には遊びに行けないし…ぐすん。






…まぁいいや。もう寝ちゃおう!お昼寝したってバチは当たらないよね!寝て起きたらなんかいい感じになってるかもしれないし!



昔の偉い人は言いました『果報は寝て待て』…と。



よし、そうと決まったら早速寝……



コンコン。



…ノック?おかしいな…今日は誰も家に居ない筈なのに…


…まさか、強盗?いやでも、強盗がノックするかな?…ちょっと見てみよう…



シュボッ!


…透視っ!って真司っ!?なんで真司が僕の部屋の前に!…く…居留守だ…居留守を使おう!



「おーい。居ないのか?」



居ないよー。居ないから帰ってー…


「…本当に居ないのか?」



本当に居ないよー。


「…仕方ない。帰るか」


うんうん。帰ってー。正気に戻ったらいつでもウェルカムだからねー?



トントントン…


階段を降りる音…念のため霧になって見てこよう…








…うん。誰も居ないかな?よし、部屋に戻ろう…





おやす…寝る前にトイレ行っとこう。



ガチャ。



「よう。」

「ひにゃぁぁぁぁ!?」


「おいおい、そんなに驚くなよ。」


ななっ!なんで真司がっ!?確かに確認したのに!


「い、いつからそこにっ!?」

「さっきだ」


「何のためにここに?」

「それはもちろん。可愛い夜に会いに」



「おかしいよ!真司最近おかしいよ!?いつもならそんな事言わないじゃないか!そんなキザなセリフ言わないじゃないか!なんで急にそんなになっちゃったのさ!」


「キザって…俺はただ自分に素直になっただけだ」



…素直に…素直に…すなおに…スナオニ…







『スナオニナール』!あれか!あれの仕業かっ!?ひ、光め…真司にも使いやがったな!



「…悪いね真司、僕は用事が出来たよ。すぐ戻してあげるからね!」


霧になって光の家まで…


がしっ。



…がしっ?



「どこ行くんだ?」



「ちょっ!?ちょっと待てぇ!?なんで霧を掴めるんだよっ!おかしいでしょ!?真司人間辞めたの!?」

「まぁまぁ。落ち着けよ」



「落ち着くのはそっちだよ!くそっ!さっさと戻さないと…!」


霧がダメなら走り抜ける!僕の俊足に追いつけると思うなっ!



スッ



すっ?…あれ。こんなところに真司の足が…あれ。なんかデジャヴ。



ドシャアッ!



「…痛い…」



顔面から落ちてしまった…


「…なんで逃げようとするんだ?」



「真司がおかしいから…っておい!段々近寄るなっ!やめろっ!今の真司は僕に近づくの禁止っ!ねぇ!待って…やめっ…辞めてって…」



トン。


…しまった…!壁…


「…逃がさん」



ど、どうしよう。霧はダメ、ダッシュも無理…タックルはダメな事はもう分かってる…



仕方ない…真司に危害は加えたくないけど…



「そぉい!」



魔力で素早さを強化させての拳っ!流石にこれは…え?



…嘘…止められ…てる…?



「…いきなり殴ってくるとは…いけない子だな…これは、お仕置きだな。」



ひっ!拳掴まれて…動けない…!



「…あっ…や、やめて…ごめんなさい!ごめんなさい!殴ったの謝るっ!謝るからぁ!ね…っやめて…こな…こないで…ぁ…や…やだ…ごめんなさい…ごめんなさいぃ…」



ぱっ。


…あ、手…外れ…


「…許してくれる…の…?」


「まぁ、お前に殴られるのなんていつもの事だしな…いちいち気にしてられん。」


「…ぁ…ありが…」


「…が、今回は許さん」


「…ぇ…」



し、真司がどんどん近づいてくる…もう、多分15センチも無い…






…こわ…い…



ガクン。






「…ぁ…やだ…ごめ…ごめんなさい…ゆるして…」



腰…抜けちゃった…もう、ダメ。体…動かない…


「ごめっ…ごめんなざいっ…もうっ…もうやだよぉ…!おねがい…もとに…ひうっ…もとにもどってよ…」


怖い。こわいこわい。なんでこんなにこわいの?真司なのに。しんじなはずなのに。なんでこんなにこわいの?



