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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第814堀:田舎発展物語 発展の光と影それを吹き飛ばす答え

田舎発展物語 発展の光と影それを吹き飛ばす答え



Side:キャリー



ウィードの基地ができた翌日、私はジャーナ男爵の応接室にて……。


「……ということです」

「……」


改めて、ジャーナ男爵に今までの経緯を説明をしています。

これまでは半信半疑で色々なことを事実とは思っていなかったようですが、ユキ様のいたずらというか、遠慮会釈のない土地の開発で、私たちの荒唐無稽な話を信じる下地ができたと判断したからです。

あれでもまだ信じられないのであれば、今後の進退にもかかわってくるでしょう。


「昨日は、荒唐無稽な話と聞き流してしまい申し訳ありませんでした」


ジャーナ男爵は実直な方のようで、先ほどのことを謝ってきます。

ひとまずは安心です。やはり愚か者ではなかったようです。

そして、信じないことで咎めようとは思っていません。


「いいのです。昨日の話を信じられなかったのは当然のことです。ですが、目の当たりにした今なら私たちの言うことは信じられるでしょう」

「とーちゃんは頭が固いからなー」

「うるさいぞミコス。というか、あの話をすぐに信じるような奴がいたら頭を疑う。ですが、姫様の言うようにあの場面を見た今なら信じられます」


ジャーナ男爵もはっきりと今の立場を理解したようで何よりです。

ですが、ここからが本番です。


「では、信じて頂けたところで、本題に移らせていただきます。先ほど述べたトラブルに対処するため、我が国はシーサイフォ王国への派兵を決定しました」

「それで、伝手があるというか、ミコスの繋がりから辺境伯の領地ではなく、私の領地に拠点をということになったのですね」

「はい。ユキ様たちウィードのことは私たち、ひいては王宮の要人たちは信用していますが、辺境伯にとっては見知らぬ軍を置くことと代わりないですからね。何かと条件を付けてくるに決まっています」

「確かに、あの辺境伯は色々いってくるでしょう」


辺境伯自身の人となりはよく知りませんが、国境を預かる身ですから、有事の際に備えていろいろ準備するのが当然です。

ただ単に土地を貸してほしいと言われ、はい構いません。とはいかないでしょう。


「今のトラブルのさなか、下手に弱みを見せるわけにもいきません。辺境伯たちが鞍替えする可能性もありますからね」

「確かに」


辺境であるがゆえに、他国と隣接し、常に武力侵攻の危機にさらされています。

その危険にさらされているのに、我が国に属してくれているのは、ひとえにハイデンという国を信頼し忠誠を誓っているからです。

ですが、今はその信頼の対象であるべきハイデンの中枢が揺らいでいる状態です。

下手な対応をとれば謀反や離反の可能性もあるので、迂闊な話は持ち込めないというのも理由の一つです。

とはいえ、辺境伯たちも独自の情報網があるでしょうから、未だに動きがないということは静観しているということ。

ここで下手をうつわけにはいかないのです。


「現在ハイデンはなんとか安定しています。ですが、シーサイフォ王国への対処でまた揺れ動く可能性がある。そこで、ジャーナ男爵領にウィードへのゲートを設置してもらい、有事に備えようと思っているわけです。……改めてお願い致します。ジャーナ男爵、ご協力をお願い致します」


正確に状況を把握したジャーナ男爵に対し、そうお願いする。

まあ、もともとユキ様への土地の貸し出しは許可しているのですから、今更断るとは思っていませんが、これは筋を通すためのお願いです。

何もわけもわからないままで変な約束をさせれば、後々不満が出来るのは当然。

そこを解消しなくては、今後のハイデンは危うい。


「詳しく事情を理解してなかったとはいえ、私はハイデンに忠誠を誓った身であります。一度交わした約束を違えるつもりはございません」

「ありがとうございます。私は、王家はジャーナ男爵の献身に感謝いたします」


ふう。わかっていたとはいえ、返事を聞くまでは意外と緊張するものです。


「そして、領民にとっても良き話のようですし」

「そりゃーそうだよ。ユキ先生が村の人たちに意地悪するとかありえないよ。というか、スーパー銭湯もできたんだから、ジャーナ男爵領はあのいけ好かない辺境伯の頭を押さえつけるんだー! 領民を返してもらうぞー! 私も無理やり結婚なんてまっぴらごめんだからね!!」

「まて、どういうことだ? 初めて聞く話だぞ?」

「ちょっと待ちなさい。私もその話は初耳です」


ミコスの言葉に、私とジャーナ男爵の顔が険しくなります。

無理やり結婚? まだミコスたちを脅している連中がいるということですか?


