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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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落とし穴140堀:聖女と女神と神楽

聖女と女神と神楽



Side:ルルア



「本当に、この桜の花を見ると、春って感じがするわね」

「はい。本当に」


セラリアと私はそう話しながら、頭上で咲き誇る桜を見つめます。

今日は、外交官の交流も兼ねたウィード主催の春の花見パーティーということで、私たちもこうして公園での花見に参加しています。

とはいえ、多くの人たちがこの風景に圧倒されるようで、特に慣れてない新規参加国の皆さんは唖然としてこの絵のような風景を眺めています。

そのため挨拶にくるのは軒並みロガリ大陸の人たちで……。


「ルルア様。今年も綺麗ですね」

「アルシュテール様。そうですね。今年も綺麗に咲きました。そしてこうして、みんなと花を楽しめるのは素敵なことですね」

「はい。これが少しでも長く続くように頑張らないといけません。リリーシュ様もそう望んでおられますから」


そう言ってアルシュテール様が見つめる先には……。


「うひゃー。すごいよリリシュ様。桜って綺麗よ!」

「ええ。綺麗なんですよー。こうして、見ていると心が洗われるようです」

「そうですね。本当に……。これがタイゾウさんが故郷でも春毎に見ていた風景かと思うと、素敵な気持ちになれます」

「……一人だけのろけているわね」


そんな感じで、女神たちが一堂に集まって飲み会をしています。

私たちのような神に仕える神官にとっては、とてもありがたい光景で、楽しんでくれてなによりです。

まあ、最近は旦那様のお陰で、女神様がより身近というかなんというか……。


「よぉーし、みんな飲んでるわね。また、恵比寿から酒もらってきたわよー!!」

「「「うぉぉぉぉ!!」」」


と、ルナ様がお酒を両手で掲げると、ルナ様の正体を知っているロガリ大陸の要人たちがこぞって雄たけびを上げます。

なぜなら、ルナ様が持っているお酒は神様に献上されたお神酒です。

しかも上級神ルナ様と日本の神である恵比寿様の神威により、エリクサーよりも効果の高い万能薬とまでなっています。

それが振舞われるのですから、叫ばないわけがないのです。


「あー、この前みたいに持ち帰りはこの小さい瓶のやつね。うっぱらうのもありだし、自分が長生きのために使ってもよし。まあ、せいぜい自滅しないことねー。さて、お説教はここまで、まずはここで楽しく飲みましょう!! ということでかんぱーい!!」

「「「かんぱーい!!」」」


その乾杯の輪にはアルシュテール様も参加していますので、私としても苦笑いという感じです。


『ほんに、相変わらず天照大御神様は賑やかですなぁ。ルルアはんもたいへんやろぅ?』

「あ、木花開耶姫様。いえ、ルナ様はいつもあんな感じなので。みんなが楽しいのであればいいかと」


気が付けば、この桜に宿る木花開耶姫様が顕現していました。

この方は私やセラリアの子供の名前を祝福してくださった神様で、春にしか現れない人です。


『ま、あの人はそういうおひとやからなぁ。恵比寿の酒も頂けるんやし、文句は言わぬが花やね』


そう言いながら、いつの間にか持っていたお酒をくいっと飲み干す。


『ほうっ。やっぱり日本酒やえねぇ。こればっかりは故郷のお酒がええわぁ』


お酒を口にした後のしぐさは女性である私が見ても非常に色っぽいと思います。

これなら男ならだれでもついていきたくなるだろうと思えます。

しかしながら、その姿は日本の文化として勉強した花魁のようで、当初はなぜ神たる者がそんな姿でと正直不思議だったのですが、今ではその理由もわかる気がします。

昔なら無条件ではしたないとか思って顔を顰めていたはずですが……。


『それは、ルルアはんが、人の違う在り様に気が付いたってことやぁ』

「そう、なのでしょうか?」

『そやぁ、生きることに綺麗も汚いもあらへん。この花魁姿が神の姿に相応しからずといいはる人もおるやろけどぉ。どないになっても生きようとする姿でもある。わっちにとってはとても輝いて見えるんや』

「……」

『まあ、この姿を得たからこその視点っていうのもあるわぁ。ルルアはんが、聖女という立場からユキはんのお嫁さんになって、多くの人と向き合うて治療するようになったんと同じ』


だからこそ、神様はそうそう人に肩入れをしないけど、するときはいろんな立場の人に肩入れをするのでしょうか?