…いつの間にか僕は泣いていた。



「…ぐすっ…ごめんなさい…ゆるして…ゆるしてください…っ。ごめんなさい…」






…あれ?来ない…?








「悪い…俺は何やってたんだろうな…泣かせるつもりじゃなかったんだ。」


「…え?…真司、元にもどったの?」


「いや、元に戻った…っていうのか?よくわからんが、お前の泣き顔見てたら…何してんだろう俺って思えてきて…」



「…よ、よかった…真司戻った…!」


「その、なんだ…悪かったな。」


「う、ううん!いいよ!大丈夫!」


…やった!怖かった…でも、元に戻ったならもう大丈夫だよ…えへ…



「ねぇ、真司、僕可愛い?」


「…まぁ、可愛いんじゃないか?」



…はぅあ…このテレの混ざったような不機嫌そうな感じ…真司だ!本当に元の真司だぁ!



「真司ぃ!」


がしっ!


「…おっと…そんなに怖かったか…済まんな…」

「ううん!もういいの!良かったぁ…!」




むに。


「にゃっ!ちょっと真司…脇腹突つかないでよ…くすぐったいよ?」


こちょこちょ…


「や、やめてよぉ!悪ふざけは大概にしないと怒るよ?」



つつ〜…


「ひゃふ!…まったくもぅ…くすぐったってなんにもならないんだからやめてよ!」












「……可愛い。お前本当に可愛いな。直ぐに騙されるんだもんな」




「……えっ?…」



う、嘘。ち、違うよね?真司、もう、戻った…よね?



「…し…んじ…?」


「…はは…本当お前のそういうところ好きだぜ?もう、逃げられないな」




真司の力が強くなる。




「…ぁ…うそ…」















「あぁ。嘘だ。」


「へっ?」



「いや、ちょっとイタズラ心が湧いたというか…な?そんな事しないから安心しろ」


「な、なんだよ!本当にびっくりしたじゃないか!あれ、本当に怖かったんだからね!?もうイタズラでもあんな事しちゃだめっ!」



「悪かったって…」




…戻って良かった…後は光をとっちめるだけだね…




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「使って…ない…?」


「流石に佐々木君にはやってないわよ…夜程単純じゃないから覗き込ませるのも大変だろうし」


「それは地味に僕をでぃすってるよね?え?でも、それじゃああの真司は?」


「…さぁ…佐々木君の本当の素顔なんじゃない?可愛い子をいじめたいっていう…どSな素顔…」



…あれが…本当の真司…?



「……で、でもっ。それなら…ちゃんと止めてくれたんだから…そ、そういう事だよねっ!?」


「さぁ、どうかしら…?もしかしたら隙を見せた瞬間にまた…」


「な、なんでそうやって人を不安に陥れようとするの…」


「…夜。私なら優しくできるわよ?」


「どさくさに紛れて僕をそっちの道に引きずり込もうとするな!この百合女!」


「…冗談に決まってるでしょ?後、私はノーマルだから。」


「うっさいれず。僕もう帰る」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「…真司の素顔…」


「…何故俺の顔を覗き込む。」


「…いや、あの黒真司が本当の真司だったらどうしようって…」


「…黒真司って…大丈夫だ。俺は俺だから。」

「…むーん…」



…まぁ、いいかな?


「所で、白真司は僕の事好き?」


「なんだよ白真司って。やめろよ。」


「分かった。で?どうなの?」


「…さぁな。」



「つまんない答え〜。白真司はもうちょっと強引に来てもいいんだよ?」


「…いいのか?」



「…えっ?ちょ…あの…今のは冗談…って早!僕の後ろに回り込むの早っ!…あ、ちょ…耳はダメだって…あの、僕の体を弄ぶのは道徳上どうかなって。…ふ…っ…!」



でもよかったよ…ちゃんと戻ってくれて…

素顔はどっちなんでしょうね。

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