バレンタインデー
今日はバレンタインデー！カカオから育てたチョコを真司に渡す時！
…と、その前に。
「…本田さん見なかった？」
「見てないけど…なんで？」
「いやね。もしかしたら小林君に告白するんじゃないかなって…」
「へぇ…でもそれなら尚更見つからないようにやるでしょ？それに、覗き見なんて趣味悪いわよ？佐々木君に嫌われるわよ？」
「のぞきしません。」
「…ん。よろしい、そんな夜ちゃんには光さんがチョコをあげよう」
…え？チョコ？光が、僕にチョコ…？
「……ごめん光。気持ちは嬉しいんだけど…僕はノーマルだから…これからも友達でいようね…？」
「な・に・を！勘違いしてるのかなぁ〜？」
「痛い痛い痛い！頭割れちゃう！」
「…ふぅ…友チョコよ。友チョコ。女の子が女の子にあげる友情のしるし。」
…へ〜。そんなのがあるんだ…
「…僕、チョコは本命と義理だけだと思ってたよ」
「そうなの？…私のは友チョコだからね？私がレズなんじゃないからね？」
「そうやって何度も否定するところが怪し痛い！」
…最近光のツッコミが過激に…
「…まぁありがとね…あ。僕何も用意してないよ…」
「まぁいいけど…じゃあホワイトデーに3倍返しでよろしくね？」
「0を3倍しても0だからいいよね？」
「…私のチョコが0だと？」
「そんなことは言ってるよ！」
「言ってるんじゃないの！」
痛たたた…ぐすん。
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「…ちらっ？」
「…………」
「……ちらっ？」
「………………」
「…………ちらっ！」
「……さっきからチラチラと何がしたいんだお前は！？」
「…いや、真司は僕に何か言う事があるんじゃないかなって…」
「…ない。」
「…えっ？……無いの？ほら、なんか欲しくない？甘いものとか…」
「…要らんな」
酷いや！あんなに欲しいって言ってたのに…！
…要らないのかな…
「……僕からのチョコ…要らない…の…？ふぐっ…真司が要らないって言うなら僕自分で食べちゃうよ！いいの！？」
「………………」
……やっぱり要らないのかな…迷惑だったのかな…ぐすっ…
「…な…なんだ…っ…真司要らないのかぁ！残念だなぁ…僕すっごい頑張って美味しいの作ったのになぁ…！…頑張った…のに…な…」
…うぅ…胸の辺りが痛い…
・・・・・・・・・・
「冗談だ。物凄く欲しいからくれ。下さい。お願いします」
「…本当！？欲しいっ！？じゃ…じゃああげる！」
「おぉ…これがチョコ…素晴らしい…」
意地悪な真司は嫌いです。…でも、喜んでくれてるからいっか♪
「ねぇ。食べて食べて？愛情()たっぷりなんだよ？」
「おう…ん？愛情？」
「うん！だって本命チョコだもの！」
ブフッ！？
「あぁっ！？ちょっと真司！何吹いてるのさ！勿体無いじゃないか！」
「お…おまっ…今…本命って…」
「…そりゃそうでしょ？だって、僕と真司の仲だよ？義理なんか送る訳がないじゃん。だったら本命でしょ？」
「…あぁ、なるほどそういう事か。」
「あれっ？なんでちょっとがっかりしてるの？…それよりほら。食べてよぉ！」
「はいはい…うん。美味いな」
「自信作だからね！」
…ふふふっ…真司が食べてくれた…僕のチョコを…僕の愛がたくさん入ったチョコ…！ふふっ…うふふっ…
「ふふふっ…」
「どうしたいきなりうふうふ言い出して？」
「いや、なんでもないよ！…あ、そうだ。あとこれ。メッセージカード。」
「おう？ありがとう…」
「何その顔？」
「いや、なんでわざわざカードに書いたのかなって…口で言えばよくね？」
「く…口では言えないような恥ずかしい事が書いてあるのかも…」
「…お前に恥じらいとかあるのか？」
…がーん。そんな恥じらいのないはしたない子みたいに思われてたなんて…
「…うぅっ…僕悲しい…」
「泣くな泣くな。冗談だから。ほれ」
なでりなでり。
「むふふ…夜さんは優しいので許してあげます！」
「ありがとなー」
「じゃあ、ホワイトデーは10倍返しでお願いね？」
「倍率多くねぇか！？普通3倍だろ！」
「そんな事言わないでさぁ…別に金額の話をしてる訳じゃないんだよ。僕が込めた愛情の10倍返してくれればいいからさ…」
「…分かった。考えておこう」
ふふふ…これで真司は僕に愛をくれるはず！
「じゃあ僕帰るねー！あ！メッセージカード読んでね！」
「おう。またな。」
…返事くれるかなー？
「さて、メッセージカード…これか。なになに？」
『真司へ。僕はこういう文章を書くのはあまり得意じゃないんだよ。知ってるよね。けど、面と向かってだと恥ずかしいから言えない事も、こういう風になら伝えられると思う。
真司、いつもありがとう。僕が女になった時も、吸血鬼だってわかった時も、ずっと同じように接してくれた。僕、すごく嬉しかったよ。きっと、こんな事になっても絶望せずに生き続けられているのは、真司のお陰だと思う。あ、残り少ないや。じゃあ最後にこれだけ書いておくよ。いつも本当ありがとう。これからもよろしくね。』
「…ふむふむ。…中々嬉しいもんだな…」
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「……うわぁ。」
「これは…」
…小林君と本田さんの間に流れる空気がやばい事になってます。近くにあるものが燃えそうなレベル
「…邪魔ものは退散しようか…」
「そうね…」
…そっか。本田さんは勝てたんだね…勝負に、おめでとう！