『んー。我が子と同じやな。毎日一生懸命拝んでくれたら多少はと思うときもあるし、イタズラ半分で力を与えるもんもおる。なにより、日本の神々は八百万やからねぇ』

「って、いうか先ほどから心を読んでいませんか?」

『そやぁ、そっちの方が話が早いわぁ。と、今度はあっちにいってみよかぁ』


そう言ってふっと立ち上がった木花開耶姫様は雑踏に消えていく。


「ん? ルルアどうしたのって、この気配。木花開耶姫様?」

「あ、はい。わかりますか?」

「ええ。さっき私も話していたし」

「そうなんですか?」

「ええ。サクラやスミレだけじゃなく他の子どもたちのことも気にかけていたわよ。というか普通に成長を喜んでいたわね。多分、子供たちにでも会いに行ったんじゃないかしら?」

「そうかもしれませんね。いまさらですが、木花開耶姫様は最近大きくなりましたよね」

「初めて見た時は、妖精って感じのサイズだったのにね。桜が増えて顕現しやすくなったとか言ってたわね」

「なるほど」


そんな雑談をセラリアとしていると……。


「あ、セラリア陛下、ルルア様」

「本当だ。セラリアさまー、ルルアさまー」

「どうも、この度はお招きいただきましてありがとうございます」


カグラさんたちがやってきました。

そういえば、ソウタさんたちが誘ったと言っていましたね。

まあ、外交官なので呼ばれて当然ではありますが、おそらくソウタさんが故郷の花見を経験させてやりたいというのもあったのでしょう。


「ようこそ、3人とも今日は楽しんで行くといいわ。特にカグラ」

「私ですか?」

「はい。カグラさん。ソウタさんはおそらくあなたにこそ一番見てほしいはずですよ。貴方の故郷というには違うかもしれませんが、あなたの中に流れる日本人の血は疑いようもありませんからね」

「……」


私がそう言うと黙ってしまうカグラさん。

あら、ちょっと難しいことを言いすぎたでしょうか?