「あれ? とーちゃんはともかく、姫様には大陸間交流会議の時に、脅されてたって話はしたじゃないですか」

「……あの時の話ですか」


驚きました。

またバカな貴族を締め上げないといけないと思いましたから。


「どういうことですか? ミコスが脅されたとはいったい?」


ジャーナ男爵もやはり娘は可愛いようで、ことの詳細を聞いてきます。

……隠す理由はないですね。

しかもそのちょっかいを出していた相手は辺境伯の手のモノですか。

そういえば、そんな話を聞いたような。

ですが、そうなると、まずはジャーナ男爵に話が行くはずでは?


「男爵はご存知ないのでしょうか? ミコスやそちらのソロがウィードへの外交官補佐と分かった途端、圧力をかけてきたのです。それぞれ、領民や家族などに不利益なことをすると言ったのです」

「なんですって!?」


どうやら本当に聞いていないようですね。


「不思議ですね。そういう話はまずは男爵を通すのですが……」


貴族であるミコスのことは、一種の政略結婚という形です。

まずは親である男爵を抑えるほうが確実です。


「いえ、そのような話はまったく聞いておりませんな」

「ふむ。その時はあくまでも独断だったということですね。男爵の方にまで手を回されていたら、面倒な問題でした」


そういう意味では、この前の対処は素早く行えたということですね。

しかし、これからウィードとの交流が盛んになるにつれて、そういう話が出ないとも限りませんか。

その釘は刺しておかないといけませんね。


「ジャーナ男爵。ウィードの実力をその目で見た以上、ウィードとの交流からもたらされるものがどれだけ莫大なものになるかはわかると思います」

「はい。確かに、あれだけの建物を一瞬で構築する力など、そもそも人のなし得ることとは到底思えないほどです。噂に御三家の再来といわれていることも納得です。……なるほど、それでウィードと関係のあるミコスをというわけですね」

「ええ。不正をさせるつもりなどはありませんが、ミコスを通じて何とか自分の利益にできないかと思う輩はこれからも出てきます」


そう、たった一度だけで終わるわけがありません。


「そして、そのウィードの施設がこのジャーナ領にできるということですね」

「ええ。それによって、これから周囲の貴族たちからの圧力が強くなる可能性が高いのです。その対抗策としては、ミコスが言ったように、力を付けて他の貴族からの圧力を払いのけるか。それとも、ひたすらにジャーナ領にウィードの施設ができたことを隠すかです」

「後者は非現実的ですな。領民や旅人が黙っていられるわけもありませんし、姫様がこちらに来ていることはハイデン王宮の人たちはもちろん知っているでしょう」


ジャーナ男爵の言う通りです。

すでにジャーナ男爵領にウィードの拠点を築くというのは、王宮の要人のほとんどが知っています。

ウィードとの連携がどれだけ大事かを既に知っていますし、そのゲートを使って、今後発展につなげようとするのは当然です。


「私としても我が領の開拓を頼んだ身ですし、何よりこの土地が発展するのは嬉しいことです。ですが、それだけでは済まないということですね」

「はい。当然のように先ほど言ったような妬みによる妨害も当然出てくるでしょう。果てはミコスの婚姻なども含めてジャーナ家とのつながりを求めてくることも」

「……家を持つものとしては、お家の発展には政略結婚は望むべきことですが……」


そういって、視線はミコスに集まりますが……。


「はぁ!? とーちゃん、私を権力や金だけが目的の変態貴族に売るとか言わないよね!? ないよ、それ絶対なし!!」


想い人がいるミコスは全力で拒否を表明します。


「……お前がこの田舎から抜け出たのは、広い世界を見たいからだったものな」

「そうそう!! 今ミコスちゃんは、ユキ先生たちと出会って、ものすごく広い世界を冒険している最中!! だから、お金目当てのへっぽこ貴族の嫁なんかにならないからね!!」


