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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第825堀:各部署正常に稼働中

各部署正常に稼働中



Side:ユキ



『ユキが優しいなんてのは、誰が見たって当然わかるでしょう?』

『うんうん。ユキ先生はちょー優しいからね』

『あのねぇ。シーサイフォの人たちはそれがわかるほど、まだ付き合いがないの。だから恐れ、警戒しているのよ』


とまあ、カウンセリングルームでエノラたちがそんな話をしている。


「エノラはもちろん、カグラたちも連れてきて本当に正解じゃったのう」

「ああ。この地の人たちがいなければ、俺たちはシーサイフォとまともな会話もできなかっただろうな」


強大な力を持つとこういう弊害があるんだよなぁ。

握手するだけでも世の中一苦労だ。


「しかし旦那様。エノラ司教との会話で、現在乗艦しているシーサイフォ王国の方々の全てが納得したわけではありませんので、ご注意を」

「ですねー。思いあまって変な行動をする人がいる可能性も十分ありますから、くれぐれも勝手に動かないでくださいよー」


生真面目なリーアやジェシカがいないから多少羽を伸ばせるかなーと思ったが、こっちに来ても魔王とメイドの防御は硬いようだ。

まあ、そこらへんは予想していたからいいとして、問題は……。


「ドレッサ艦長、報告書です」

「ドレお姉。こっちもー」

「ドレッサちゃん、はい、弾薬備蓄の報告書だよー」

「こっちは兵器整備部門からの報告書なのです」

「……そっちに置いて、今こっちの報告書に目を通しているから」


艦長として責任者をしているドレッサの方だ。

今のところ、問題なく艦長職をこなしている。

いや、ちょっと報告書に目を通す部分は追い付いていないか。


「ああしてどんどん書類がたまっていくんですよねー」


流石は勇者王のお言葉だ。実感がこもりまくっているな。

俺もウィードの執務室に戻るのが怖いね。

シーサイフォへ来ていても、夕方には一度ウィードに戻ることになるが、そのたびに積み上がっている書類を見るとなえるよな。


「で、ユキとしては、シーサイフォ王国のお偉方の動きをどう見ているのかしら?」


そう聞いてくるのはラビリスだ。

相変わらず俺の上、肩車状態だ。

いや、最近はなかなかないか。

と、そこはいい。


「普通じゃないか。警戒していて当然。あの反応で俺としては安心する。レイク将軍の方があの中では異常だよ。悪いけどな」

「確かにね。あの適応能力は凄いと思うわ」

「まあ、だからこそ助かった面があるが、全員が全員レイク将軍の様に受け入れてくれるはずもないからな」

「世の中ってそう言うモノよね」


そうそう。どこかで必ず反発がある。

それをどれだけ最小限に抑えられるかっていうのが大事なんだよな。

そのための今回の行動ってわけだ。


「幸い、カウンセリングルームがちゃんと機能している。アクアマリン宰相まで相談にきたんだから、後続もいるだろう。尤も、今日はアクアマリン宰相が最後みたいだったけどな」

「宗教だもの、信心深い人ほど真っ先にくる。そういう人は、若者よりも年を重ねた人の方が多いわよ。なにより、ハイレ教はこのシーサイフォでも根強く信じられているみたいだし」

「そこは意外というか、こちらにとっては好都合だったというべきか……。正直な話、ハイレ教を支援してマジで正解だったな」


本当にハイレ教と関係を持ってよかったと思う。

アクエノキのこともあったが、協力体制を組めたのが今回の事に対していい影響を与えた。

ハイレ教、エノラの協力が無ければ、シーサイフォとのやり取りはもっと難航していたように思える。

そんなことを話していると不意に足元から気配を感じて視線を下げてみると……。


「……ついでに、おいらたちの扱いの方ももうちょっと考えてくれませんかね」


と、恨みがましい声で俺に話しかけてくるのは、便利将軍スティーブだ。


「そうは言ってもな。この空母に乗せられる人員で、練度があって、知識があるのはスティーブたちぐらいだしな。ゴブリン隊に傍から目に付くところを任せるしかないのが現状だ」