それを察したセラリアが……。


「ま、難しく考える必要はないわ。この光景が、あなたのご先祖様が春のわずか一週間だけではあるけど、毎年楽しんだものよ。あなたも十分に楽しむといいわ」

「あ、はい」


いまいちわかってないようですが、この感覚は伝えるのが難しいですからね。

今から楽しんでもらうのが一番でしょう。


「とりあえず、自分たちの席はわかるかしら?」

「えーっと、ちょっとわからなくて……」

「ということで、こっちに来ましたー。で、不思議なんですけど、ユキ先生とか、ほかの皆さんはどこにいるんですか?」

「ああ、旦那たちは色々顔見せよ。残念だったかしら?」

「はい。って違いますよ。王配がいなくて心配になっただけです」


相変わらず素直じゃないですねぇ。

これじゃ旦那様に振り向いてもらうのは大変ですね。


『だから楽しいんよ。恋の音や、神楽の名の通り、わっちを楽しませてくれるわぁ』


と、不意に後ろから声がしたので振り向くと、木花開耶姫様が立っていました。


「だ、だれ!! その人たちから離れなさい!! その方たちは!!」


私の背後にいきなり現れた木花開耶姫様に、カグラさんたちが警戒をします。

まあ、私もウィードの要人の一人ではありますからね。

とはいえ……。


「大丈夫よ。気にしなくていいわ」

「ですね」

「は、はぁ? その方はお知り合いでしょうか?」

『知り合いやぁ。というか、ようやっと見えるようになりんしたか』

「見える? どういうこと……?」


カグラさんたちは木花開耶姫様のいうことがわかっていないようで、不思議そうに首を傾げています。

その様子をみた木花開耶姫様は上品に笑いながら……。


『さっき、歓迎したやろ? もっとも聞こえとったんはカグラはんだけやったけど』

「さっき? あ、この声、公園の入り口で」


どうやら先ほど木花開耶姫様が席を立ったのは、彼女たちを迎えに行く為だったようですね。


「ま、どうやら見えてなかったようだから紹介しておくわね……」

『それには及ばんえ。こうして顕現しているのが見えるならわっちから自己紹介しますえ』


そう言って、木花開耶姫様は着物をビシッと整えて……。


「あ、あ……」

「うえっ!?」

「ひゃ……」


凄み、まあ気迫というか神気が出たのでしょう。

それに当てられた3人は驚いた顔になり……。


『初めましてぇ。この桜に宿っとる木花開耶姫といいますぇ。我が子らの血を引くカグラ。これからも神楽をよろしゅうなぁ』

「は、はい!! って、カグラをよろしくって?」

『おやぁ、おんしは名前の由来を知らへんみたいやねぇ。まあ、この地に来はって随分時間が経っとるみたいやし、仕方ないぇ。カグラは神の字に楽しむ、と書くんよぉ。文字通り神にささげる巫女の仕事やねぇ。まあ、人と神をつなぐ大切な儀式とも言えるねぇ。カグラはんの名前はそういう意味や』


どうやらカグラさんは自分の名前の意味を知らなかったようですね。

そして、カグラの名前の意味を知って、ミコスさんたちも驚いているようです。


「へぇ、カグラの名前ってそういう意味だったんだ」

『まあ、これは誰にとっても言えることや。ミコスやソロはんの名にもきっとご両親の思いがあるはずやぇ』

「「私も?」」

『好き合うて生まれてきた子に、貧相な名前をつけるわけないやろ? まあ、世の中には望まれてへん子もおりんすけど、そないな例外んことはこのめでたい席ではやめとこかぁ』

「は、はぁ。それはそうですね……って、この感じ神様でしょうか?」

『まあ、巷ではそうよばれとるねぇ』


と、木花開耶姫様がそう言うと、空中に水辰之命様が出てきて……。


『何が巷ですか。日本最古に近いでしょうに』

『水神かぁ、無粋やなぁ。ああ、納得したぇ。こないなん祭っとるから、自分の名の意味も知らへんわけやねぇ』

『ちょっ!? 私の責任では……』

『女の年ばらしといて、言い訳できると思わんこっちゃ。カグラはんは、わっちの巫女になってもらいますぅ』

『ちょ』

「ええ!?」


……まあ、さっきのは水辰之命様が悪いですね。

とはいえ、木花開耶姫様はそんなことを言いつつも笑っていますので、本気というわけではなさそうです。

からかって遊んでいるのでしょう。先ほどの水辰之命様の言葉を考えるとしかたのないことですね。

と、思っていると木花開耶姫様がさらに……。


『わっちの巫女にならはったらご利益も沢山あるぇ。例えば恋愛成就とかなぁ』

「「「!?」」」


カグラさんたちの目の色が変わりましたね。


『そこな水神がのたもうたようにわっちの方が年上で、力もあるよってなぁ』

『木花開耶姫様、そういうのは……』

「巫女になります!!」

「「信仰します!!」」


あーあー、カグラさんたちには効果絶大ですね。

という感じで、こうしてカグラさんたちと木花開耶姫様たちはワイワイ盛り上がって旦那様へのアプローチを考えるのでした。


「ねえ、これって私たちも協力するべきかしら?」

「どうでしょう? 木花開耶姫様がお願いしてきたら協力するべきでは?」

「……そうね。どう見てもカグラたちがどう動くのかを楽しみにしている顔だものね」

「……あはは」


カグラさんたちが上手くいきますように。

それとなく旦那様に言っておきましょう。



さてさて、木花開耶姫を信仰した甲斐があったかどうかは、後の物語のお楽しみ。

恋というのは楽しいよね。


見てる側が!! (下種)


さて、そこはいいとして、必勝ダンジョン11巻表紙公開!!

書きのアドレスをコピペしてみてねー。


http://snowbookman.diary.to/archives/16768691.html



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