第83掘:全力阻止
全力阻止
side:ユキ
さーて、今日はいよいよ第7王女との対面。
なんとか、加護の事を口に出さず、穏便に済ませたいのだが……。
「いいんじゃ、いいんじゃ。セラリアがあそこまで怒るなんて思ってなかったんじゃ。これからのダンジョンの事思って、ガルツとのご縁を用意したというのに……」
なんか、いじけてるロシュールの王様が一匹。
「…………」
おーおー、セラリアはその姿をみてかなりイライラしてるみたいだ。
「……これ以上嫌われたくないから、ガルツの姫の件は無かった事にして国に戻るわい」
なんだこの親父、自分から振っといてその対応かい!!
今更、第7王女を連れて帰られるのはとても困る。
リリーシュの加護が付いてますよー、なんて公言された日にゃ大混乱だ。
「セラリア気持ちは分かるが、今は王女様をなんとしても……」
「……わかってるわ…よ」
そう言って顔をひきつらせつつも、父親に歩み寄る。
「お、お父様。第7王女様の件お受けいたしますわ」
「…わしの事嫌いにならない?」
餓鬼か!!
セラリアの闘気が一層上がる。
「…もとから…いえ、嫌いになんてなりませんわ。寧ろこの縁談はとてもうれしく思います」
「そうか!! うれしいか!! なら、パパ大好きって言ってくれ!!」
空気が凍った。
おいおい、一応そこの娘さんは王様よりレベルは上になったんだぞ。
それが分からないわけじゃないだろうに……。
「…パ…」
「パ?」
頼むセラリア。
これは国家のいや、周辺国家の安寧の為なんだ!!
「パパ大好き!!」
盛大に顔は引きつっていたが言い切った。
普通に笑うと可愛いんだがな、親父さん何をしてあそこまで嫌われたんだか…。
後ろで見ていた代表メンバーも顔をひきつらせている。
まあセラリアと付き合いはそれなりだし、分かるんだろうな。
というか、嫁さん同士仲も悪くないみたいだしな。
ここらへん、一夫多妻が浸透してるって感じだ。
「ほほー!! うれしいぞ!! ま、でも嫌と言われても受けてもらうつもりじゃったけどな」
「…は?」
「向こうがなぜか婿殿をいたく気に入っての。これ以外の縁談は受け付けぬとまで言いおった。わしらとしてはむしろ好都合なんじゃがな」
ああ、リリーシュの影響か。
いらんこと言ったんだろうな。
俺の嫁になることは正義です!! みたいに。
「で、では、私が先ほど言ったセリフの意味は……」
「わしが喜んだからよし!!」
セラリアが刀に手をかける。
「はいはい、落ち着け!! 頼むから落ち着いてくれ!!」
後ろから抱きすくめる。
「……ぐっ、今日はずっと私が上よ」
「分かった。それでいいから」
「抜かないわよ。寝る時も中よ」
「それは、セラリアが痛くなかったらだ」
「ありえないわ。というか寝かさないけど。はあ、まあいいでしょう。あとは任せるわ。頭の血管キレそう」
セラリアに騎乗される約束をして大人しくしてもらった。
ああ、今日から子作り解禁らしい。
嫁さん会議でそう決まったらしい。
らしいってのは、流石に俺が個人を指定すると色々問題になるから、嫁さん達でローテーションを組んでるんだとか。
ハーレムはハーレムでもこういうハーレムは色々大変だね。
奴隷を買い漁ってならご主人様権限でどうにでもなるんだろうが。
ちなみに俺は子作りのせいで2週間程仕事から外されます。
「ふむふむ。セラリアが良くいう事を聞くのう。流石婿殿じゃな」
うるせえ、大臣が周りにいなけりゃ俺も一言文句言ってるところだ。
「それはありがたきお言葉。しかし、妻のセラリアは普段から良く私の話を聞いてくれる良き妻です」