普通は、貴族の娘としてふさわしからずと怒るべきなのですが、ジャーナ男爵と私だけでなく、この場の全員その言葉に苦言を呈することはありませんでした。

なぜなら……。


「そして何より、ユキ先生たちに助けてもらったんだから、恩も返さずにいるわけないじゃん!! とーちゃん、恩人には礼を尽くせって言ってるでしょう? ミコスちゃんは、恩を返さないようなクソ貴族には絶対にならないからね!!」

「「「……」」」


そう、ミコスのいう通り、私たちは既にウィード率いるユキ様に国の存亡の危機から助けてもらい、今もまたシーサイフォ王国がもたらす脅威、或いは問題に対して助けてもらっている。

それを無碍にすることは、貴族として、いえ、人としての道に反することになるのはこの場にいる全員が心得ている。


「というか、今は国の危機! 私はこのハイデンが好きだし、キャリー姫様はもちろん、フィンダール帝国のスタシア殿下も、エノラ司教だって好き。だからミコスちゃんはできることはなんでもするよ! まあ、問題解決に結婚しか手がないっていうなら考えるけど。残念でした!! 私にはユキ先生がいるもんね! あの人についていけば絶対に何とかなる!!」


どこぞの貴族にミコスをやったからといって解決するような問題ではない。

その解決方法はミコスが、いえ、私たちが知っている。

ウィードを率いる彼を頼ること。

情けないことではありますが、今のハイデンやフィンダール、ハイレが頼るべきはウィード。

それが絶対的な事実。

そして、それを聞いたジャーナ男爵は口を開く。


「ユキ様がすごいのは私もよくわかる。ハイデンやフィンダール、ハイレ教も助けてもらったことを聞けば、どれだけすごい力の持ち主かわかる。何より、ミコスがそれだけ言うんだ。とーちゃんだってわかるさ」

「とーちゃん……」

「つまりだ。お前はユキ様が好きなわけだ」


真面目な話かと思えば、いきなり変な爆弾発言をしてくるジャーナ男爵。

いえ、ある意味核心をついているのでしょうか?


「ふぁ!? ちょ、ちょっと!?」

「だから、そばを離れたくないってわけだな。納得できる話だ」

「お、おい!? とーちゃん!?」

「近場の木っ端貴族なんぞ端から相手にならない人が目の前にいるんだからな! で、この話は姫様もご納得済みなのでしょうか?」

「え? あ、はい。ミコスやカグラがユキ様の側室になるのであれば、ハイデンの安定と繁栄は確実かと……」


いきなり話を振られたもので素直に答えてしまい。


「なるほど。ちゃんと許可をとっているのなら、とーちゃんとしても文句はない。ガッツリ行ってこい。計算高いじゃないか!!」

「うきゃー!? ちがうよ!! とーちゃん違う!! ミコスちゃんは、ユキ先生の権力とか力に惹かれたんじゃないからね!?」

「わかっているわかっている。とりあえず、領民にしっかり伝えないとな。これでジャーナ男爵領は安泰だと!」

「やめろー!? ミコスちゃんが汚い女にみられるでしょー!?」


……そんなミコスとジャーナ男爵をみて、笑い合いながら、こういう恋や愛があってもいいのではと思うのでした。


「ま、私の方にはそんな話はまったくありませんが」

「「ひっ!?」」

「なにか?」

「「い、いえ。なにも!!」」


なぜかカグラとソロが過剰に怯えたのですか、なぜでしょうね?





発展とか、それの足を引っ張る変な奴らとか。

まあ、人が動くってことはそういうことだよね。


だけど、そんなちっさいことより、愛だの恋だのの方が大事だってはなし。

そして最後には行き遅れが残るというお話。


あれ? なんか後ろから……。




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