「はぁ、それは理解できるっすけど。二隻の間を行ったり来たりってのはきついっすよ」

「その話はタイキ君からも指摘をもらった。何とかしたいが人員が本当に少ない。今回は耐えてくれ。裏方としてスラきちさんたちを回しているしそれなりに行けるだろう?」


流石にこの空母2隻をスティーブたち、ゴブリン隊だけで運用管理をしているわけではない。

というか、人数的に無理だ。

スティーブが率いるゴブリン艦隊運用要員はせいぜい500人。

ニミッ〇級空母の運用人数は地球では3000人を超えるといわれている。

一人で6人分以上の仕事をしないといけないということだ。

流石にそこまで無理をさせるつもりはないので、スラきちさんからスライム隊を出して貰っている。


「まあ、スラきちさん率いるスライムたちは四六時中動けるっすからね。それに一人で同時に複数の仕事ができるのはありがたいっす。とはいえ、スラきちさんたちを含めてもなかなかキツイのは変わらないっすよ。アンデッド系の部隊は呼び寄せられないっすか? ここ一応ダンジョンっすよね?」

「まあな。ダンジョンであるのは認める。しかし、ハイレ教で起こった死者復活というかアンデッド使役事件があるからな~」

「あー、そういえばそんなことがあったっすね。状況的に使いづらいっすか」


そう、ソウタさんやエノルさん、アージュ殿下たちがゾンビとして蘇ったのはつい最近とまでは言わないが、すでに過去のことというにはまだまだ新しい事件だ。

そんなとこで刺激するようなことはしたくない。

死者に敬意を払わないっていうのは、こっちでもあまり歓迎されない。

それに……。


「というか、霧華たちのような見た目普通の人ならともかく、ゾンビとか、骸骨が船内を徘徊してたら、アンデッドに耐性のない普通の人たちはひっくり返るぞ」

「そうっすね。かえって被害がでそうっす」


そう、この空母をどっかのバイオな事件の舞台にはしたくないのだ。

いや、部下たちは人を襲ったりはしないけどさ。

いまようやく手を取り合おうとしているのに、ルナじゃあるまいし、そんなところで脅かすようなことはしたくない。


「となると、当分この運用っすか。とりあえず、部下にそう言っておくっすよ」

「頼む。まあ、無理はしないようにな」

「そんな無茶ばっかりを……、とりあえず、適当に手をぬいておくっすよ。別に戦闘はないんっすよね?」

「その予定はない。見回りと整備だな、今必要なのは」

「艦載機がないだけマシっすね。で、艦載機は搭載物資になかったっすけど?」

「艦載機も同じだ。今はまだ出す状況じゃない。空母でさえ理解が追い付いていないのにこれ以上混乱させることはない。無論飛竜隊もな」

「航空戦力なしで動くつもりっすか?」

「近海はな。だが遠洋に出るときは載せる。いざというときの脱出用には必要だからな。ああ、あと飛竜隊はいざというときはゲートを通って、ドレッサの援護な」

「わかっているっすよ。じゃ、仕事の続きに行ってくるっす」


一通り文句と今後の予定のすり合わせが終わったのか、スティーブはさっさとCDCから出ていってしまう。


「うむ。タイキの言う通り、流石にスティーブたちも疲れているようじゃのう。あやつがあそこまで文句をいうのも珍しいからな」

「確かにな。それだけ下の不満がたまってるんだろうな」


さーて、俺の方も度重なるトラブルというかイベントで、便利ゴブリン隊をこれ以上使えそうになくなってきているな。

次はジョンを持ってくるか?

それか、スティーブの言うように、アンデッド隊かね。

霧華を筆頭に艦隊運用させてみるか?