「うむ。夫婦仲も問題なさそうじゃな。と、いかんいかん。では婿殿、今回の件の褒賞として、ガルツの姫が側室として入ることとなった」
「はて、今回は褒賞が無しということで決まったのでは?」
「うむ、だが、今回の件はセラリアが暴走してのこと。セラリアには罰で褒賞はないが、それを支え結果を出した婿殿には報いねばならん」
ははぁ、そう言う理屈でガルツの姫を押し付けようって魂胆か。
大臣達もうんうんと頷いている。
「ユキ殿なら、ガルツの姫もしっかり対応できるでしょう」
「そうとも、リテアの精強な部隊をユキ殿作戦の元、勝利を収めたのだから!!」
「なにも問題はありませんな。姫という褒賞にも釣り合う事でしょう」
お前等、自分達で処理したくないからって好き放題言いやがって……。
「さて、待たせすぎてもいかんからな。入って参れ」
ロシュール王がそう言うと、会議室の扉が開いて、そこで待機していたのか、王女様と思しき人と侍女が入ってきて、俺の前で膝をつき頭を垂れる。
「これこれ、シェーラ殿。今から夫となる人だ、そこまでかしこまる必要はないぞ?」
しかしそのシェーラと呼ばれた王女は頭を上げずに答える。
「いえ、ロシュール王。この方。ユキ様は私の夫、旦那様になりますが、それ以前に……」
「以前に?」
「このユキ様は何を隠そう!! リリー……」
シェーラがばっと顔を上げてトンデモない事言いそうになったので……。
「きゃっ!?」
一気に抱き上げた。
よし、驚いてセリフが止まったな。
「な、なんという美しい王女様でしょうか!!」
「まあっ、美しいなんて、どう見ても子供ですわ」
「いや、ここまで美しい女性は見たことがない!! 女神の様だ!!」
ああ、女神がいるけど、駄目神だからな。
あと、このセリフを吐いてると、代表メンバーの目が痛い、突き刺さる。
「へぇ、ほう。あんな小さい兎人族がお好みですか…お兄さん?」
「お、おちつきましょうラッツ。あ、あれは演技に決まってますよ?」
「エリスわかってる。わかっているけど、どうしようもない事ってあるのよ」
「なにかむかむかします」
「トーリそれは嫉妬なんだよ。僕と一緒」
「……不愉快」
「…アスリン達に報告してあげるわ。きっと喜んで腰を振ってくれるわ。無論私もね」
きゃー、怖い。
今日家帰るの怖い!!
どっかで外食して帰ろうか悩むぞ!!
「…」
セラリアと目が合う。
『今夜は覚悟しなさい』
目と目で通じ合うって夫婦っぽいけど、これは違う、なにか違う!!
「うむ、婿殿も気に入ったようじゃし、シェーラ殿もまんざらではないようだな。良き縁談じゃな。…とそういえば、先ほどシェーラ殿は何か言いかけなかったかのう?」
「ああ、それは…」
ひぃー、このロシュール王、余計な事ばかり言いやがって!!
釘刺す暇がねぇ!!
「シェーラ!!」
「はい? うぶっ!!」
もうしっかりキスしましたとも。
くそー、なんでこんなラブコメ主人公の様な真似を……。
「うむむ…ふわぁ……」
シェーラは抱きしめとキスで放心したようだ。
よし、まだ子供なのが幸いした。
これでこれ以上の追及は無理だ。
「と、シェーラはお疲れの様子。侍女殿もこちらへ、部屋に案内いたしましょう」
「あ、はい」
王女様をお姫様抱っこしたまま、そさくさと会議室を出ようとする。
「王様申し訳ありません。シェーラが気絶したようなので、詳しい話はまた後で」
「……ああ。構わんが…婿殿、何か変じゃないか?」
お前のせいだお前の!!
王女様を寝かせたあと、嫁さん全員にキスをするハメになったのは言うまでもない。
はぁ、なんとかなったか?
仕方ないのです。
国の為なのです。
ユキ爆発しろとかいっちゃだめ!!




