だーじりん
「夜〜…疲れたよぉぉ…」
「…うん。お疲れ。」
なでなで。
…光は机に突っ伏したままうめき声をあげる。
まぁ、朝からあの…めぐみちゃんだっけ?に追いかけ回されてたらそりゃ疲れるよねぇ…
「時間をずらしたのに家の前で張ってたのよぉぉ…」
「それはまぁ…なんというか、うん。愛の形って人それぞれだし…嫌われるよりいいんじゃない?」
「うぅ…嫌われた方がマシよ…なんで私なの…」
「光がお姉様だからね、仕方ないね…」
「仕方なくないっ!夜〜!助けてぇ!」
ガシッ!
「やれやれ…贅沢な悩みだねぇ。世の中には好かれたくても好かれないって悩んでる人達が居るっていうのに…」
「それとこれとは別よっ!夜…なんかいいアイデアない…?」
アイデア…アイデア…
「はっきり言うとか…」
「できたら苦労してないわよ!」
…う〜ん…
「『私この人が好きなんです!キリッ!』って言うのは?きっと思いが届かないってしれば…」
「そうかな…じゃあ、夜、お願いできる?」
「やるわけないじゃん!?それじゃ逆効果だよっ!『お姉様も女の子が好きなのね!なら私にもチャンスがっ!』ってなるよ!?」
「…うう…じゃあ佐々木君貸し「だめ」…はい。」
「…うーん…あれじゃない?熱が冷めるのを待つとか…」
「うぅ…それまでずっとこれかぁ…」
「…頑張れ!」
にっこり。
「うううぅぅぅ……」
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…さて、何かしら僕も光の為にやってあげたい!
…けど、僕じゃどうしようもない…
「…という訳なんだけど…なんかいい案ない?」
「……ほんっとすいません…あいつが迷惑かけまくりで…」
餅は餅屋。水谷君に相談してみました。
「いや…うん…なんか言っといてくれない?光もさぁ…色々困ってるみたいで…」
「…わっかりました…すいません…」
「…うん…頼むね…ごめんね…ありがと…」
水谷君いい人だなぁ…
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「つー訳でな?青山も困ってるらしいんだ。お前、あの…なんだっけ?めぐみ?と知り合いなんだろ?言っといてやってくんねぇか?」
「あぁ…あいつまだ付きまとってんですか…わかりました。言っておきますね。」
「おう。頼むよ。」
「…ていうか、先輩友好関係広いですね?どっから情報を?」
「…いや、俺別に友好関係広い訳じゃねぇぞ?青山とはちょっと色々あってな。」
「そうなんですか…羨ましいですね。」
「…羨ましい?なんでだ?」
「顔も良くて運動神経も良くておまけに女子とも仲がいい。…羨ましいです。」
「はは…おだててもなんも出んぞ…」
「…なんだ。何も出ないんですか…残念です。」
「ははっ…お前意外と面白い奴だな?ん?」
グリグリ
「痛い!痛いですっ!」
「…まぁ、頼んだぞ!」
「分かりました。」
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「お姉様ぁぁぁぁ!」
「ひぃぃぃ!来るなー!」
「…はぁ…よし、行くぞ!」
「…おう。」
ガシッ!
「お姉…何よ!邪魔しないでよ!私はお姉様と…」
「いいから…」
「こい!」
ズリズリズリ
「あぁ…お姉様ぁ〜また今度ぉぉ…」
「…た…助かった…」
…お。終わったかな
「光、お疲れ様」
「あ、夜…もしかしてあの人達は…」
「うん。僕と真司の差し金だよ。疲れたでしょ?さ、帰ろ。」
「うう…ありがとー!」
がばっ!
「おっと…抱きつくのやめてよ…このままジャーマン!ってやりたくなっちゃうから…」
「離れます。」
…ふー
「あとは後輩君達がどのくらいやってくれるかだね…」
「そうね…」
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「…お前なぁ…いい加減にしろよ…」
「何よ…あんた達には関係ないでしょ!」
「あるわ!俺たちの所にも苦情が来てんだよ!」
「苦情…まさか、お姉様から…!?」
「…いや、そのお姉様の友達からだ…お姉様が日に日に弱ってるってな。」
「う…」
「まったく…先輩達に迷惑かけんなよ?」
「そうだそうだ…」
「何が先輩よ…別にお姉様以外は取るに足らない人達じゃない!私達に勝てる訳ないんだから!」
「…そーゆー問題じゃねぇよ…」
「そうだ。」
「…うぅ〜お姉様〜…」
「…どうする?こいつ…」
「いざとなったら俺が取り押さえる!」
「…頼んだ。お前が1番だからな。」
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喫茶店なう。
ずず…
…この味はっ!
「だーじりんですね!」
「アールグレイよ。」
…違った…紅茶の道は険しいなぁ…
「ぶふっ。」
「おいこら真司。今笑っただろ!」
「…だって…『だーじりんですね!(きりっ)』って…分からないなら言うのやめとけよ…」
「…うぅ…」
…しょぼん。いいもんいいもん。紅茶のジャムはアプリコットだもん。分かるもん。美味しいもん。
「…大体なんで夜は紅茶ばっかり飲んでるの?オレンジジュースとかにすれば?」
「バカにし過ぎだっ!?お茶ぐらい飲めますーっ!」
「…でもお前本当はほうじ茶が好きなんだろ?」
「そば茶も好きだよ?」
そば茶いいよね。香ばしくて。最近飲んでないけどさ。
「…じゃあなんで紅茶…」
「…ふっ。光はわかってないなぁ…」
「何がよ…」
「杉下と言えば紅茶!紅茶と言えば杉下!杉下という苗字に生まれた以上紅茶を嗜まなくてはならないのだ!義務なんだ!」
「…なんでよ…」
「…じゃああれだな?お前、チェスとかやってるだろ。んでもってどっかの立て篭もり事件で作戦参謀とかやってたんだろ。」
「…おお!流石真司!よく分かってる!」
「お前あの番組好きだもんなぁ…」
「真司は苗字を毒島にするといいと思うよ!」
「よくねぇよ!」
「…ちょ…ちょっと〜…私だけ話に入れてないわよ〜…」
…光は知らないのかな…
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「…んでね。集まってもらったのはそんな議論をするためじゃないのよ。ここのオーナー当てにメールが届いてね。なんか、何処かの組織のメンバーと模擬戦みたいな事をやって欲しいんだって。」
「罠だと思います!」
「それはないから安心して。で…あっちは3人なんだけど…中々強いらしくてね?こっちでも強い人を…って事で。夜と私は決定なのよ。後一人を…」
「よし、真司やろうよ。」
「…なんでだよ。俺一般人だぞ。」
「魔力吸い取れる人は一般人って言わないんですー!はいけってー!」
「分かった。私、夜、佐々木君ね。日時は追って伝えるわ」
「おい…俺の意見は…」
「いいじゃん!いざとなったら僕がフォローするから!」
「…そうか…」
「僕がフォロワーになるから!」
「なってどうするんだよ!?それで俺は何か救われるのか!?」
「あきらめろ。」
「…なんでそんな真顔…」
「…あー…もういいわよ?後は帰ってからやってくれる?」
「…んーじゃあねー」
「またな」
…なんだろう。光の顔に『めんどくさい』って書いてあった気がする。
「模擬戦だって〜。まぁ僕は余裕だね!」
「…そうだな…しかし、身バレとか大丈夫なのか?」
「…うーん…多分真昼間っからおっぱじめないだろうし…帽子とか服とかで変装して…」
「そうだな。」
…まぁ軽くひねるよ!けちょんけちょんだよ!