とはいえ、ゾンビはだめだな。骸骨とか、綺麗なアンデッドに限る。

精密機械に体液を落とされるわけにはいかんし。かえって掃除が大変だ。

とまあ、こんな感じで運用できる部隊のことを考えていると……。


「うわー。海だよ。海」

「うみーなのです! 本物なのです」

「綺麗ですね。ウィードとはまた違った感じがします」


そんなことを言って、モニターの映像を見て喜んでいるアスリンたちに気が付く。


「そういえば、スティーブ。海上の様子はどうだ」

『んあ? ああ、別に穏やかなもんっすよ。波の高さもウィードの海を基準にすれば、平常通りの高さっすね。まあ、ここの海のいつもがどんなものかは知らないっすけど』

「そうか。魔物の反応とかはあるか?」

『今のところ異常はなしっすね。まあ、そこは何かあれば速攻で連絡がくるっすよ』


と、スティーブにシーサイフォの海上の様子を確認していると、アスリンたちは俺が海の様子を聞いていることに気が付いたのか、スティーブとのコールを覗き込んできて……。


「ねえ、スティーブ。イルカさんとかいる?」

「大きなクラゲさんはいるのですか?」

『えーっと、姫様方、そういう海洋生物の確認はまだっすね……』

「そっかー。残念」

「残念なのです」


そう言って2人はがっかりと肩を落とす。

まあ、こっちの海にも楽しい生物がいるかもってわくわくしていたからな。

俺としては魔物がいる世界で海とか恐ろしくて入ろうとも思わないんだが、そういう警戒心は全くないらしい。

と、思っていると。


『まっかせてくださいっす!! おら、お前ら、海水浴だ!! アスリン姫たちが喜ぶ海洋生物を探すぞー!』

『『『おおー!!』』』

「やったー! じゃ、みんなお仕事頑張らないと遊ぶ時間ができないね」

「やったのです! アスリンの言う通りなのです、みんなで頑張って仕事を終わらせるのです!」


そう言って、アスリンたちはさっさと自分の持ち場に戻って仕事を再開する。

といっても、艦内確認だから、もうスティーブたちが引き継いでって、そうかスティーブたちが海の方にも出るなら、その分仕事は増えるよな。

そう納得していると……。


「スティーブたちのやる気が戻って何よりというべきかしら?」

「……どうかのう。というかラビリスはアスリンたちを追いかけなくてよかったのかのう?」

「別にあの子たちはバカじゃないわ。ちゃんと自分のできることとできないことの把握はしているわよ。そして、自分たちが楽しむだけのためにあんなことを言ったわけじゃないわ。スティーブのやる気を出させるためにわざとよ」

「末恐ろしいことじゃな。あまり、露骨な手管は教えてやるなよ」

「ふふっ。女はしたたかじゃないとね。ね、ユキ」

「そこらへんは、デリーユと同じくお手柔らかにな」


アスリンたちがそこまで成長しているってことを素直に喜べないのが残念だ。

まあ、アスリンたちも日々成長しているからな。

そういうところがあっても当然か。

と、そんなことを考えていると、不意にCDCの扉がノックされ、アクアマリン宰相とレイク将軍が揃って入ってきた。

その表情は空母に乗り込んだ時よりはずいぶんマシになっている。

覚悟を決めたような感じだ。

ハイレンのお言葉はこういう所ではしっかり役に立つらしい。

本当に厄介な神様だよお前は……。

さて、俺は普通に対応をするかね。


「いかがですか、この船の乗り心地は」

「ええ。とても素晴らしい船ですね。揺れをほとんど感じない点もすごいです。そこで、少々お話がしたいのですが、よろしいでしょうか?」


ほう。ここからが本番ってところか。


「ええ。会議室がございますので、そちらでお話を聞きしましょう」


どんな話が聞けるのか楽しみだね。




スティーブたちにはアスリンたちという餌をぶら下げればいいのだよ。

アスリンたちはあざとくても、可愛いからしかたないね!!


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